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クラフトビール(ビール)はどのように造られるのか

クラフトビールという言葉もだいぶ浸透してきたように思います。一時期は地ビールと呼ばれ、品質も悪く、美味しくないと言われた時代もありましたが、現在では醸造技術も向上し、全国各地で美味しいクラフトビールが飲めるようになってきました。しかしその造り方については知らない人も多いと思います。大きくは①製麦②仕込み③発酵④貯蔵⑤ろ過・容器詰めに分けられます。今回はそんなクラフトビール(ビール)の造り方を順を追って解説したいと思います。

製麦

①大麦の貯蔵・精選
大麦を発芽させてから麦汁を作るまでの工程を製麦と言います。最初の工程では大麦の大きさを揃える必要があります。大きさを揃えることにより全体的に均一な味わいを作り出すことが出来ます。特に大きなビールメーカーなどでは重要な工程です。

②浸麦
大麦は水に浸すことで発芽を始めます。この工程では大麦に付いたほこりを取ったり、雑味を取り除く効果もあります。

③発芽
発芽が進むことで大麦は自ら酵素でデンプンやタンパク質の分解を始めます。その状態を見極めながら、目指すべき品質に合った麦芽を作ります。
④焙燥
焙燥では乾燥と焙煎を行います。この工程では酵素の働きが失われないようにまずは低めの温度で乾かします。その後色や香りの成分を作る為に、80℃ほどの熱風で乾燥させます。
最後に雑味の原因となる根っこを取り除いてから、しばらくの間寝かせます。
この過程でさらに高温で乾燥させたり、ロースターで煎ることにより深い味わいが出て、黒ビールなどにも使われる麦芽になります。

仕込み

①粉砕
製麦の工程で出来た麦芽を粉砕していきます。麦芽を細かくすることで、デンプンが糖化しやすくなります。
②糊化
でんぷんの結晶構造を分解して小さくするために仕込釜に入れ、お湯で加熱処理をして糊状にします。
③糖化
モルトの酵素の力が働き、デンプンを糖へと変化させ、タンパク質をペプチドとアミノ酸に分解します。アミノ酸は酵母の栄養となります。
④麦汁のろ過
糖化が完了したら、固形物を取り除くためにろ過を行います。ろ過して出来上がったものを麦汁と呼びます。この麦汁は非常に甘く、これだけで飲んでも美味しいです。
⑤麦汁の煮沸
煮沸をさせることにより、麦汁の濃度を一定にさせたり、酵素の働きを止めたり、殺菌をするという効果があります。

⑥ホップ添加
ホップを加え、苦みの成分を抽出していきます。ホップの種類によって味や香りは大きく変わりますし、1度にすべて投入したり、何度かに分けて投入することでも味や香りは変わってきます。

発酵

一定温度まで下げた麦汁に酵母を添加させていきます。発酵により糖をアルコールと炭酸ガスに変化して、ものにより期間は変わりますが1週間ほどでビールが出来上がってきます。この時に出来たビールを「若ビール」と呼びます。

貯蔵

出来上がった「若ビール」をタンクで1週間から2週間ほど寝かせます。
寝かせることによりまとまった味わいへと変化していきます。

ろ過・容器詰め

出来上がったビールから不純物を取り除く為にろ過を行い、瓶や缶へと詰められていきます。そうしてみなさんの元へとビールが届いていきます。

まとめ

いかがだったでしょうか。普段飲んでいるビールですが、様々な工程が行われてビールが作られています。そしてその工程の1つ1つで味わいや香りの違いを出していきます。作り方を知っているだけで飲んだ時の味、香りや想いも変わってくるのではないでしょうか。