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【Vol.1】ブランドの垣根を超えた利便性を実現する「3rdパーティアライアンスプロジェクト」の誕生背景

こんにちは。LUMIXの事業開発チームです。

LUMIXは「クリエイターに寄り添うブランド」として、カメラやレンズの企画・開発を進めてきました。

「寄り添う」というのは、クリエイターが思い描く表現を実現するための絵作りはもちろん、撮影準備から納品までのワークフローの簡略化も視野に入れた、撮影体験全体の向上と捉え、クリエイターに役に立つブランドでありたいと考えています。

そしてその思想は、あるカメラをきっかけに、社外メーカーと提携したアクセサリー開発にまで及びました。

こちらの記事では、LUMIXのサードパーティ製品に携わるプロジェクトの変遷についてお話しします。


3rdパーティアライアンスプロジェクトとは

粟飯原(商品企画)

まず前提として私達の根幹には、クリエイターが求めている製品やサービス、情報をスピーディーに提供したいという想いがあります。

しかし、ここ数年で写真から動画へと撮影領域も広がり、様々な被写体や撮影スタイルも増えていく中で、クリエイターのご要望も幅広く多様化していきました。

それまでの考え方では、数あるご要望の最小公倍数として一つの製品を開発していたのですが、時代の変化に応じて「やはりクリエイターそれぞれのご要望に合った製品を開発することが、本当の意味でクリエイターのためになるのではないか」という議論に至り、しかしそうなると「一企業が全てのアクセサリーを網羅することはなかなか難しいのではないか」という課題が出てきます。

そこで、「多種多様で変化の激しいクリエイターの悩みやワークフローに対して、品質が高い製品やサービス、情報をスピーディーに提供していくために、他社メーカーと組んで製品開発を進めることで、クリエイターの撮影体験を向上していこう。」という結論に至りました。

これが3rdパーティアライアンスプロジェクト発足の経緯になります。

実際に3rdパーティアライアンスプロジェクトの中で製品化されたアクセサリーは以下の通りです。

■リグ/ゲージ
■ウィンドジャマー
■ジンバル
■防水ハウジング
■スイッチャー
■ワイヤードリモコン
■ズームレンズサーボドライブ
■リモートコントロールパネル(RCP)
■タッチコントロール外部モニター
■パンチルト雲台・ズームコントロールシステム

メーカーや品番は以下のリンクよりご確認いただけます。

Sシリーズ

Gシリーズ

ボックスカメラ

プロジェクトのはじまり

BGH1

きっかけは2020年に発売されたボックスカメラのLUMIX BGH1です。

ボックスカメラの企画・開発を進めたことから、3rdパーティアライアンスプロジェクトも同時に進行していきました。

BGH1のコンセプトが、手持ち撮影ではなく所謂「置き撮り」のカメラであり、通常のカメラとは使い方が少し特殊ですので、例えば外部マイク等を装着するためのリグであったり、ライブ配信に合わせたシステムであったり、カメラ単体ではなく様々なアクセサリーと組み合わせて使用することが前提となります。

逆に言えば、そういったアクセサリーや機器との連携が非常に重要なモデルだったのです。

なので、初めて使用する方にも「どういった機材と繋げればこのカメラを使えるのか」、「この機材とこの機材をカメラと組み合わせることで、こんな用途でも使えます」という案内をメーカーから強く発信していこう、という計画がBGH1の開発当初から浮かんでいました。

ただ、販売を進めていく中で、その「組み合わせを伝える」ことが中々に難しいという話が上がり、「であれば自社の製品やアクセサリーを使ってご提案していこう」とマーケティングメンバーと組んで計画を進めていたのですが、その・・・「足りない」と思ったんです。

自社製品だけで、クリエイターがやりたいこと、もしくは当社が思い描く用途をご提案するには「アクセサリーが足りない」という結論に至り、とはいえ前提にある「スピーディーに提供する」という想いを考えた時、「ならば他社様の製品との連携について、我々から情報を出していこう」と。

他社様の製品と、そもそも連携できるのか。技術的な観点から動作確認等を社内で検証し、「動作上は問題なくともPanasonicとして責任を持って、その商品をオススメしても良いのか」という品質の観点からも、企画・設計・品質保証のメンバーに協力してもらいながら、様々なジャッジをして、情報提供をする準備を進めていきました。

また、異なる顧客接点を持つ各部門から多種多様なニーズを集めるために、CSや商品企画、マーケティング、QAなどの部門から、実際にクリエイターの皆様から頂戴する声を拾い上げ、その声をもとにアクセサリーを従実させることで、撮影体験にアップデートをかけていこうという考えもありました。

さらに、事業開発部門にも加わってもらい、これから開発する予定のカメラについては、アライアンスを組むメーカーに開発段階から情報提供し、カメラと同時販売できるようにアクセサリー類を開発してもらうことで、カメラが販売されると同時に連携できるアクセサリーをクリエイターが用意できる環境を整備しようという考えに至り、「3rdパーティアライアンスプロジェクト」として進められました。

村上(事業開発)

カメラが発売されると同時にアクセサリー類が揃わない、全てが揃うのに何ヶ月もかかってしまう、という環境は、専用カメラアクセサリーを望むお客様にとっては、好ましくありません。

そこで、アクセサリーメーカー様と契約を結び、同時発表・同時発売を目指し、双方のお客様への価値提供を最大化してビジネスに貢献しようというコンセプトのもと、各社にご説明させていただき、開発を推進しました。

国やエリアごとに、販売会社様とアクセサリーメーカー様の関係に強弱があり、販売会社様と繋がりの深いアクセサリーメーカー様の間で、マーケティングコラボの一環として展示会などで機材の相互共有をすることもあります。そういう背景からも例えばBGH1のケージだけでも5社と契約して専用ケージを開発いただいたりと、協力いただく販売会社様にも配慮しながら、お客様に複数のメーカーの同種アクセサリーの選択肢を提供できるように、3rdパーティアライアンスプロジェクトの契約を進めていった歴史があります。

「当社から1種類のアクセサリーをご用意しました」という形に留まるのではなく、世界中のあらゆるエリア、そしてあらゆる撮影スタイルのクリエイターにも使ってもらえるようなアクセサリーを準備していきました。

BGH1まではカメラが発売されてからアクセサリーメーカー様が自らカメラを購入して研究し、製品を開発していて、「それでもできないことはなかった」のでしょうが、これを機に当社から正確な設計情報を提供して、カメラ本体の開発と並行してアクセサリーメーカー側でも製品を同時開発することで、スピーディーかつ品質も高いアクセサリーをクリエイターの皆様にご提供できるようになりました。

今では当たり前ですが、他社様とアライアンスを組んで情報を提供し同時開発する動きは、当時は業界に先駆けていたという認識です。

このBGH1での活動がベースとなり、BGH1以降に発売されたカメラ、時期的にはGH6やS5などでも同様にアクセサリーの同時開発・同時発売をし、アクセサリーに合わせた機能の拡張(外付けSSDへの動画記録、ジンバルに合わせたフォーカス機能の連携等)もされています。

(続きます)

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