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読書:ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考

今週、チームの同僚の半数がオフィスに集う日があった。普段はイギリス国内にいくつかある拠点でそれぞれ仕事をしているので、顔を合わせるのは半年に一度あるかないかくらいの貴重な機会だ。

チームランチでひょんなことから遺伝子の話になった。 そういえば昔、簡易キットで遺伝子検査をしたことがあるなと思い出し、メールのアーカイブから検査結果へのリンクを掘り起こした。

私が利用したのは、Genesis Healthcare社のGeneLife。
大好きな火の鳥のパッケージに釣られて選んだ。

検査結果を受け取った2016年当時もいまも、「ふーん…なるほどね」と、読みきれないほど多くの項目を流し見する程度である。データをAIに読み取らせて生活習慣アドバイスとしてアウトプットさせたら、もっと活用できるのかも?

そこで思い出した本がある。数年前に読んで「へぇ」と感嘆した、「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」だ。

著者の高橋祥子さんは、遺伝子検査・解析の会社「ジーンクエスト」を起業した研究者。生命科学の観点から、「生命の原理や原則を客観的に理解した上で、それに抗うために主観的な意志を活かして行動できる」ということを本書を通じて論じていく。久々に再読してみたが、やっぱり面白い。

「個体として生き残り、種が繁栄するために行動する」という生命原則のもとに、人間の本能的な行動や欲求が起こり感情が生まれるわけだが、主観を活かし客観的視野も持つ思考法によって、一度きりの人生を生きていこう、という内容。

極めて短い要約をするといたく当然な内容に見えてしまうが、生命原則を日常生活での個々人の生き方や、組織運営・ビジネスに当てはめる思考法を提言していくこと、そしてそれらが前向きであることが、私の読書体験としてポジティブな記憶に残っている。

いまの私に刺さるなぁと思った箇所を以下に引用する。

主観が見つからなければカオスに身を置け
予測できない環境の中で理不尽に思えることに直面したときにこそ、自分が何を求めているのかについての認識が深まり、初めて理想とする世界を決めることができます。

高橋祥子 著 「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」 P115より

人はいずれにせよ努力せずに生きられない
(前略)「なぜヒトは努力しないといけないのか?」という問いへの答えは、宇宙にとっての平衡(エントロピー増大)と私たちの個体にとっての平衡(エントロピー減少)が異なるため、積極的にエネルギーを使って行動しないと個体としての形を保つことができないから、です。

高橋祥子 著 「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」 P136より

脳の学習による「偏見」を捨てフラットに物事を見つめる
何かしら矛盾に思えることがあるということは、複数の異なる思考枠が存在するということです。(中略)矛盾を認識できているということは、現在だけでなく、作りたいより良い未来を脳内に描けていることを意味するからです。すでに複数の時間的視野を手にしていて、そこから理想とする未来へ行くためのエネルギーが生まれます。

高橋祥子 著 「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」 P173より

人間関係にやきもきしたり、将来に向けて獏とした不安を抱いたりしている人に薦めたい一冊。

出版元のNewsPicksパブリッシングが、本書の序文をnote記事にしていた。

本書の内容をかいつまんで紹介したポッドキャストがあったのでこちらも貼っておく。


話があちこち飛ぶのだが、遺伝子検査キットの写真を掘り起こそうと、「Genesis」でアルバム内の画像検索をかけたら、セバスチャン・サルガドの写真集「GENESIS」が出てきた。
10年以上も前に大奮発して買った、驚くほど重くて大きい写真集。まだ実家に置いたままである。

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