マガジンのカバー画像

lumikka original|フィンランドコラム

17
lumikkaがお届けするコラムシリーズ。雪の結晶のような小さな視点から日常を見つめ、そこで発見した美しき風景や思考をお届けします。
運営しているクリエイター

#フィンランド旅行

手仕事がつくる風景

以前のコラム「光のかたち」でもご紹介した、フィンランドの古都トゥルク。今回は、市街地に残された古い美術館を巡りながら、かつての手仕事の痕跡を辿ります。 まずは、薬局美術館。 当時、この家には貴族が住んでおり、ある時期においては街の薬局でもありました。 家の中には18-19世紀のロココ様式やスウェーデンのグスタビアン様式のインテリアがいまだに現存しており、当時の生活を記録する場所として非常に歴史的価値が高いです。 薬局だった頃のノートや薬瓶。ひとつひとつに個性があり、「

羊の島の夏

すべり込みの夏コラムです。夏至祭の記事と合わせてぜひご覧ください。 羊の島、ランマサーリ島の夏のこと。 旧アラビアファクトリーの裏の海辺に、Lammassaari/ランマサーリという島があります。日本語では「羊の島」。その名前からも、のどかな雰囲気が溢れ出ていますが実際はもっともっとのどかな島です。 島への橋。ここは観光客よりも、地元の人たちが多い印象です。 この島は夏の時期にだけ、どこからか羊がやってきます。それだけでなく、島全体は湿地帯のようになっていて野生の鳥を

セウラサーリ島の夏至祭

秋の風がそよぐ美しい季節がはじまろうとしています。フィンランドはもうすっかり夏が終わり、ひんやりとした空気に包まれている頃でしょうか。 少し季節外れになってしまうかもしれませんが、今年の夏に訪れたフィンランドの夏至祭のことを書こうと思います。すべり込みで2つの夏コラムを書きましたので、よければ合わせてご覧くださいませ。 ヘルシンキの西側の海に、セウラサーリ / Seurasaariという島があります。ここはフィンランドの伝統的な建築物が集合して(移築されて)おり、島全体が

夏至の夜散歩

沈まない太陽、北欧の夏。 午後10時に家を出て、ぼんやりとしたオレンジのなかメトロに乗って近くの島へ。その夕暮れは、永遠に終わりがこないのではないかと思えるほどに穏やかで、静かなものでした。 2023年6月21日のこと。 夏至の夜、ヘルシンキの島への散歩で見た/見つけた風景を今回はお届けします。 . . . 家を出たのはちょうど夜の10時ころ。夜を時間で定義するのならばそれは確かに夜でしたが、人の感覚に委ねるのであれば、それはまだ遅すぎる昼のようでした。 少し