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今この場でしか揃わない唯一無二のお笑いライブ「TP寄席 Vol.3」公式ライブレポート 2023.10.10

2023年10月10日、しもきたドーンにて『TP寄席 Vol.3』が開催された。
『TP寄席』とは、お笑いラジオアプリ『GERA』のチーフプロデューサーや音声配信アプリ『stand.fm』コンテンツアドバイザー、YouTubeチャンネル『金属バット無問題』『10億円無問題』などを手掛ける高橋雄作氏、通称TPが「今ネタが見たい、話してみたい」と思う芸人たちを集めるライブとなっている。
第3回の今回は現役の学生芸人からプロとして大活躍中の芸人まで色とりどりな出演者が揃い、まさに「ここでしか見ることの出来ないお笑い」が展開された。今回はそんな『TP寄席 Vol.3』について出来るだけ臨場感が伝わるよう写真を交えてレポートを綴っていく。



オープニング

開演時間。舞台が明転し、最初に登場したのは今回MCを務めるめぞんの二人と主催のTP。

めぞんの吉野といえば東京・神保町よしもと漫才劇場で活躍する吉本芸人3人でルームシェアをしている『板橋ハウス』がYouTube、TikTokなどで所謂”バズっている”状態であることを知っている方も多いだろう。
TPはそんな板橋ハウスが配信するラジオ番組『板橋ハウスのラジオディア』の作家兼プロデューサーを担当しており、今回はその繋がりでめぞんがキャスティングされたという形だ。

板橋ハウスのラジオディア(stand.fm)

今回は"ネタ中以外は写真撮影可"というお笑いファンには非常にありがたいライブとなっており、登場するや否や早速吉野が「めぞんとTPの3ショットのシャッターチャンス」を作ってくれた。

▲開始早々シャッターチャンスのTP(左)、めぞん吉野(中)、めぞん原(右)▲

前述した通り普段は『板橋ハウス』としての仕事でTPと会っているということもあり、『めぞん』としてスーツを着ている吉野を見たTPが、出番前に思わず「スーツ姿、格好良いね…」と話しかけていたという場面をバラされる一幕も。
さらに、オープニングトーク中にめぞんの二人による漫才のような息の合った掛け合いを見て「おお~」と感嘆の拍手をしたりと、TPが芸人たちを保護者のように暖かく見守っているのかがよく伝わる、とても微笑ましいオープニングとなっていた。

▲拍手するTPと、授業参観みたいとツッコむ吉野▲


ネタブロック前半

▲激しすぎる緩急が心地よい とんかつ街道 村田(左)、かつやま(右)▲
▲一度見たら抜け出せないほど虜になる女性漫談師 土井集合住宅▲
▲テンポ良く独特の世界に導かれる漫才のにぼしいわし にぼし(左)、いわし(右)▲
▲胸にグッと来る青春群像劇コント 2番目のアポロ 安達(左)、中村(右)▲
▲ツカミで2番目のアポロの話しか喋れなくなるめぞん 吉野(左) ツッコむ原(右)▲



中MC①(とんかつ街道/にぼしいわし)


ここからは出演者を2組ずつ呼びトークを行う。
まず登場したのはとんかつ街道とにぼしいわしの2組。

登場して早々に拳を交えるめぞん吉野ととんかつ街道村田。
それを見てこれが東京の一番のノリなのか、と勉強熱心に見回すにぼしいわしのにぼし。このように和やか(?)な雰囲気で中MCは始まった。

▲出会って5秒で拳を交えるとんかつ街道村田とめぞん吉野▲

とんかつ街道かつやまとTPは、歌舞伎町でルームシェアをしていた3人のラジオ番組『かぶさんラジオ』での繋がり。そこからコンビのネタを見て今回のTP寄席にキャスティングしたという。

