【手記#6】比喩という装置

前提として僕は比喩が好きです。会話の中に的確かつウィットに富んだ比喩を滑り込ませ、それで相手が唸った時、僕の脳ではドーパミン堤防が決壊します。そんな比喩について、最近ひとつの気付きがありました。それは、比喩が生活の指示看板になり得るということです。この事実について考えるために、まず「比喩」の構造を理解します。
「比喩」というプロセスは、
① 状況の要素を理解・整理
② 共通の要素を持つ別の状況を発想
③ ②への飛躍・転換
の三段構えになっています。つまり、比喩を用いる際、私たちは①無意識下で直面している状況の要素を羅列し、まずそれらと向き合っています。そして一旦、②異なるスケールやパターンのなかに共通の要素を見出すことで、③素直に立ち向かうだけでは見えてこなかった道筋を強引に設定することができるのです。もちろん比喩ですから、一定のレベルで異なる状況設定を許容することになり、その方向性が最適解であることは担保されません。ただ、優柔不断な僕の性格には、新たな観点からのアプローチによって矢印を引いてくれる比喩という装置がある程度の機能を果たしてくれるのです。

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