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『Kutopa R-17.99』の生みの親! トヨカノ様にQ&Aインタビュー

今回は、『Kutopa R-17.99(クトパ R-17.99)』 を鋭意制作中のトヨカノ様とのQ&Aインタビューをお届けします。

インタビューは、事前に質問をまとめたテキストファイルをお送りして、お戻しもテキストでいただく形式で行いました。句読点や改行も含め、基本的に頂いたままの状態でご回答を掲載しております。
本記事のヘッダーとインタビュー内の挿入画像は、トヨカノ様からご提供いただいたイラストです。ヘッダーは記事用に描き下ろしてくださいました。






インタビューに入る前に、トヨカノ様の作品の情報をご紹介します。
事前にゲームをプレイいただくのも良し、プレイ後にインタビューをご覧いただくのも良し。


▍作品情報

Kutopa R-17.99 チャプター1

Kutopa R-17.99 チャプター2

作品概要
"あいつら"がここに来る前に逃げないと――
主人公の少年セピアは、拉致されて見知らぬ施設に監禁されてしまった。
そこは記憶を抹消した人間をサイボーグに改造して売り払う施設だ。
運良くセピアには記憶が残っていた。
タコを連れた謎のサイボーグ少女と出会い、彼女の力を借りて脱出を図る。
施設内の住人たちとも上手く駆け引きしながら脱出の糸口を見つけよう!

  • 制作者:トヨカノ

  • 掲載先:ノベルゲームコレクション

  • ジャンル:ホラーノベルゲーム / 脱出ADV

  • レイティング:12歳以上推奨

  • 公開日:2021年9月20日




🚪まずは自己紹介から

Q.
自己紹介をお願いします。
ゲーマー歴、インディーゲーム制作歴なども可能でしたらご回答ください。

A.
ゲームクリエイターのトヨカノと申します。
ゲーマー歴は大体15年、ゲームの制作歴は3年ほどです。
仕事はゲームプランナーをしております。
(と言いましても、まだ新人のひよっこなので胸を張って名乗れる程の者では無いですが…)
れべっご様、本日はこのような機会を設けてくださり、本当にありがとうございます。
よろしくお願いいたします!


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🚪創作のきっかけ

Q.
ゲームを自分でも作ってみようと思ったきっかけをお聞かせください。
創作にあたってインスパイアされた作品はありますか?

A.
元々お話を考えることが好きで、自分の作った話を友人や家族にも楽しんでもらえたら良いなと思っていました。
ノベルゲームコレクションに掲載されている「公衆電話」という作品が、クリエイターさんお一人で作られたものである事を知り、ノベルゲーム制作に非常に憧れを持ちました。

同じくフリーノベルゲームで憧れているのは、「ノアの審判」、「愛しのフランケンシュタイン」、「真昼の暗黒」などの名作です。こんな素晴らしいゲームをいつか自分も作れるようになりたい、やってみたい!と影響を受け、私自身もノベルゲーム制作を始めました。


《筆者注》
ここで挙げられた作品は、後記にてリンクをまとめています。
是非インタビューを読み終わった後に各作品の情報もご確認ください。


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🚪オリジナル作品『Kutopa R-17.99』

Q.
ゲーム本編をプレイしてみて、とにかく画像の量に圧倒されました。
止め絵(一枚絵)だけではなくアニメーションも豊富で、まさかの開幕、蝉すらも動くことに驚きました。
1281枚の絵をおひとりで描かれたとのことですが、イラストやアニメーションは独学でしょうか?

A.
ありがとうございます。
作中のイラストとアニメーションは、3年ほどかけて制作しました。
イラストは元々学生時代から美術部の活動等で積極的に制作しており、アニメーションの絵を動かし方は主に通っていた美術大学の授業で学びました。


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🚪ゲーム本編の作画について

Q.
本作はジャンル分けするなら、「脱出ゲーム」というよりは「ビジュアルノベルゲーム」「脱出アドベンチャーゲーム」の印象を受けました。
ですが、イラストやアニメーションがふんだんに挟まれることにより、それらのジャンルとはまた一味違う作風になっていると思います。
特に、アニメーションが挿入されることでテンポが良くなり、より作品に没入できます。
イラストやアニメーションパートで工夫された点やこだわった点はありますか?

