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靴について

去年と今年、初めてのような気持ちで靴を二足あつらえた。つくり手は別々の若い職人で、一人は安曇野に工房「Forest shoemaker」を構える松下宏樹さん。パートナーの彩さんと切り盛りしているので表現が適切でないな。二人でつくってくれた。

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彼らの靴はこんなふうに、一枚皮で足を包む。縫い目が少なくて、履き込むほど自分の足の形になってゆくんだと評判を聞いていた。出来上がった靴は本当にそうで、履いていると自然で気持ちよく、歩くのが前以上に楽しみになった。自転車や電車に乗っているのがもったいないくらい。

足を測ってもらってから出来上がりまで半年くらいだったかな。受け取りで安曇野を再訪したとき、たまたま松本で展示会を開いていて、誘ったところ一緒に来てくれたのが金澤光記さんだ。

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彼は、自分が6年ほど暮らしている神山町というまちに「LICHT LICHT」という靴工房を構えている。
靴職人ふたり。両選手の語らいはプロのキャッチボールを見ているようで、とても楽しかった。いいものを見せてもらいました。

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松下さんたちの靴をきっかけに、既製靴でない、あつらえた靴の良さに盛り上がった自分は、今年もう一足、今度は金澤さんにお願いした。出来上がりまで3ヶ月ほどだったかな。これがまたとても快適で、人生の質がリアルに足下から変わった。

履いて立ち上がると、背筋がスッと伸びる。靴を引きずるような瞬間がまったく生じない。一歩一歩の輪郭がハッキリして...これはすごいことだなと。

だって家を出てから帰るまで、我々がほぼ1日を過ごしている身近な住環境ですよ。靴は。「下着や靴下もそうじゃない。表現が大袈裟」と言われるかもしれないが、靴は骨格を支えている。身体と重力の折り合いをつけくれているわけで、働きの格が違うと思う。

その彼が神山で、「LICHT LICHT」の並びにある「豆ちよ焙煎所」を会場に展覧会を開くというので、恩返しの気持ちが高まり、手を挙げてチラシをデザインさせてもらった。

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彼のインスタがよかったので、それを素材に18枚くらいある。つくりながらこの一年間のこと。春先のコロナ禍の不安やわからなさや、いろんな気持ちを思い出して、ちょっと切なかったな。でも彼の靴は堂々としていて心強い。

コロナで「エッセンシャルワーカー」にスポットライトがあたりましたよね。金澤さんや松下さんたちは大切なエッセンシャルワーカーだなと思う。医療・福祉、エネルギー、物流、食料品店はもちろんだけど靴も支えてくれている。自分を。物理的にも精神的にも。

展示は始まっているけどまだ見に行っていない。販売会というより、彼の靴がどのようにつくられているのか、出来ているのか。いつも履いているのにあまり知らない靴のことが、あらためてわかる展示に出来たらと話していた。本人が面白いと思っているものがあって、それを伝えたいんだろう。今日行ってみようと思う。

LICHT LICHT「靴について」展 いつも履いているのに知らないこと
2020年11月12日(木)〜29(日)
https://www.in-kamiyama.jp/events/53423/


Forest shoemaker
http://www.forestshoes.com/index.html

LICHT LICHT
https://www.lichtlicht.net