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お香の会

3日前の大寒の日は、関東はわりと暖かでしたが、今日はとても寒く、明日はさらに寒くなるようですね。

節分までの寒の内、キリリと澄んだ空気の頃です。

2022年に始めたお香

石鹸や香水、エッセンシャルオイル、お花の香りなども含めて、香りのものは好きだけど

和箪笥から出された着物の香り

あのスゥーッと落ち着く香りは
別物な感じがしていました。


お香について読んだことがあるのは、白洲正子さんの『お香とお能』


お能は好きで、本もいくらか読んでいたので、白洲正子ワールドのお能に結びついたお香の世界をずっと思い描いていました。


万人むきであるためにかおりはよい商売になりましたが、芸術的なものとして発達したのはおそらくわが国においてのみでありましょう。万人に感じることのできるかおりというものは、平凡で単純でわかりよすぎるのです。そのかおりのなかから日本人だけが「純粋なかおり」を引き出すことをしました。

と『お香とお能』に出てきます。

香りは嗅神経を経て、大脳辺縁系に直接情報が伝達される。

大脳辺縁系は本能的な行動や情動、記憶を支配している古い脳

「五感」のうち、嗅覚だけが直接、大脳辺縁系に繋がり、原始的、本能的とも言われます。

だからこそ、特別な香りは心を落ち着け、意識が変わることもあるのかなと思います。

純粋な意識、すべてを削ぎ落とした自分を感じやすいのかもと✨


香道は根本において香木と火とそれから人間の三つで成立するのでありますから、ひじょうに単純であるために完全をはかりやすいのです。
『お香とお能』


お香もお道具やお作法があり、鑑賞することも楽しみの一つですが、基本は香木と火のみ

しかも香木は生木ではなく、菌の感染や傷を治すために樹木自体が出す樹液が固まった樹脂が、長い間にバクテリアなどの働きで変質し…

と、時間がかかり、偶然に左右される面が大きく、人工的な生成は難しいよう。


香木や火はありのままの自然の物ですから目をあざむきません。そのままで信用できるのです。
香はけっしてカグとは言いません。いつも「香は聞く」ものであります。それには「問うて答えをまつ」意味があるそうです。
『お香とお能』


ちょうど、戦国武将がお茶席で、お香を聞く話をテレビで見て、
戦国武将は脳をうまく使う(変性意識状態になる)ために、
お香を聞いていたのではないか?
お香を聞くとはどんな体験ができるだろう?
とおかしなことを思っていたところ、友人がお香の会に参加したことを聞いて、次回の会を申し込んだのが、お香体験の始まりでした。

お香のお道具 とても美しいです✨

お香の会では、「組香(くみこう)」を行います。

組香とは、2種類以上の香木を一定の文学的テーマのもとでたき、香りによりそのイメージをふくらませ、豊かな文学的世界を形成する物である。

その季節に合ったテーマのご証歌があるのですが、組香の最後には、先生が和歌の披講を行い、その場に降りてこられた歌人の魂を、香りとともに天にお返しされます。

披講とは和歌を読み上げたあと、節をつけて歌うことですが、この披講がまた、とても素晴らしく、すっきりとした空気感のなかで香が満ちて、終えることができます。

日本語の力を感じるというか…

言霊の幸はふ(さきわう)国
という言葉が思い浮かびます。


香木が薫くとなくなるように、火も炭が灰となると同時に消えるように、一つのお能が一、二時間で永久に終わってしまうように、人間も無になりえる性質をおっております。香木が他の木片と違うことは、かおりを内にもつからです。そして香木の「内なるかおり」は「特殊の炭火」と合して目に見えぬ「ひとつのかおり」として外にあらわれます。
そのひとつのかおりを、ある名称のもとに(たとえば「白菊」とか「柴舟」とか「初音(はつね)とか)はっきりと聞きわける人もまた特殊な人間であります。なぜならば、生きながらにしてかおりと化しえる人間だからです。それ以外に香を聞く手段はありません。香の上手はわれ知らずその瞬間にかおりと一体になっているのです。その場合まぐれあたりはひとつもありません。またそうなれる特殊な人間にとってまちがえることはありえないのです。
『お香とお能』

引用が長くなりましたが、人間も無になりえる性質があり、
それを引き出すことができるのが香木のかおりでしょうか。


月一回のお稽古に、1年程通っていますが、いつも必ず当てる方がいらっしゃいます!

組香の難しいのは、火によって香木が温まるにつれ、その香りが刻々と変わること

参加者が10人程もいると、最初のお正客様のときと5人目の方、そして最後の方のときでは、香りが変わってきます。

また、同じ香木でも試し香のときと本香では、香炉も暖かくなり、香木も温まるからか、違う香りがしてくるように感じます。

最初、本香の1つめは試し香の2つめと同じだと感じても、
本香の2つめを聞くと、こちらの方が試し香の2つめに近い?
と混乱が始まり、試し香の2つの違いは感じたつもりでも、
本香では2つのうち、どちらの香りだったかがよくわからなくなります…

本質を感じきれない。。

まだまだ香りと一体になっていないということでしょうね。。

梅とウグイスならぬ雀ちゃん


夏頃だったか、その方がどうやって聞きわけておられるのかという質問があり、その答えを伺って、一番好きな香りを聞き分けられているようだと思ったことがありました。

「お好きさん」ね!とピンときました。笑

先生はいつも素晴らしい香木をたいてくださいますが、とにかく好き(笑)、別格、と感じるのは「伽羅」です✨💕

「伽羅」と思われる香りを「お好きさん」と決めると、伽羅以外に例えば2種類ある場合、この違いがわかりやすくなる感じがあり、結果、2回続けて当たりました 笑
今週末が3回目ですが、どうなるでしょうかね。


「お好きさん」というのは、大和和紀さんの漫画『イシュタルの娘』で知ったのですが、
二代将軍 徳川秀忠の娘、和姫が後水尾天皇に入内する話の中で、御所言葉では、想う人を「お好きさん」というと主人公の小野於通の娘、於図(おつう)に聞き、心の中の「お好きさん」を想っていれば、お家のために入内する覚悟ができるといったエピソードで出てきました。

可愛いお話ですよね💕

和姫こと和子(まさこ)はその後、後水尾天皇と仲睦まじくお過ごしになりますが。

脱線しましたが 笑

お香は縦方向に繋がる感じなどもし、まだまだ感じたいこと、知りたいことも多く、2023年も続けていきたいと思っています。

お読みくださり、ありがとうございました。

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