A.
クトパは確かに「脱出ゲーム」では無いかもしれないですね…。謎解き要素やアイテムを集めて部屋を攻略する要素は、チャプター1、2にはほとんど入れられていないです。
一応主人公の目的が「閉じ込められた施設から脱出する事」なので、脱出ゲームと言ってしまっています。

お褒めいただき光栄です…!
イラスト・アニメーションでこだわったところは、極力背景にも生活感や人間味が感じられるように描いたことです。
最近はAIが描いた絵が話題になっていることもあるので、負けてられないぞと対抗するつもりでもあります。
背景の一部であるモブキャラ同士が楽しそうに会話していたり、誰かの思い入れのあるグッズがさりげなく描かれていると、プレイヤーに「人が一から手で描いているんだな」と思って頂ける気がするので。


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🚪読みやすさを心掛けた文章

Q.
キャラクター同士の会話など全体的に文章が読みやすかったです。
テキストで心掛けた点やこだわった点などありましたら、お聞かせください。

A.
児童書のようにわかりやすく、はっきりした表現を使うように心がけています。
幼少期から青い鳥文庫の作品や「エルマーの冒険」、「十五少年漂流記」などの児童文学が好きだったため、それらに強く影響されています。
ただ、「サイボーグクトパ R-17.99」の内容にはグロテスクな表現が含まれているので、12歳以下の方は保護者の助言が必要です。


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🚪キャラクターについて

Q.
キャラクターそれぞれの思い入れをお教えください。
現在公開可能な範囲で構いません。

A.
「アザレア」という主人公の脱出を手助けするお姉さんのキャラクターがいるのですが、デザインが個人的に気に入っています。ほろ酔いの女性をイメージして作りました。

その他に、チャイナ服を着た「イア」というお淑やかなキャラクターがいて、テストプレイをした身内の中では好評でした。プレイヤーの方にも気に入って頂けると嬉しいです。

その他のキャラクターに関しては、ネタバレを懸念して控えさせていただきます。
お気に入りのキャラクターが見つかれば幸いです!

アザレアさん


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🚪本作の見所は?

Q.
ゲーム本編の見所やチャプター3について答えられる範囲でお話しください。
現在作業も大詰めといった段階かと思います。
ゲームを作ってみての感想や作る前には想像できなかった点などありましたら、お伺いしたいです。

A.
ゲーム本編で最も力を入れたところは、PVでも公開している「チャプター3」の戦闘アニメーションです。
チャプター3からスローペースだった話の流れが一気に動き出しますので、楽しんでいただけたらと思います。
チャプター1、2の中に沢山伏線を張っているので、色んな所を怪しみながらプレイしてもらえるとより面白くなるかもしれません。

ゲームの制作は、自分の人生にとって非常にプラスになったなと感じています。
ゲームプランナーのお仕事に就かせて頂く際も、実際のクトパの企画書を持ち込んで自己アピールを行いました。

クトパは本来1年ちょっとでの完成する短編だと見通していたのですが、作り込んでいくうちに話が長くなってしまって…。
まさか制作期間が3年もかかるとは思っていませんでした。


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🚪脱出ゲームと独自性

Q.
ジャンルとしての「脱出ゲーム」への想いなどあればお聞かせください。
クリエイター目線、プレイヤー目線、どちらからでも構いません。

A.
ただ部屋から脱出する事を目的としただけではなく、そのゲームにしかない特有の雰囲気があるものや、「主人公はなぜ閉じ込められたのか」、「この場所はどこなのか」、「主人公の背景は?」など脱出する中でストーリーが感じられるものに個人的に惹かれます。
クトパは脱出要素があまり無いのですが、その分ストーリーやグラフィックに力を入れているので、小説や漫画が好きな方にも楽しんでいただけるのではないかと思います。
脱出要素は私の力不足で妥協した部分も多いので、次回作るゲームにはそういったプログラムもしっかり取り入れたいですね。


