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2023年5月のふりかえり|恩返しをいそがないと

5月は半分以上遠野のクイーンズメドゥ・カントリーハウスですごした。引っ越すわけじゃない。

4月末〜5月◯日(GW)

二つの「インタビューのワークショップ」と一つの「書くワークショップ」で、3週間ほど遠野に滞在。約20名と一回性の高い時間。いちいち帰って荷解しなくていいこの連続開催は好ましい。

その最中に、筑摩から『自分の仕事をつくる』のKindle版が発売された。読み返すと恥ずかしいので(想像)あまり自分から開かないが、20代からたずさえていた想いを30代後半にようやくリリースできたわけで、あの本を形にした情熱には大きなものがあると思う。

最初は「先輩たちのやり方(働き方)を知りたい」気持ちが強かったけど、書きながら次第にハッキリしていったのは、〝みんながこんなに働いているその先で、社会が空虚なものになってしまうのはどういうこと?〟という問いだったと思う。それで二冊目(『自分をいかして生きる』)も書くことになった。

その12年後に神山町に移り住み、8年働き、東京に暮らしを戻してちょうど1年経った。去年のいま頃はまだ新しいプロジェクトの予定もなかったし、他人に捧げるような働き方はしばらくしたくなかったので、「ワークショップをもっとやろう」と思った。自分の経済圏を組み立て直す必要もあった。
前は忙しい仕事の合間にワークショップをしている感じだったけど、「コンスタントにワークショップをひらいていて、合間に他の仕事をしている」生活に反転させてみようと思った。

で一年試して、ワークショップには申し込んでくれる方々がいるし、ミーティングの数は減ってゆとりがあり、プール通いや読書の時間もつくりやすく健全。思い通りにいかないこともそりゃあるけど、いい感じだ。(9月に遠野でひらく「インタビューのワークショップ」はあと1名募集中。気になる人はどうぞ)

GWの終わりの頃は「書くワークショップ」のβ版を6名と体験していた。自分自身の課題としても「書くこと」を見直し、再構築したい。


5月◯日

高校生の頃知り合った岸野雄一の、美学校の講座「映画を聴く」が始まった。隔週の全10回で9月までつづく。

「映画はほとんど〝音〟で出来ているんじゃない?」と思えてくる内容。実際そうだと思う。参考映像を見ながら紐解いてゆくのだけど、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』冒頭の音の構築に驚かされた。ジョン・ウィリアムズ(作曲家)をなめていました。強く反省。


5月◯日

この時期は毎年、東京都美術館「とびらプロジェクト」の基礎講座。「きく力」について一日学び合って、翌日、今年は学芸員の中原淳行さんの話をみんなの前できく仕事があり、つづけて実例を見てもらった感じ。

「とびらプロジェクト」は今年12年目。メンバー(とびラー)は3年で全員が入れ替わる。昨年からリーダーの二人も交代。日比野さんも藝大学長に。ステージは全体的に変わりつつある、その中で自分が変わらずただ同じことをくり返していたら意味がない。
去年から始めた見直しの、その最初の試みが形になったと思う。「変える」ことが目的ではないので、ちょうどよく出来れば十分。

午後は小平の照恩寺へ、佐藤直樹さんの絵の展示と対談を聞きに。夜はビルボードで「カーネーション」のライブ。コンサートに行くと「こんな人たちが同じのを聴いてるんだ…」と、アルバムをかけているだけじゃわからないものが見えて面白い。


5月◯日

淡路島の「Workation Hub 紺屋町」で友人たちが働く会社の合宿のファシリテート。次は12月。とにかく「幸あれ」という気持ち。

徳島のグランドパレスに泊まり(田瀬さんお気に入りの定宿)、翌日はフリースクール/TOECの卒業生・齋藤千夏さんが撮った映画「自由な学校」の上映会で海沿いの倉庫街へ。

上映会のあとのワークショップを担当。TOECや、伊勢達郎さんや、見たばかりの映画を祝福する時間を、集まった人たちとつくり出せたと思う。

伊勢さんとの出会いは、私が大学の授業に困ってワークショップの勉強を始めた頃だから、20年ちょっと前か。赤城山で開催された「全国教育系ワークショップフォーラム」だ。
彼の存在から学んできたことは本当に大きい。恩返しをいそがないと。


東京に戻って一年経って、人間関係が大きく変わったか?というとそんな気もしない。つき合いがつづく人とは離れてもつづくし、どんなに近くにいても関係が深まらない人もいる。「書くワークショップ」の試行錯誤は翌月の〝β2〟につづく。