【逗子日記】 20230813
夕方、好きな作家がゲストとして参加しているトーク配信を見た。2ヶ月遅れの後追いだった。
空気が悪かった。ノリが苦しかった。僕が好きな方は画面の中で孤立し、画面の前の僕も孤独感に襲われた。なぜ、そこで茶化さないといけないのだろう。なぜ、笑いに変えようとしないと沈黙に耐えられないのだろう。
日が短くなってきた。早く家を出ないと夕焼けが見られなくなっていく。僕は元々、なかなか家から出られない身だ。しかし、あの時間に、ゆっくりと変わっていく色合いを見ることは好きだった。静かに移りゆくものを美しいと感じるからだ。高速で横切る新幹線でも、倍速で見る動画でもない、騒がしさを見て見ぬふりするような静けさでも、騒がしく時間に追われている時のひとときのような静けさでもない、僕はいつまでも静かな場所を探し続けていたはずだった。
コンロやクーラーボックスを店先に置いて、歩道にはみ出しながらもバーベキューをやっている人々がいた。僕は車道に逸れてその道を歩いて通り過ぎた。二人の女性がコインパーキングの輪止めに腰掛けていた。車は一台も停まっていなかった。人々はそんな駅前の風景を歩いて通り過ぎていった。
散歩から帰ってきた僕はすぐさまシャワーを浴びた。熱帯夜だった。しかし、それにしても、いつもよりずっと早かった。急かされた。何に?
僕はその笑いが、僕の静かなシェルターに沈殿するまでじっと待っていた。そして、文字となって浮かび上がってきた。
夕焼けの色は消えていった。静かに消えていくものを見たかった。
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