【特別インタビュー】コムロミホ×LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.
本記事では、LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.の作例を撮影していただいた写真家・コムロミホさんに、レンズの魅力をお話しいただいたインタビュー記事です。作例は、CP+2024の会場でもプリントでご覧いただけます。
コムロミホ(以下、コ):私はやっぱり一番得意なのがストリートフォトグラフィーになるので、作品を作るとなるとまずは街に出かけて撮影をしています。ライフワークとしていろんな所に旅に出かけて、撮影を行っているわけなんですね。
なので、出かけた時に、その街を自分がどう解釈するのかっていうのが、一つのポイントになってくるかなと思います。その街の解釈の仕方って、人によって全然違います。その解釈を自分なりにどう考えていくのかがポイントです。
今までやった展示の中で、LUMIXのGF10っていうカメラで撮影した写真のシリーズがあって、それは「The Decisive Moment」、「決定的瞬間」というタイトルでやらせていただいたんですけど、その時はパリの街並みの「光と影の美しさ」を表現したいなと思ったので、硬質のモノクロで撮影したんです。
その街をどう解釈して、どう表現したいか。その絵作りを頭の中に描きながら、その街を歩いていくっていうのが、ポイントになっていきますかね。
そこで、レンズのチョイスも、とても大切になってきます。
コ:地域差ってすごく面白くって、その国がどういう国なのかなっていうのを解釈していく中で、国によって人との距離感が全然違うことに気付かされたんです。
例えばですけど、ベトナムやタイなどの東南アジア、これから発展していく街って、人との距離感が近いんですよね。たくさん人がいて、賑やかで。
「撮影させてください」っていう風に声掛けながら、その人たちの生活の背景を撮影していくっていう風に入り込んで撮影するような街もありますし、あとはニューヨークとかパリだったりとか、少し先進的な街を撮ろうと思った時は、 一人一人入り込んで撮影するというよりは、長い歴史の中で続いていっている建物だったりとか、その国の背景っていうのを広く写していきたいなと思うので、被写体との距離が少し離れていくんですよね。
なので、自分自身がその国にどう入り込んでいきたいかっていうので、焦点距離に応じて選ぶレンズは変わっていくかなっていう風に思っています。
コ:まず、そのテーマを生み出すというのが一つポイントになってくるかなとは思います。
「ただこの街に行って写真を撮ってきました」だと、やっぱり写真として面白くなくなってしまうので、その解釈を自分の中でどういった作品表現としてまとめていくのかっていうのがポイントになっていきますね。
なかなか一回の旅で作品を仕上げるのは難しいので、一回目、二回目と通っていき、数回重ねていくと、街の見え方がどんどん変わっていって、その変わっていく中でテーマが見えてきたり。
一番最初に行った時に、「もうこのテーマで撮る」みたいなのが決まっちゃうような時もあります。いずれにしても作品制作にはテーマが必要だと思いますね。
そのテーマに合わせて、絵作りってとても大切だと思っていて。カラーで表現するのか、モノクロで表現するのか、モノクロでも柔らかいモノクロなのか、硬質なモノクロなのかによって、作者が表現したい思いの伝わり方が変わっていっちゃうと思うんですよね。
自分が説明をしなくても、自分が伝えたい思いが伝わる写真にするためには、テーマだったりとかの写真の選び方だったりとか、全体の絵作りだったりとかは意識しているところです。
コ:高倍率ズームっていうと、ちょっと大きめのイメージがあったのですが、このレンズはキットレンズのLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6と変わらないくらいの小ささで驚きました。
やっぱりほんと、軽くて小さいっていうのが、旅にとって嬉しいんですよ。旅は、今回も多分1日に2万〜3万歩くらい歩きながら撮影をするので、それを考えると本当に1グラムでも軽い方がありがたいんです。カメラバッグも小さく出来ますし。旅となるとシステムもコンパクトにしたいですし。。
大きなズームレンズだと被写体に威圧感を与えてしまうことも結構多いんですが、今回使用したレンズだとそういったこともなかったですし。かなり撮影しやすかったですね。
コ:そうですね、今回、最初にレンズを渡されて、圧倒的な小ささと軽さだったので「これはきっと画質は無視してるに違いない」と思いました(笑)
でも実際に撮影してみると、広角側で猫を撮った写真があって、結構寄って撮影してるんですけど、猫の毛並み一本一本までほんとに細かく描写してくれてますし、その緻密さみたいなところはかなりあるんですよね。なので、本当に肉眼で見たままの猫の毛並みの質感がそのまま映っているっていうのがかなりありがたかったですね。
あとは、近景から遠景までの解像感と、ボケの美しさも良いですね。後ボケも前ボケも、結構なだらかにボケてくれます。ハーフマクロなのも嬉しいですね。ボケていくグラデーションなんかもすごく美しいです。
やっぱりF値が大きいとボケにくいっていうイメージってどうしてもあると思うんですけど、被写体に近づいたり、あとは望遠端で使っていくと、被写界深度が浅くなるので、ボケを活かした写真っていうのも撮ることができるんですよね。
高倍率ズームだと「焦点距離の広さ」と合わせて「被写体との距離感」によって作品の作り方やバリエーションが変わってくるので、そのあたりなんかも使ってみて良いなって感じたポイントです。
コ:望遠端の200mmだと、開放F値が7.1になります。そこまで大きいと街スナップでは2つ懸念が生まれるんです。
1つ目は手ブレ。2つ目が高感度にした時のノイズです。
明るさを稼ぐためにシャッタースピードを遅くするとどうしてもブレやすくなってしまいます。ですが、S5IIXは手ブレ補正かなり進化しているので、シャッタースピードを遅くしても比較的手ブレせずに撮影することができました。
被写体をしっかりと止めて撮影したい時は高感度にして撮影していますが、高感度耐性が高いのでノイズも気になることなく、安心して暗いシーンも撮影を楽しめました。
F値による暗さのデメリットっていうのは、S5IIXとの組み合わせでは全然感じなかったですね。
コ:そうですね。変わらないということを期待したいです。
コ:やっぱりLUMIXで長く作品作りをしているので、やっぱり変わらないっていうことが、すごく大切だなっていうのを感じるんです。例えばGX7で撮影していた作品と、今後撮影していく作品とを混ぜて展示する可能性もあったりするわけなんですよね。ですので、変わらないでいてくれることによって、LUMIXと長く作品作りに向き合っていけるので、変わらないっていうことが一番大切かなと思います。
コ:とてもありがたいですね。これからもLUMIXでさまざまな作品を撮影していきたいと思います。