また、村田についてもさらば青春の光東ブクロとパンプキンポテトフライのラジオ番組『ブクロフライ!!!』にてゲスト出演した時からの繋がり。
その日の収録回にてお金の受け渡しの場面があったのだが、それを見た村田がどんな激しい反応をするかと思いきや、逆に冷静になっていた所が意外だというTPから村田への印象深いエピソードを語った。
詳細についてはぜひstand.fmで配信されているラジオを聞いてみてほしい。

かぶさんラジオ(stand.fm)

ブクロフライ!!! by stand.fm
#19「後輩たちに大金をバラまく逸材」(村田大樹)

お次はにぼしいわしとの関係について。TPがにぼしいわしを好きすぎて、今年はじめに大阪に行った際に急遽ライブを見に行ってしまったという"ファンっぷり"を激白。更にそのライブは超若手芸人のオーディションライブとなっていたため、観客もごく少数という所謂"マイナー感"の強い公演だったという。MCのにぼしいわしは突然襲来した業界関係者の観客に驚き、TPのいる場所には「光の柱」が見えたと話す。
そこから関係が深くなり今回のTP寄席に出演したという流れだ。

▲TPの柱を表現するにぼしいわし いわし▲

また、にぼしいわしは2023年の10月に東京進出を果たしたばかりで、これを期に一緒に仕事が出来ると嬉しいと話すTP。
これから東京のライブシーンでより一層輝くにぼしいわしが見られる可能性が高いので注目していきたい。

にぼしいわしの吹き溜まり(YouTube)


中MC②(土井集合住宅/2番目のアポロ)


次に登場したのは土井集合住宅と2番目のアポロの2組。
どちらも現役学生芸人として活動している芸人である。

土井集合住宅は主に漫談を行う女性ピン芸人で、TPは「1年ぐらい前から好きで今回紹介したいという意味も込めてキャスティングした」と語った。
女性ピン芸人が行う漫談自体珍しいのだが、土井集合住宅の場合は「女性あるある」や「恋愛系」ではない、「世間に吠える」漫談となっており、そのスタイルはまさに唯一無二と言っても良いだろう。

▲胸に手を当て言葉を噛みしめる土井集合住宅▲


迫真の訴えの中に秘めるどこかニヤニヤしてしまうポップさは、彼女の人間性からしか出せない非常に見応えのある語りなので、
まだネタ見たことないという方がいればぜひYouTubeで動画をチェックしていただきたい。

土井集合住宅(YouTube)


2番目のアポロとの出会いはTPも審査員として参加したUNDER 25 OWARAI CHAMPIONSHIP。さらにはUNDER 5 AWARDの準決勝でもネタを見たことで今回の寄席に呼んだとのこと。

2番目のアポロは安達鈍弥と中村雨実の同級生男女コンビで、青春を題材とした学生のリアルな"心情"を表現するコントをメインとしている。内容が面白いのはもちろんなのだが、青春時代の機微な気持ちの揺れをコントの中に感じられて、時々胸にキュッと感じる何かがたまらなくハマってしまう。

▲2番目のアポロのコントに心奪われためぞん吉野、絡まれる安達▲

出番直前にネタを見ていて、その後の漫才のツカミに影響してしまうほどすっかり世界観にドハマりしてしまっためぞん吉野が「まるでSNSで展開される青春恋愛マンガのよう」と形容していたが、まさにその通りで、決してドロドロしない。しかし、どことなく胸にじくりと残るそのコントは、どの世代のどんな恋愛をしてきた人間にも刺さるものだろう。

2番目のアポロに関してもYouTubeにて様々なネタが公開されているのでお笑いファンであれば一見の価値ありだ。

2番目のアポロ(YouTube)

また、トークでは学生芸人たちの将来についての話についても大いに盛り上がった。
大学を卒業したらどうするのか、という質問に対して
土井集合住宅は「就職活動がハードすぎてお笑いをやるしかない状況かもしれない」と語っており、2番目のアポロの二人は「今のところ就職の予定」と話す。
TPが今回2組をキャスティングした理由に「もし続けてくれたら嬉しいなという気持ちを伝えかった」と述べており、今回の『TP寄席』がお笑いを続ける1つのきっかけになれば嬉しい。

