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日本酒 用語集 その2(特定名称酒以外の呼び方)

日本酒には「純米酒」や「大吟醸酒」など特定名称酒と呼ばれるものがあります。しかし店頭の日本酒を見るとこれ以外にも「ひやおろし」であったり「生酒」と言ったような表現も見られます。これらはどのような日本酒のことを指すのでしょうか。解説していきたいと思います。

原酒

出来上がった日本酒のアルコール度数は20%前後もあります。日本酒は通常加水や醸造アルコールを添加して香味やアルコール度数を調整しますが、一切水を加えないものを原酒といいます。アルコール度数が高く、非常に飲みごたえのあるものが多いです。

生酒

日本酒は1回もしくは2回火入れを行い殺菌処理をしますが、1度も火入れ処理をしないものを生酒と言います。搾りたてのフレッシュな味わいや香りが特徴的ですが、雑菌が繁殖しやすい為、要冷蔵そして早めに飲み切ることをおすすめします。

生詰め酒

生酒は火入れを全く行わないのに対して、生詰め酒はもろみを搾り、貯蔵する前に火入れを行います。出荷前の火入れを行わず、生の状態で瓶詰めを行うことが名前の由来です。
生詰め酒の多くは冬から春に搾ったお酒を火入れしてから秋口まで貯蔵することが多いため、熟成されまろやかな味わいのものが多いです。

生貯蔵酒

火入れを行わずに生のまま貯蔵し、出荷前に一度火入れを行うのが生貯蔵酒です。

ひやおろし

生詰め酒の1種です。冬から春先にかけて仕込まれたお酒を火入れを行ってから夏の間貯蔵し、秋口に火入れを行わず出荷されます。生(冷や)のまま卸すのが語源で、秋の風物詩となっています。

にごり酒

一般的には白濁した日本酒のことを指します。日本酒(清酒)の定義として濾すことが条件の1つとしてあるのですが、にごり酒はこの濾す工程の時に目の粗い布で濾すことにより、米の固体部分を残すことによりにごり酒となります。目を細かくし、うすにごり酒として販売されるものもあります。

どぶろく

どぶろくもにごり酒の一種ではあるものの一般的にはもろみを濾さずに詰められたものをどぶろくと言うことが多いようです。全く濾す工程がないものに関しては「どぶろく特区」以外での製造・販売は禁止されています。
店頭に並んでいるどぶろくと書かれた商品は少なからず濾されているということです。

生酛

日本酒の伝統的な作り方の1つです。自然界に存在する乳酸菌の力のみで雑菌を排除、酵母を育成し、酒母を造ります。山卸しと呼ばれる米を摺り潰す作業が行われたものを指します。山卸の工程が無くなったものを山廃と言います。

貴醸酒

日本酒つくり最終段階(三段仕込みの留)の工程で、仕込み水の代わりに日本酒を入れて仕込んだ日本酒のことをいいます。貴腐ワインを参考に造られたもので、とろみがあり、香りが非常によく、かなり甘口なのが特徴的です

あらばしり(初取り)

もろみを搾る際に最初に出てくる液体をあらばしりと呼びます。プレスをしないで、酒袋の重みだけで自然に出てくるものを指します。香りが非常によく、少量しか取れないため高価なものが多いのが特徴です。初取りとも言われます。

中取り

あらばしりが最初に出てくる部分でしたが、次に採取する部分(プレスをかけて出てくる部分)を中取り(中汲み、中垂れ)と呼びます。ちなみに最後の部分はせめと呼ばれています。
1回に仕込まれる日本酒の過半数は中取りとなります。

滓がらみ

タンクの底に沈んだ滓の部分を使った日本酒を滓がらみといいます。通常の日本酒より旨味成分が多いのが特徴です。滓の量もそれぞれで少量のものからガッツリ入っているものまであります。

斗瓶囲い

斗瓶といわれる18リットルの特殊な瓶に詰められた日本酒で、鑑評会向けにつくられることが多いです。袋吊り、雫酒とも呼ばれます。斗瓶囲いはお酒をじっくり搾るため、余分な成分が押し出されることなく、華やかな香りや繊細な味わいになります。

無濾過

搾った日本酒は若干の色がついていたり、雑味成分も少なからず残っています。それをろ過機をとおして色や雑味成分を取り除くのですが、この工程を行わないものを無濾過と言います。酒本来の味わいを楽しめる日本酒と言えます。

新酒

酒造りは秋から冬にかけて行われますが、10月から3月頃にかけて各蔵の日本酒が出てきます。秋に収穫された新米で造られたお酒という意味で使われることが多いようですが、実際は酒造年度内(7/1~6/30)までに出荷されれば新酒ということになります。

古酒

新酒とは反対に前年度以前につくられたお酒を古酒と呼びます。ただ単に古い酒というわけではなく、中には10年、15年熟成のものも存在します。長期熟成酒なども古酒にあたる場合があります。琥珀色の色調と複雑な熟成香が特徴になります。

合成酒

清酒とはそもそも製造方法が違い、まずアルコールをもとにブドウ糖などの糖類、コハク酸やアミノ酸などの酸味料や調味料との組合せで風味を出し、少量の米を使用することで香りやコク、旨みを出して造られます。酒税の税率も低いことから、一般的な日本酒に比べて低コストで造れることが特徴です。

まとめ

日本酒には造り方の違いだけでこれだけ多くの呼び方が存在します。しかしここに書いたのがすべてではありません。それぞれ特徴がありますが、造る人によっても味わいは大きく変化します。
ただどういった意味合いの言葉なのか理解して飲むだけでも感じ方は変わってくると思いますので、興味のある方は是非覚えてみてください。