青映えの恋

父のようなひと
娘のように慈しみ
若木に添えるまなざしよ

触れあうことがなくっても
恋うる少女の迷い路の先
愛しいひとの声が聴きたい

雪を告ぐるひと吹きのような痛みが煽る
若木の露が訪う先に
きっとあなたは居るでしょう

触れてください柔らかな肌
月も知らない秘め事を
あなたと分かち合いたいのです

けれど青い山脈のよう
ぬくもりひとつくださらない
清らな雪は白いまま

盛りの繁みを伸ばしてしまえ
眠りの中なら強くあれど
淋しさだけが髪に滲みて
朝には消えてしまうのでしょう

今日も愛しい声が聴きたい




©2016  緋月 燈

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