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Luup創業者が語る、電動キックボードのサービス開始から1年間で起きた大きな変化(前編)

2021年4月に電動キックボードのシェアサービスがローンチしてからもうすぐ1年。Luupの創業期を知るメンバーは、事業面でも組織面でも大きく変化した年だったと話します。

2月には新たなValuesも制定し、ロゴもリニューアル。この1年でLuupがどう変わってきたのか、現在から見たLuupのこれまでとこれからの展望について、共同創業者の3名と人事責任者の前川が、前後編に分けて対談形式でお届けします。

前編は、この1年間で印象に残っているトピックス、社外からの見られ方や組織の変化について語ってもらいます。

岡井大輝:CEO(中央左)
東京大学農学部卒業。その後、戦略系コンサルティングファームにて上場企業のPMI、PEファンドのビジネスDDを主に担当。その後、株式会社Luupを創業。代表取締役社長兼CEOを務める。2019年5月には国内の主要電動キックボード事業者を中心に、新たなマイクロモビリティ技術の社会実装促進を目的とする「マイクロモビリティ推進協議会」を設立し、会長に就任。

岡田直道:CTO(中央右)
東京大学工学部卒業後、同大学院在学中より株式会社AppBrew、株式会社リクルートライフスタイル、Sansan株式会社など複数社で主にサーバーサイド・iOSアプリ開発業務を経験。株式会社Luup創業後はCTOとして、エンジニア組織の構築やLUUPのアプリケーション開発・社内システム整備を管掌。

牧田涼太郎:CPO(左)
東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修士課程修了。在学中に株式会社Luupを共同創業し、最初期の仮説検証とプロダクト設計を担当。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。主に製造業の日系大企業の新規事業立ち上げや全社変革のプロジェクトに従事した後、2021年4月に再度Luupにジョイン。

前川明俊:CHRO兼アライアンス責任者(右)
新卒で株式会社リクルートに入社。営業、事業企画を経験したのち人事領域の責任者を歴任。その後ポート株式会社にて人事担当執行役員、株式会社オクト(現、株式会社アンドパッド)にて、経営管理、カスタマーサポート・カスタマーサクセスの組織化を推進したのち、リクルートに再入社。国内事業会社を再度統合するPJTの立ち上げメンバーとして各種案件を推進。エンジェル投資家としての顔も持つ。


この1年で最も印象に残ったことは?

ー皆さんにそれぞれお伺いしていきたいのですが、電動キックボードのシェアサービスローンチ以降、エリアの拡大など様々なトピックスがありました。特に印象的だったことはありますか?

岡井:一番大きいのは、キックボードのシェアサービスが始まって、市場に一定受け入れてもらえたこと、その結果として今参加している安全性を検証するための実証実験にデータが溜まり、2021年末に政府に提出できたことかなと思います。

特例制度で実証をおこなった多くの電動キックボード企業全体で約50万km走行したうち、Luupは45万km超を占めた。その中で、重篤な事故が起きなかったということも印象的でしたね。僕らの安全対策が一部寄与して、この規模の数値になって現れたという意味では初めてなので。

PMF※という概念がありますよね。定義は色々あるんですが、”勝手に口コミがバイラルしていくタイミング”みたいに言う人もいるんです。それはLuupで言うと自転車ではなくキックボードのローンチの時だったんですよね。一気に市場に浸透していって、一定の方に使ってもらえる。もちろんそれは一時的なPMFで、さらに深く広いPMFをどんどん重ねてかなきゃいけない層のような構造のものだと思うんですが、その1つ目の層がキックボードによってもたらされたと感じます。

※PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、提供しているサービスや商品が、顧客の課題を解決する製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態のこと。

ー岡田さんはいかがでしょう?

