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書籍『極彩色の食卓2:カルテットキッチン』

みお 2020年5月20日発売予定 マイクロマガジン社

前作と同じように、とても色彩豊かな小説だ。
前作は前作で完成されていたけれども、とても気に入った小説だったので、こうして、登場人物たちに再び出会えて嬉しい。

主人公の燕は、今も律子さんの家に住み、料理の腕を振るっている。
画家である律子さんと、絵について学んでいる最中の燕は、色彩を大事にする人たちだ。
彼らのなかでは、景色や音や雰囲気が、色彩に変換されて認識されているようなところがある。
料理だって色彩が大事で、その日の気分や気温や天気や時間を表すような色彩の料理の次々が美味しそうなところが魅力の小説だ。

今回の作品では、燕は新しい登場人物たちと出会う。
彼らは、「色」ではなく「音」に関わる人々。だから、カルテット。
色と音と味。五感を刺激する要素が以前よりも幅広くなって、読み手に訴えかけてくる。
Stay homeのこの期間、家の中で閉じこもりがちになっていると忘れそうになるのが、こういう五感に訴えかけてくる世界の豊かさではなかろうか。
そういう意味で、一足先に読ませていただき、心をリフレッシュさせてもらったような気がした。

それにしても。
前作からいけ好かないけれども気になる不思議な人物、柏木さんのフルネームが出てきたのであるが、そこでそうきたか!と思わず拍手をしてしまった。
作者の方は憶えていらっしゃるかわからないが、Twitterでのささやかな会話を私はよく憶えている。
これは、もっと続きが読みたくなった。

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