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児童養護施設の「お引越し」

今回は、児童養護施設で、「居室変更」についての話です。

あくまで、私がいた児童養護施設での話ですので、他の施設では、少し違うかもしれません。ご了承ください。


年に一回の「ホーム替え」

私がいた児童養護施設では、年に1回、担当職員が変わります。学校で担任の先生が変わるようなものです。担当が誰を受け持つかが決まると、その職員の名前を使って「〇〇ホーム」という風に呼んでいました。

担当は、職員1人に対して(小学生以上の)児童5.5人と法律上決まっているため、およそ8人くらいの児童を、2人で担当する、というホームがほとんどでした。私のホームも(途中で出入りがありつつも)9人いました。


ただ、この担当変更、正確に言うと、担当職員が入れ替わることがあるため、それによって、担当職員が変わることがある、ということです。

私は、3年間、男性職員は同じ人でしたが、女性職員は毎年変わっていました。担当職員が変わることが嫌な子もいれば、気にしない子、変わってほしいと切に願う子もいました。人間ですので、相性もあります。それによって、人間関係が悪い職員は、担当を変更したりしているようでした。




居室の移動

当然、同じホームの子どもは、同じ居室になります。通例で、担当が変わると、それに合わせて居室を変更することがあります。3月に新担当が決まり、そのあと、職員の指示に従って部屋が変わります。

私がいた施設は、幼児部屋以外は基本的に2~3人部屋でした。およそ、小学生は小学生同士で同室、中高生は中高生で同室でした。

私は、常に3人部屋でした。3年間、同じ位置のベッドと机を使っていました。

高1の時は、高2、中2の子と同じ部屋。

高2の時は、高3、高1の子と同じ部屋。

高3の時は、高3、中2の子と同じ部屋。

同室の児童メンバーは、学年もバラバラであり、その時々の人間関係を考えながら、職員が考えているようです。後日談ですが、私は割と誰と一緒になっても大丈夫な部類だったらしく、ちょっと周りと合わないような子が、私と同じ部屋になっていたようです。

どういう人間関係だったのか、例を挙げていきますね。



高3の時の居室

高校3年生の時、私は相変わらず同じ部屋同じ位置にいました。そこに、別のホームから来た同い年のS君、そして、最近措置されてきた中2のR君がいました。

S君は、小さい時から措置されていて、施設の中では古株です。別ホームにいるときから、唯一の同い年男子だったので、前から私たちは仲良くしていました。「社会に出るために、お互いに切磋琢磨して、勉強や生活を高めあってほしい」と担当から言われました。

R君は、とにかく片付けができず、何かと職員から指導されることが多い子でした。私は生活態度については申し分ないと言われていたためか、「Rは、ちょっと自分のことを自分でできないところがあるから、面倒を見てやってくれ」と担当から言われました。

S君とR君は、そんなに接点がなかったので、お互いをよく知らない状態で同室になりました。S君は、古株で最年長であったこともあり、施設の中でリーダー的なタイプで、悪いことがあったら積極的に注意するタイプでした。S君は、R君のだらしなさをたびたび注意することが多々ありました。私は、自分のことは自分でやって、R君が困っていたら手伝うようにしていました。もちろん、S君とは仲が良く、よく一緒にキャッチボールをしたり、勉強を教えたりしていました。


1年間、居室での大きなトラブルはなく、無事に過ごすことができました。お互いに支えあうことができ、職員の方々の思惑通りの感じになった、いい例だったのではないか、と思います。私自身も居心地がよく、楽しい1年になったと思っています。



終わりに~居心地は人それぞれ~

児童養護施設は、基本的に集団生活です。それも、職員との関係だけではなく、子ども同士の関係もあります。それぞれ、難しい家庭環境を抱えており、そんな中で「集団生活」をすることは、多大なストレスになることが多いと思われます。

それでも、施設の先生方は、子どもたちにとって良い環境は何か、今ある状況で最善の手立ては何か、を考えてくれています。しかし、それでもうまくいかないこともあります。むしろ、上手くいかないことの方が多いのではないのでしょうか? 与えられた手札で、何とかやりくりをしてくれている職員さんには、本当に頭が下がります。


私は、施設にお世話になった恩があるので、そういう方の力になれたらな、と思っています。


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