岡田:僕は電動キックボードのサービスローンチそれ自体が大きかった印象ですが、その後の変化で言うと、Luup創業から見てきて初めてのタイプの、緩やかに大きな変化があった年だったと思っています。

キックボードのローンチから半年後の2021年の秋冬ぐらいに、サービスとしてある程度安定してきたLUUPをどう大きくしていくかという方に視点が変わってきたんです。それまでは新しいものを作って世に出すことをハイペースで進めてきました。自転車のサービスローンチが2020年の5月でしたが、それ以前から実証実験や自転車のローンチ前の準備も含めて2年半以上やってきました。その後はキックボードの準備をし、ローンチ後はまた新しいエリアでの展開があって…という感じで。

今後さらに大きく展開していくにあたっては、ユーザーや車体・ポート数の増加、それに伴う通信のトラフィックも増えていく。新しいものを作って出すだけじゃなくて、今後の拡大に耐えられるような基盤を作っていきつつ、新規ユーザーに加えて既存のユーザーがより多くの頻度で長く使ってくれるようなサービスにアップデートを重ねていきたいなと。良い意味で、サービス自体への向き合い方が変わっていったのが印象的でしたね。

ー牧田さんはいかがですか?

牧田
:僕はそもそも2021年の4月に再度ジョインした※形なので、4月時点との比較になってしまうんですが、キックボードのローンチとその後のエリア展開は、売上の数字推移などを見ていてもやっぱり大きかったです。それによって周りでも「LUUPを使ったよ」「見たことある」という声はかなり増えたし、認知度も上がったと思います。

組織面でもメンバーが増えて、規模が大きくなれば追う目標も変わったりするので、そういう意味では全方面変わったなと感じています。ある種、僕が前に在籍していた2019年の3月末から再ジョインするまでの2年の変化より、質が違う大きな変化がこの1年であったんじゃないかなと。

僕が再ジョインした時は、違和感なく戻れるくらいあまり変わってなかった。メンバーも過半数は知ってる人だったし、キックボードもローンチ前で、あくまで実証実験に向けた準備をしている段階でした。そう思うと、昨年4月からの変化はかなり大きかったですね。

※牧田の経歴について
東京大学在学中にLuupを共同創業し、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2021年4月に再度Luupにジョイン。

ーそれだけキックボードのローンチは大きなきっかけになったと言うことですね。

牧田:そうですね。それに、大きく注目を浴びるようになってLUUPという事業の社会的意義も大きくなってきました。以前から安全性は最重要視していましたが、今後もしっかりと考えていきたいです。

ーなるほど。前川さんはいかがですか?

前川:そうですね。キックボードのローンチももちろんそうですが、僕も同じく東京以外の都道府県でもサービス提供を開始したのは大きかったです。大阪市、宇治市、京都市、横浜市へと展開し、社会的責任もすごく増したなと。キックボードは形として見えやすいし、実際とても大きなトピックだったんですが、どちらかというとどんどん加速していろんなものが回り続けた1年だったと思いますね。

岡田:キックボードのサービスローンチからまだ1年経ってないとは、実感がないですね(笑)

岡井:やることが重く、かつ多すぎて。3倍から5倍ぐらいの時間が経ったような気がしちゃうのはLuupの特徴ですよね。入社した方はすぐ実感すると思いますが(笑)

ー私もジョインしてから同じように感じていました。スピード感も然り、この濃密さはあまり他社では味わえないのではないかなと。

社外からの評判は?

ーLuupを取り巻く環境も大きく変わりました。社外からの印象や評判の変化など、皆さんどのように感じていますか?

岡井:周りからの印象や評価の変化で言うと、キックボードがスタートした時点で変わったなという感覚がありました。Luupとしてはまだ安全の検証中で、プロダクトに関してもどうしたらユーザーにより深く刺さるか設計をしている段階。まだまだ挑戦途中だし、自由度が高い0→1の最中なんですが、周りから「もう結構大台に乗ったね」というように見られているんだなと実感することが増えました。

キックボードのサービスを始めるまでが大変ということを、他社の事例を通して知っている人が多かったので「こんなに早く始められてよくやったね」みたいに言われることが多くて。「まだまだなんだけどな」という認識のギャップをこの1年間で感じましたね。

ー岡田さんは、創業期〜キックボードローンチのタイミングまで見てきた方だと思います。「ユーザーがより使いやすいサービスに」という部分に視点が変わってきたと言っていましたが、ユーザーの方からこういう声が増えたと感じることはありますか?

