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レシピ:ひよこ豆のぺースト

10年以上、前のこと。
スーダン人のご夫婦が営むケバブ屋さんがありました。店内ではアルコールを販売しない、真面目なムスリムの方たちのお店でした。
そこでいただいたファラフェルやレンズ豆のスープ、ラムのシチュー、フムスやババガヌーシュが、私のイスラム料理好きに拍車をかけました。
ちょうど、色んな出来事があって心身ともに疲れ果てていた頃で、丁寧に何時間もかけて煮込んだシチューの優しい味と、知的で温和なご夫婦の人柄の両方に、ずいぶんと慰められたものです。

ご夫婦には、スーダンが70年代には社会が近代的になったにも関わらず、その後の長期に渡る独裁政権と内乱で、人々の生活が苦しくなったことを教えてもらいました。ナイル川上流にあり、エジプトよりも多くのピラミッドがあること。内陸地と紅海沿岸では、まったく別の風土や景色を楽しめること。人々が平和に暮らしている街もあることなど…。
その後、ご夫婦はドイツに転居し、そのお店はなくなりました。それで、食べられなくなったお料理を、ほかでは食べられるお店がないものだから、自分で作るしかなくなったのです。
あのご夫婦、今はどちらにいらっしゃるのか。どこにいらっしゃるとしても、戦争からも病気からも貧困からも免れて、平和に幸福で健康に過ごしていらしていてほしいものです。

さて、そんな思い出のあるイスラム料理のなかでも、一番簡単!
フムスやホンムスと呼ばれるひよこ豆のぺーストです。
これで300ccの容器にいっぱいぐらいの量です。

材料

ひよこ豆:パウチなどに入った煮豆なら50グラム。チャナダール(ひき割りの乾燥豆)なら1カップを浸水しておく。
練りごまぺースト:大さじ2。
にんにく:ひと欠片をみじん切り。チューブなら1cmぐらい。
豆の煮汁もしくは水:1カップあれば足りる。
オリーブ油:お好みで。大さじ1-2ぐらい。
レモン:半分を絞るぐらい。
塩:少々。
クミンパウダー:一振り、二振りぐらい。お好みで。
コリアンダーパウダー:一振りぐらい。お好みで。

手順

  1. 乾燥豆を使うときは、前もってさっと洗って、多めの水に浸水しておく。ひき割り豆なら30分程度でもよい。そのまま、柔らかくなるまで煮る。煮汁は捨てずに置いておく。

  2. フードプロセッサーに、豆とにんにくを入れてペーストを作る。

  3. ねりごまペーストを加えて混ぜ合わせる。豆の煮汁(もしくは水)を加えて、固さを調整する。

  4. オリーブ油、塩を少々、好みでクミンパウダーやコリアンダーパウダー、レモン汁を加えて好みの味に混ぜ合わせる。

サラダ用のパウチのひよこ豆を使えば、一瞬でできるお料理です。
パンに塗りながら食べたり、肉料理の付け合せにしたり、これも食べ方は色々です。
付け合わせとしても使いやすいのですが、腹持ちがよくて、お腹いっぱいになりやすいおかずです。

普段はクミンやコリアンダーを使わずに仕上げることが多いのですが、ひよこ豆の大人しくて素朴な味わいが物足りない人には、クミンで香り付けしたほうがオリエンタルな雰囲気を楽しめると思います。
混ぜ合わせなくても、後から振りかけるのでも大丈夫です。
オリーブオイルも仕上げに飾るように表面にかけておくこともあります。
カイエンペッパーやパセリのみじん切りをトッピングしたり。
たぶん、これも各ご家庭の味や作り方があるようなお料理だと思うので、気張らずに作るのがよいと思います。

そう言えば、丁寧に作る例として、茹でた豆を使うときも、一旦、茹で直して薄皮をはいでおく、というレシピを見たことがあります。それは、大使館のレシピでした。使い慣れない食材だと、こういう一手間のかけ方も思いがけず、興味深いです。
チャナダールを使うと、その薄皮はすでにないのと、浸水も茹で時間も短くて済むので一挙両得。ただし、茹でているとそのままポタージュになりそうになるので、お気をつけて。

また、ひよこ豆以外の食材を使った変わり種フムスも色々あります。
豆の煮汁やオリーブ油を加えずにお豆腐を追加してみたり、枝豆やアボカドを使って緑色に仕上げてみたり、noteで見つけた栗のフムスも非常に美味しそうです。
基本がお気に召したら、バリエーションを増やすのも面白いと思います。


茹でたチャナダールはとうもろこしに見かけが似ています。大きさもそっくりです。指でつぶせるほどの柔らかさにする前に煮解けてしまいそうになると思います。どうせ、フードプロセッサーを使うのですから、噛んで食べられるぐらいの柔らかさになるまで茹でれば十分だと思います。

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