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🚪インディーゲームについて

Q.
インディーゲーム界隈への想いや今後どうなってほしいなど、何かありましたらお聞かせください。

A.
インディーゲーム界隈に物申せる立場ではありませんので恐縮なのですが、一人のプレイヤーとして、個人・少人数で制作されたゲームが大好きなので、今後も沢山新作を遊びたいです。インディー作品は尖っているコンセプトのものも多くて、個性全開なのが本当に楽しい…!


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🚪クリエイターとしての今後の展望

Q.
気が早い話ですが、更に続編や新作の構想はございますか?
トヨカノ様のクリエイターとしての今後の展望をお聞かせください。

A.
チャプター2を制作している辺りから、別のゲームのプロットを同時進行で書いています。
クトパのイラストの中に次回作のタイトルを忍ばせているので、もし気になった方は探して頂けると大変嬉しいです!


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🗝️ THANK YOU FOR READING!

Q.
この度はインタビューにお答えいただき、誠にありがとうございました。
最後に、プレイヤーの皆様にお伝えしたいことがありましたらどうぞ。

A.
「サイボーグクトパR-17.99」にご関心をお寄せいただき、ありがとうございます!
本作は2024年春〜夏頃に、steamにて無料版を公開予定中です。
有料版コンプリートパッケージの「体験版」としてストーリー本編がプレイできますので、是非遊んで見てください。
2025年には、ノベルゲームコレクションにも公開いたします。お楽しみに!

最後に、インタビューを行って下さったれべっご様、本当にありがとうございました。
大変貴重な機会をいただきました。今後もれべっご様の書かれる記事を楽しみにしております。よろしければ、今後も交流して頂ければ幸いです。

ありがとうございました!

画像クリック(タップ)で拡大表示されます


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▍リンク一覧


トヨカノ様の関連リンク


インタビュー上で挙げられた作品

  • 公衆電話
    制作者:加藤 匠
    公衆電話ボックスに閉じ込められた男性が所持金30円を駆使して脱出を図るノベルゲーム
    2018年8月29日公開

  • ノアの審判
    制作者:飛鳥コウ
    童話×デスゲーム 全4章構成のミステリーアドベンチャーゲーム
    ※12歳以上推奨
    2021年5月26日公開(ver1.0)~現在制作中(ver1.5)

  • 真昼の暗黒
    制作者:隷蔵庫
    血で血を洗うサイコサスペンス 長編ノベルゲーム
    ※15歳以上推奨
    2018年8月18日公開

  • エルマーのぼうけん』(原題:My Father's Dragon)
    著者:ルース・スタイルス・ガネット
    1948年に発行された児童文学作品

  • 十五少年漂流記』(原題:Deux ans de vacances)
    著者:ジュ-ル・ベルヌ
    1888年に発行された少年向け冒険小説

※敬称略での表記となります。
※レイティングは各作品の指定に基づいています。
※『十五少年漂流記』のリンクは、青い鳥文庫版にしました。




編集後記【Lv.5_memo】

前回のインタビュー記事の編集後記で、インタビューを受けてくださるクリエイターや実況者など脱出ゲーム関係者の方々を募集しましたところ、トヨカノ様からご連絡をいただきました。
改めまして、インタビューをお受けいただきありがとうございました。

【脱出ゲーム】ふたりの想いは箱の中」の記事を読まれたのがきっかけでのご応募とのことで、どこでどうご縁が繋がるかわからないものですね。
ご縁に感謝です。

インタビューを通してトヨカノ様の創作意欲、その実現力と熱量が更に伝わりました。
見習わないといけません。


インタビューの質問内容をいくつか補完します。
「イラストやアニメーションは独学」かとお伺いしたのは、本作のアニメーションがアニメーターのそれともまた異なるように感じたため、こういった質問になりました。
1281枚は本当に凄いですね。普通にショートアニメを作れそうな枚数です。