▲もうお笑いをやるしか道がないかもしれないと話す土井集合住宅▲


ネタブロック後半


▲ネタのギミックでいぶし銀の笑いを誘うヨッフィー 川原崎(左)、岡村(右)▲
▲コントの気持ち良さに客席から感嘆の声も聞こえた都トム 可児正(左)、高木払い(右)▲
▲めくるめく予想のつかない展開に笑いが無限に続くサツマカワRPG▲
▲トリを務めたのはトンツカタンお抹茶。まさにお抹茶ワールド全開▲


中MC③(ヨッフィー/都トム)

後半のネタブロックが終わって最初に登場したのはヨッフィーと都トム。

頻繁に現場に足を運ぶお笑い芸人マニアでも「ヨッフィー」というコンビ名に耳馴染みのない方がいるかもしれないが、それもそのはず。2人は普段ガチガチのサラリーマンであり、M-1出場のためだけ芸人活動を行っているとのこと。
しかし、そんな完全アマチュア芸人であるものの、2022年からM-1グランプリに2回出場し、なんと2年連続で1回戦TOP3に入っている、とんでもない実力を持つコンビなのである。

TPとの関係は川原崎が大学お笑い時代の1年先輩であり、そこから現在"仕事でも"繋がりが続いていると言う。
前述した通り、コンビでのネタのクオリティの高さは折り紙付きなので今回キャスティングしたとのことだ。

▲TPから明かされるヨッフィーの経歴に芸人からも観客からも驚きの声が上がる▲

お笑い芸人としての実力はもちろん社会人としても高い評価を得ており、詳細は控えるが放送業界における"芸人がお世話になる側"の人間なのである。こちらもとんでもないプロフィールだ。
そんなコンビの賞レース調整ネタもトークも見ることができるのは日本中どこを見回しても『TP寄席』ぐらいなのではないだろうか。

ヨッフィーでのネタについてはM-1グランプリの公式動画で見ることができるが2023年の1回戦突破時のコメントを撮っているチャンネルもあるので、ネタ動画と一緒にチェックしてみるのはいかがだろう。

M-1グランプリ2023を「2回戦も頑張ルノー」するドルヲタP【ヨッフィー】


都トムについては可児正が『TP寄席』唯一の皆勤賞
第1回の時に出演したきっかけは"作家の山田ボールペン氏がTPに会わせたいという理由でキャスティングした推薦枠だった"との裏話も飛び出した。

「いろんな芸人さんを呼びたい」というコンセプトであるTP寄席に於いて、ただ一人だけ皆勤賞という時点で、TPがどれだけ可児正の世界にハマっているかが窺える。

そして、今回は初めてコンビ『都トム』としての出演。7月にはインターネットラジオの『GERA NEXT』を担当したことも記憶に新しい。

都トムのGERA NEXT
#1 僕ら都トムはモノマネが大好き!

また、可児正についてはヨッフィーが在学していた大学の後輩。同じ大学の3人が三者三様の違いすぎる人生を送りつつも、同じ舞台で共演するというのは底知れないエモさまでも感じてしまった。

▲サークル名を聞かれ「テニスサークル」と言い放つ可児正▲


中MC④(サツマカワRPG/トンツカタンお抹茶)

