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台湾旅行好吃

前夜


台湾に行こう、と言い出したのは経済学部の友達のTだった。
これまで、同じく経済のHという友達と僕の3人で秋田の山奥の温泉に行ったりしていたのだが、卒業旅行ということで思い切って海外に出ることになった。
Tの家でマリカーをしながら飛行機と宿の予約を完了させ、3月8日のフライトで台北に向かうことになった。


ちなみに、僕とHは大学1、2年の時に中国語を履修した経験がある。台湾の人ともコミュニケーションが取れるというわけだ。
しかし習った内容はほぼ記憶から消え失せてしまっており、使える例文は以下の二個だけだった。
・我是东北大学的学生
(私は東北大学の学生です)
・我喝乌龙茶
(烏龍茶を飲みます)

とりあえず茶を飲むのと学歴を示すことはできる。

あとは教科書を持って行って適当に喋ろうと考えていたが、出発の当日になって二人とも家に忘れてきてしまった。成田空港で僕たちは頭を抱え、そのまま3泊4日の台湾旅行はスタートした。




初日


3時間ほどのフライトののち、台湾桃園空港に到着。二万円分を台湾ドルに交換し、電車で台北駅まで移動。
台北の街並みはかなり日本に近かった。駅や地下街の雰囲気はまるで海外感がなく、地上に出るとようやくごちゃごちゃした雑多な街並みが広がっていて、海外に来たことを実感した。



初日は着いたのが夕方近くだったので、夜市に行って晩飯だけ食うことにした。徒歩でホテルから一番近い寧夏夜市というところへ。

屋台が立ち並ぶ夜市を歩いていると圧倒的にくせえ場所があった。最初は台北の町由来の臭さかと思っていたが、どうやら臭豆腐という料理の匂いらしい。汗臭さを煮詰めて凝縮したみたいな強烈な匂いが鼻を衝く。
旅行中に一回は臭豆腐にチャレンジすることを心に誓って、台湾ビールを飲みながら屋台飯を食って帰った。



ホテルではTがじゃんけんに一人勝ちして広いベッドを独り占めしていた。結局烏龍茶は一度も飲んでいない。



2日目


2日目。この日は朝から十份や九份というとこに行くので、台北駅から電車に乗る必要があった。で台北駅に来たはいいが、切符の買い方が分からない。
駅員さんに中国語で買い方を尋ねられれば良かったが、生憎我々は茶を飲むのと学歴を示すことしかできない。結局ほとんどTが英語で駅員さんに聞いていた。


1時間ほど揺られて着いた十份は山奥の小さな町で、線路の両側ギリギリに出店がずらっと並んでいた。その間をときどき汽車が警笛を鳴らしながら通過する。



線路の真ん中で、紙のでかい気球に願い事を書いて飛ばす願掛けをやった。「年収」やら「馬」やら「西武優勝」など適当に書きまくった気球は、空高く飛んでいった。




夕方は九份をぶらぶらして、夜は台北で火鍋を食った。注文の仕方が分からずに3人ともオロオロしていると、店員のオバちゃんがどデカい鉄鍋に容量よく野菜とか豚肉とか出汁をぶち込んでいってくれた。バラ売りされている具材を冷蔵庫から好きに取ってカスタム鍋を作るシステムらしい。好吃でした。





3日目昼


この日は台北市内を適当に回ることにしていた。
ホテルの近くに博物館があったのでまずそこに行った。学生割引があったので、これこそ「我是东北大学的学生」を言う一世一代のチャンスとみた僕は、学生証を出しながらボソッと言ってみたが係員のおっさんは極めて事務的に手続きをするばかりで不発に終わってしまった。

台湾の博物館といえば翡翠白菜というのが有名で、それを見たかったのだが、いくら探しても見つからない。よくよく調べてみたら僕たちがいたのは国立台湾博物館で、翡翠白菜があるのはそれとは別の故宮博物館というとこらしい。ふつう国立博物館に置いてあるやろ。完全に騙された。


ルーロー飯。日本円で160円ぐらいでバカ安かった


昼にルーローハンを食ったりクソデカ蒋介石像などを見ていたら、故宮博物館に着いたときにはもう閉館まで1時間を切っていた。
僕たちは博物館で許されうる最速の早歩きで白菜を探した。そしてようやく辿り着いたメインのゾーンで衝撃的な張り紙を目にすることになる。


訳)翡翠白菜は他のとこに行っててありません


膝から崩れ落ちました。



3日目夜


博物館の後は士林夜市という所へ。台北でも最大規模の夜市らしい。
とにかく人が多くて、ぶらぶらしてタピオカを飲んだらやることがなくなった。

ここで一つ台湾の夜市のおもしろポイントがあって、日本でいう射的やクジみたいなノリで簡易パチンコ台みたいなのが路上に設置してあるのだ。暇を持て余した我々はパチンコでも打つかという流れになった。誓って言うが我々は普段パチンコはやらない。


システムとしてはまず手持ちの玉を好きな数だけ台に投入する。そしてボタンを押すと2〜10倍のホールがランダムで点灯し、弾いた玉が例えば2倍のホールに入ったら投入した玉が2倍になって返ってくるという仕組み。もちろん10倍のホールが一番数が少なくて入りにくい。
最初の数分で仕組みを理解し、気づいたらみんな無言で打ち続けていた。パチンコというのは上手い仕組みにできており、どう足掻いても玉はどんどん減り続ける。気づけば元あった400玉は全て台に飲まれてしまった。

※台湾です


当然のように晩飯のあとでもう一回打ちに行った。
僕は玉が勿体無いので2、3個ずつ投入してちびちび打っていたのだが、ふと隣を見ると、明らかに小学低学年と思わしき子供が一度に60玉ぐらい投入して8倍のホールに入れて高配当を得るというパチンカスみたいな芸当を行っていた。
なるほどと思い、上限の99玉を賭けて同じことをやったら、一瞬で持ち玉が0になってしまった。

玉が無くなった僕は隣のHの出玉を勝手に拝借しようとしてふつうに怒られた。普段温厚なHの表情は完全に勝負師のそれであった。
しょうがないのでTの玉をもらってまた99玉をベットしていると、なんと10倍のホールに入って990玉の最高配当を叩き出した。パチンコ台はあほみたいな数の玉を吐き出したあとエラーを起こして停止した。


パチンコが当たったので臭豆腐を食うことにした。これまで人生で食べた物の中でダントツで臭かった。


最終日


3日目が濃過ぎてあんまり書くことないです。旅行の最終日ってなんかちょっと尻すぼみになるよね。
台北の街をぶらぶらしてから台北101に行った。たけえ。
台北からの帰り際にそこら辺の食堂で食ったルーロー麺がうまかった。好吃。


そうしていよいよ帰る時間になって、台北の街を後にした。空港までの電車に乗りながら、あっという間に過ぎた時間を振り返った。
しんみりしながらふと上の方を見上げると、車内の広告が目に入った。






どういう意味??



よろしゅうおおきに