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ショートショート 高い塔に来た男


男は急に目が覚めた。
 
部屋を出て階段を上がっていくと、屋上に出た。
 
屋上からの眺めは、とてつもなかった。周囲は霧に囲まれており、下を見てみると、底が見えず真っ暗闇であった。
 
どうやら男は、高い塔かビルのようなところにいるようであった。
 
男にとって問題なのは、なぜ自分がここにいるのかまるでわからないと言うことであった。
 
自分が何か大事を起こしたようであったが、まるで思い出せない。
 
ふと、近くにだれかがいるような気がした。男は首を捻って確認してみると、女の人が近くにいた。とてもきれいな女性だ。
 
どこかで見覚えがある。だが、思い出せない。
 
男はこの女性と自分がいかなる関係なのか考えてみた。家族なのか?恋人なのか?それとも赤の他人なのか?
 
男は思い切って、女性に尋ねてみた。
 
「すみません、あなたはどなた様でしょうか?」
 
しかし、女は尋ねても笑うばかりだ。
 
周囲は相変わらず、霧に囲まれていた。下は真っ暗闇であった。

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