放射線科研修読本について

画像診断医るな(@R19890529)です。

既にご存じの方も多いと思いますが、今回メディカルサイエンスインターナショナル(Medsi)社から『放射線科研修読本~すべての放射線診療に携わる人へ~』を出させていただくことになりました(2022年7月4日刊行予定)。

少し長くなりますが、経緯をお話しします。元々、この画像診断医るなのアカウントは2020年春に、自分自身の勉強用に始めたアカウントでした。特に誰に見てもらおうと思う意図はなく、自分で勉強したことをoutputすることによって学習効率を上げようという意図がありました。当時は私のような形で投稿する先生はおらず、ふくろう先生(@tk2cafe)にいいコンテンツだからもっとフォロワーを増やした方がいいと、言っていただき拡散していただき、そこから徐々にフォロワーが増え今や5000弱までフォロワーが増えました。最近こそ私的な事情で勉強する時間が取れずに、私自身は投稿が出来ていませんが、徐々に私以外にもtwitterで良質の投稿をしてくれる人が増えました。最近は#Rdiagのハッシュタグが完成し、画像診断クラスタのひとつの完成形が生まれたと思っています。微力ですが、その完成に携われたことを非常にうれしく思っています。

フォロワーが増えていく過程で、”質問箱”への若手の先生からの悲痛な悩み、叫びが増えていくようになりました。私も大手の医局出身ではないので、”情報格差”には非常に苦労しました。今、自分が勉強していることは果たして正しいことなのだろうか?暗中模索する後期研修医時代でした。ゴールが明確にあれば人は頑張れますが、ゴールがどこにあるか分からず頑張るというのは非常につらいことです。私も彼らに共感し、また”情報格差”によって才能が埋もれていくことは避けたいと思い、画像診断ツイートが私的な事情で滞ってしまった場合でも、必ずその回答だけは怠らないようにしました。その過程で、彼らへの回答としてnoteに「おすすめ画像診断教科書〜医学生/研修医/後期研修医/放射線技師向け編」

https://note.com/luna_radiology/n/n44799a3b6214

を書かせていただき、この記事はgoogleで”放射線科 おすすめ 教科書”で調べると常に1~3番目には出てくるほど好評でした。

その過程でメディカルサイエンスインターナショナル(Medsi)社さんから私のアカウント自体の本を書かないか?というオファーをいただきました。他業界ではnoteで良質の記事を書いた素人がスカウトされて、プロになるというのはもはや王道とも言える流れですが、医学界でそれが起こることは全く想定をしていなかったので晴天の霹靂でした。

そして私自身、お世辞にも客観的に見て突出した医師ではなく、私なんぞが書籍を書いていいのだろうか?と悩んだ時期もありました。しかし、お話をいただいたからこそ、あえて”普通の放射線科医”が書いた本を書こうと考えるようになりました。私は教科書マニアですので(笑)、そのような観点で書かれた本はまだないし、もし客観視線で見たら読んでみたいと思いました。イメージ的には『画像診断を考える(秀潤社)』(神!名著!必読)の目線をもっと初学者や一般放射線科医に向けたイメージです。前述にも書いた通り若手放射線科医が情報格差によりその才能の芽がつぶれることがないようにしてほしいというのも執筆を決意する後押しになりました。

ですので、あえて今回は分担共著者は若手の新進気鋭の先生や世間的にはあまり知られていない(けど優秀!)先生にお願いをしました。内容は”診断”、”治療”、”IVR”はもちろんですが、他にもいろいろな章を設けています。たとえば、専門医試験をはじめ放射線関連の各種”資格試験”についても触れています。それらについては、基本的には直近に受験経験のある先生に合格体験記的な観点から書いてもらっています。また、これから病院実習で放射線科をローテーションする医学生、初期研修医向けに医学生・初期研修医向けの章を作りました。また、意外と放射線科医向けの本で放射線技師さんに焦点を当てた本がないという印象があったので、放射線技師さんの章も作成しました。また、「子育て」「転科」「留学」「副業」などダイバーシティを意識したコラムも作成しています。また、"質問箱"に寄せられた悩める放射線科医や医学生、研修医たちの質問をまとめた”るなの駆け込み寺”というコラムもあります。また、世の中にはとてもいい学会や教科書がたくさんあるのに、認知度が低すぎてもったいないという想いがあり、主要学会をまとめた学会カレンダー、おすすめ教科書(Medsi社以外の本も多数あり、笑)という章もあります。また、初期研修医が放射線科を避ける理由第一位(と勝手に思っている)”AI(人工知能)によって放射線科の仕事はなくなるのか?”という点もコラムを専門の先生に執筆いただいています。

著者名はあえて本名ではなく、”画像診断医るな”にしました。Medsi社さんからはご厚意で本名で出してはどうか?とも勧めていただきましたが、私はこの本は私に質問してくださった皆様や、フォロワーの皆様、分担著者の皆様で作り上げた本であると思っているので、私だけが著者ではなくみなで作り上げたものという想いが強かったためそのような決断となりました。

最後にお願いがあります。今後最後の校正があり、なるべく事実確認を慎重に行う予定ですが、恐らく誤った情報や出版時点で古くなってしまっている情報も少なからず存在すると思います。私自身も未熟ですし、分担執筆者も若手の先生が多く経験不足による内容の齟齬などは必然的に生まれる可能性があります。その際は、書籍内で連絡先を表示する予定ですので、積極的に教えてください。また、本書の内容で変更になった点や誤りがあった場合はそれを皆様に即時お伝えできるような手段を今考えております。場合によっては、皆様に追加の記事執筆をお願いする場合があるかもしれません。

出版が終わってもこの本は完成しません。ぜひ、読者の皆様でこの本をよりよいものにするためにご協力いただければこれ以上の喜びはありません。

それでは7月出版に向けて、頑張ります。

るな。


画像診断を中心とした医学系の記事を投稿したいと思っています。よろしくお願いします