岡田:開発の文脈というよりは、技術者採用の際に感じますね。僕はエンジニアの候補者の方と全員お会いして面接や面談をしているんですが、Luupが開発しているプロダクトや開発モジュール、どんなフェーズでどのような技術課題があるのかを話す上で「LUUPのサービス内容と、そもそも電動キックボードを知っているか」を、最初に必ず聞いています。キックボードのローンチ後、その両方を知っている人の割合が圧倒的に増えたと感じますね。

自転車のローンチ時からずっと根強く使っていただいてる方もいるのですが、知名度という意味では「LUUP=キックボードやってる会社?」という印象を持っていたり、電動キックボードが始まる時のリリースをきっかけに知った、街中でキックボードが走ってるのを見て知ったという人は多いと思います。

組織はどう変化した?

ー組織面でも、急拡大する中で大きく変化があったと思います。人事責任者として全体を見ている前川さんはいかがですか?

前川:1年前のことって記憶の彼方ですね…。昨年の2月はまだ渋谷のオフィスにいましたし、経営体制としても代表の岡井がファイナンスを見て、経営陣それぞれが兼務をしているような布陣でした。今では、昨年新しくジョインしたPEファンド出身のCFO向山がファイナンスをリードしていて、岡井は経営全体をより俯瞰することに多くの時間を費やしています。

ー当時を想像するとカオスですね。

前川:そうですね(笑)今は4人でなんとか張っていた布陣をどんどん細分化し、同時に専門化が進んでいますね。その中で、年齢や過去の経験にも幅が出てきたと感じています。

Luupは初めから”街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる”というミッションの達成に向けて全力を注いできましたが、これは本当に難しい。世界でも確立していないポートモデル※を採用しているので、それを日本で実現させるためには専門性を持った人材も必要ですし、多くのステークホルダーがいる中では、ただ「サービスが便利だから」では終わらないんですよね。

そういうことを踏まえた時に、いかに早く、またフェーズごとに変わり続けることを許容し、それを楽しめる人を採用できるかということを重視してきました。採用プロセスでは、可能な限り目の前の業務に全力を発揮してもらえるか、互いに理解し合えるかということを1年間やってきたと考えています。“全てはミッション実現のために”と言う柱のもとに多様なバックグラウンドを持つ方々が集まっているという状態は、胸を張れる大きなことだと思います。

※ポートとは、LUUPのモビリティを借りたり返したりすることができる場所のこと。返却予定のポートを予約していただくことで、安心して向かうことができます。また、街の景観を保つことにも繋がります。

ー他にも、組織が急拡大することによって生まれた課題はありますか?

牧田:コロナの影響もありますが、組織の急拡大に伴って対面で話す機会がない人が増えてきた印象がありますね。2021年4月時点では2年間いなかったにもかかわらず、ほぼ全員と喋ったことがある規模感だったものが、最近はフルタイムの社員でも喋ったことがない人がいて、課題感が大きくなっています。

個人プレーで進んでいた部分が成り立たなくなることも出てくるので、チームとして仕組み化しつつ、ミッション達成に向けて動けるような体制作りがより大事になってきてるなと。

岡井:組織が大きくなることによる弊害以外にも、Luupでは事業自体の複雑性が高いので、全員がプロダクト全体を俯瞰して見れないと良いものが作れない。例えば、ユーザーが利用するアプリとそのユーザー獲得のためのマーケティングだけでなく、正しい状態に機体を置くオペレーションと、その裏側のためのアプリケーションなどを作る必要がある。

各部署が有機的に関わりながら専門性を発揮していく必要があるので、チームが急拡大することでの難しさは一段とあるように感じています。様々な人と連携して進むので楽しいんですが、その反面難しさがあるかなと思っています。なので組織としても、その時々で最適な形に微妙なアップデートを繰り返しているんです。人数が急激に増えたことでさらにその課題を感じるようになったので、今回それを意識したValuesに作り直しました。



では、そのValuesはどのように制定されたのか?後編へと続きます。

Luupでは、”街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる”というミッション達成に向けて、前例のない道を共に進んで行ける仲間を募集しています!詳しくは、採用ページをご覧ください。


注力ポジションは以下の通りです。

デザイナー

▼エンジニア

▼CS


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