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【赤と青とエスキース】青山美智子
今回読んだ本は私をいつも癒してくれる青山美智子さんの作品。
一枚の絵画をめぐる『愛』をテーマにした五つの連作短編集。
ストーリー
一章「金魚とカワセミ」
オーストラリアのメルボルンに交換留学生として行くことになった主人公のレイ。
楽しく充実した毎日が送れることを期待していたレイは現実とのギャップに日本に帰りたくなる。
そんなときに出会ったのが現地に住む日系人のブー。
やがて二人は恋をし、レイが日本に帰るまでの期間限定での交際が始まるのだが・・・
二章「東京タワーとアーツ・センター」
小さな額縁工房で働く主人公の空知。
美大出身の空知は思い描いていた仕事ができないことに不満を持ち転職を考え始めていた。
そんなとき、ある一枚の絵画と出会うのだが・・・
三章「トマトジュースとバタフライピー」
漫画家をしている主人公のタカシマ剣。
以前タカシマのアシスタントをしていたまだ若い青年が名誉あるマンガ大賞を受賞する。
作品がすべてだと思っている青年に対して自己顕示欲の強い自分に醜さを感じるようになるのだが・・・
四章「赤鬼と青鬼」
輸入雑貨店で働く主人公の茜は51歳にして自分のやりたいことを見つけ満たされた日々を送っていた。
しかしある日突然、動悸や呼吸ができないなどの発作が起きるようになる。
受診の結果、パニック障害だと診断される。
目に見えない病を抱えてしまい落ち込んでいたのだが・・・
エピローグ
メルボルンで画家を志しアルバイトをいくつも掛け持ちしながら貧乏生活をしていた主人公のジャック・ジャクソン。
ある日アルバイト先で蒼という青年と出会う。
次第に仲良くなった蒼に付き合っている恋人の絵を描いてほしいと頼まれるのだが・・・
感想
どの話も優しく素敵な物語なのですが最後のエピローグを読んだときにすべての物語が繋がります。
エピローグでジャックが頼まれた絵を描くことから始まるさまざまな物語の始まり。
その繋がりが分かったときは感動して鳥肌が立ちました。
最後にこんな真実が待っていたとは。
もう一度初めから読み返したくなります。
青山美智子さんの作品は何でこんなにも優しく穏やかな気持ちにさせてくれるのだろう。
読み終えたあとに心が温かくなる素敵な一冊です。
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