次の2組を呼ぶ場面であったのだが…めぞん原が段取りを誤り、順序を飛ばして「エンディング全員集合」と言いかけてしまうハプニング。

これに対してすぐにサツマカワRPGとトンツカタンお抹茶を呼びなおすものの……

▲舞台袖で拗ねるサツマカワRPG▲

その後、なんとか無事にステージに出てきたサツマカワRPGとお抹茶。

早速お抹茶がおなじみの挨拶「お抹茶にハマっちゃえ~」を披露するもふわっと盛り上がる会場。
「実は未だにポーズが決まっていない…」とつぶやく一幕もあった。

▲お抹茶にハマっちゃえ~!▲

サツマカワRPGとTPの繋がりといえばやはりGERAで特別ラジオ番組として配信されていた『サツマカワラジオ』。
このラジオはサツマカワRPGによる1人喋りがメインで、ゲストを呼ばないストロングスタイルな番組なのだが、プロデューサー兼聞き役として時々合いの手やツッコミに入るTPとの絡みが小気味よく、インターネットラジオ界隈でも評判が高いラジオとなっている。

良い意味で「ラジオの常識をぶち壊した」内容となっているため、普段ラジオをあまり聞かない人にもオススメだ。

サツマカワラジオ
#1 ひとりラジオぶちかましとくか…

今回『TP寄席』にキャスティングした理由の一つとして
「現在不定期で配信している『サツマカワラジオ』を定期的にお願いします」と言いたいという願いも掛けているとのこと。
この願いが無事に届くことを祈りたい。

お抹茶とTPの関係性については
草野球で同じチームというリアルな交友関係も明らかにされた。

また、ネタ動画を見ているうちにトンツカタンにハマり
今回はトリオではなくどこにもない世界観のコント見られる
「お抹茶」のピンネタをキャスティングしたとのこと。

過去に終了してしまったトンツカタンのGERAのラジオについても話題に。
お抹茶曰く終了の原因は「サムネイルを失敗してしまい人気が足らなかった」と話す。

聞くトンツカタン
#145 GERAにarrive backできる日まで

こちらはお抹茶側からTPへ「ぜひまたラジオをお願いします」と訴えていた。この願いについても無事に届くことを祈りたい。

▲拍手に集中させる為 観客にメガネを外すように言うサツマカワRPGとちょっと引くお抹茶▲


エンディング


最後は出演者が全員集合。各々が告知などを行った。

▲告知の際に謎のくだりを披露するととんかつ街道かつやま▲

そして、主催のTPより今回の寄席について「他のライブでは見られない、色々なお笑いの形が見られて非常に楽しかった。今後もお笑い界の力になれるように頑張ります」と一言。

ここで終わり

と思いきや最後なぜかTPを胴上げする流れに。

▲なすがまま芸人たちに担ぎ上げられるTP▲
▲下北沢の宙に舞うTP▲

そんな胴上げで祝勝ムードの中、
突如後ろから現れたのは2番目のアポロ安達を肩車する可児正の姿。

▲意地でも降ろさない可児正▲

結局安達は肩車から降ろされることなくTP寄席は終演。
最後の最後まで見たことのないお笑いを見ることができるライブとなった。


あとがき


主催のTPが想定するコンセプトの通り、たった90分とは思えない濃度と多種のお笑いを浴びる事ができ、様々なメディアでお笑いを見る自分にとっても十二分に満足できる最高の時間であった。

これだけバラエティに富んだメンバーが呼べるのは、これまでのTPの努力が実を結んでいるからこその人望であることは間違いない。
Vol.3が終わった直後ではあるが、既にTP寄席 Vol.4に誰が出演するのか楽しみだ。

また、今回のライブを通じて今まで聞いたことのないラジオや番組にも興味を持った方も多いだろう。私もその1人であるため、この『TP寄席』をきっかけとしてさらに新しいお笑いの沼を開拓していこうと思う。

出演した芸人たちの今後の活動やお笑いファンの気持ちを掴んで離さないTPの今後のメディアでの活躍を期待しよう。

最後にこの最高の時間を作り上げた出演者の集合写真と、じじゃく氏が制作を行った『TP寄席』を彩るフライヤーを以て、このレポートの締めとさせていただく。

 文・編集:らずりー(@Luzuly2109)
写真:さくらいもえ 様

▲TP寄席 Vol.3の出演者▲
▲見るだけでワクワクするじじゃく氏制作のTP寄席 Vol.3フライヤー▲

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