「『脱出ゲーム』というよりは『ビジュアルノベルゲーム』『脱出アドベンチャーゲーム』の印象を受けました」という文言は、否定的な意図で書いたわけではありません。
単に、プレイヤーに作品を紹介する立場として、より妥当性が高い情報をお伝えすべくジャンルを判然とさせたい意図でした。本作に限らず、クリエイターの方々は気にせず、お好きなジャンルで登録していいと思います。

このアカウントの趣旨は、プロフィール欄で「PC向け無料脱出ゲームをご紹介」と銘打った通りです。
一般的に定義される脱出ゲームは、謎解きをして密室など閉鎖された空間や環境から脱出するアドベンチャーゲームの一種でしょう。
広義なら「何処かから出ることがゲームの目的なら、脱出ゲームと名乗っていんじゃね?」とも思っていますが、正統派脱出ゲームを望むプレイヤーからしたら「そこは狭義で頼む」と思われそうな気もします。
ジャンル分けは地味に難しいですね。

話の流れで、ついでに。
筆者がご紹介する作品の条件は、PCのブラウザでプレイできること、フリーゲーム、ポイントアンドクリックゲーム、脱出ゲームの体を成している作品、クリックパズルゲーム……と、うすぼんやり縛りを設けています。
これはFlash時代の脱出ゲーム紹介サイトの慣例を踏襲しているだけで、明確なルールではありません。
現にダウンロード版のみ公開の作品でも紹介するときもあります。


オーソドックスな密室脱出ゲームは、図形や数字を用いる謎解きが多く、海外の作品でも言語の壁を感じにくいです(アラビア数字っょぃ)。世界観や人物相関図を頭に入れる必要もなく、ただ扉を開けるのが最終目的で、謎解きだけに集中できる点が何より自分の好みに合うと感じています。
図らずも、これはトヨカノ様がご回答くださった好きな系統の脱出ゲームとは対極かもしれません。

ただ、あくまで脱出ゲームの話であって、ノベルゲームとなると別です。
登場人物同士の会話が始まり、そのやり取りが面白ければ一気に惹き込まれます。
漫画でも読者が一番に目にするのはフキダシの中の文字列=「会話」で、そこからいかに主人公に興味を抱かせるか、感情移入させるかが肝要です。

例えば、芸能人や廻りの人の恋愛事情には関心があっても、見ず知らずの他人の恋愛事情には「知るか、爆発しろ」と一蹴したくなると思います。
その対象のことを「知っている」か否かが鍵です。
そこで恋愛リアリティーショー宜しく、「知らない」対象に焦点を当て深掘りすることで「知っている」対象に昇格すれば、この対象の動向に関心を寄せるようになります。

創作の世界も同じで、会話を通して主人公に興味を抱かせたら勝ち確です。



(ご唱和ください)

「オメーどこ目線からモノ言ってんだ!!!!!?」



――本題に戻ります。

『Kutopa R-17.99』はナレーションを読みやすい文章で綴り、キャラクター同士の会話が楽しげで時に小気味よく、初見プレイヤーにも興味を抱かせる最初のハードルを軽々とクリアしています。
尚且つ、豊富なイラストとアニメーションが挿入されることで、作品全体にリズムが生まれ「ダレる」ことがありません。ノベルゲームが苦手なプレイヤーでも遊びやすい作風となっています。
イラストとアニメーションは、全体的にカラフルで目で楽しむ以外にも、要所要所に伏線があったり目が離せません。

トヨカノ様のPixivには件の企画書の一部が掲載されています。
未プレイの方は、事前にこちらをご覧いただくのもおすすめです。食指が動くこと請け合いです。

そして、LINEスタンプのイラストを拝見するに、主人公たちが初心うぶなラ波感を醸し出しています。
筆者個人の嗜好として「Boy Meets Girl(少年が少女に出会う)」系の創作からしか得られない栄養があり、その意味でも今後の展開が気になります。

既プレイの方も未プレイの方も、是非この機会に遊んでみてください。


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