幸せであるために

ほんとうになにも見えない時は
そこが光か闇かもわからない

ただただ
漂っている
波間に揺られ
同じ空ばかり続いてゆくようで
藻掻くことにも疲れてしまって

けれど
投げ出しきれない心の泣き言が
唇を弱らせる

かなしみを遮断した左脳の回路から零れ落ちる
涙のひとしずくが
裏腹な言葉を結ばせる

その奥底で幸せになりたいと叫びながら

伸ばした手の行方が
光でも闇でも
此処がどこかを知りたい

飼い殺された体たちが
消耗されてゆく前に

かなしみをかなしみ
喜びが何であるかを知る
私の幸せには何が必要なのかを知る

幸せであるために

©2016  緋月 燈

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