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逃げることから逃げてはいけない

 日本人は、仕事が原因で、うつ病や自殺に追い込まれる人が大勢います。
 その原因の一つに、しかるべきタイミングで逃げることを躊躇したことがあります。

(1)日本人が逃げることを躊躇する背景


 逃げるというと、多くの人は、恥ずかしい、弱弱しいといった、マイナスイメージがあると思います。
 逃げずに戦うことを美徳とする考え方は、名誉に重きを置く「武士道」の教えや、学校教育、あるいは、感動を誘うために演出されたドラマや映画に触れる機会が多いからでしょう。
 私が公務員をしていた頃も、仕事がしんどくても逃げずに我慢し続けた結果、心身ともに大きく傷つき、再起不能になった職員を何人も見ました。
 歴史でも、日本は、太平洋戦争において、国力の不足を名誉や精神論でフォローして戦いましたが、米国に大敗しています。

(2)中国には、別の考えもあった


 一方、お隣の国、中国の古書「孫子の兵法」「兵法三十六計」には、逃げることを、体制を立て直すための重要な戦略として位置づけられています。
 また、思想家の孟子は、深く考えずに目の前の敵に戦いを挑む人を「匹夫の勇」として、教養のない馬鹿と断じています。
 これらを現代の仕事に活かすならば、ただ目の前の仕事を我慢してこなすのではなく、場面によっては、仕事から逃げることも必要だということです。


(3)仕事から逃げるべきタイミング

 では、仕事から逃げるべきタイミングとは、いつでしょうか。
 自分で「これはいかん」と直感で感じるときです。
 私は、仕事がしんどいうえに、「達成感」や「充実感」が感じられない場合、遠慮なく逃げさせてもらっていました。
 逃げ方としては、体調不良を理由に休暇や異動を願い出ても良いでしょうし、医師から診断書を受領するとなお良いでしょう。
 公務員やサラリーマンなら、この程度のことで職を失うリスクは低いでしょう。
 現代は、働き手不足であり、生産性の向上という名目で、現場の労働者に求められるものが大きくなる一方です。
 だからこそ、しかるべきタイミングで躊躇せずに逃げることで、しっかりと自分の身を守ってください。
 つまらないプライドを気にして、逃げることから逃げてはいけません。


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