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令和にレコードを出したら即完したけど大変だった話

こんにちは。Jazz Funkバンド「Yapani!」リーダーのルミエと申します。
先日レコードをリリースし、そして無事完売しましたが、
大変なことや知らなかったことがいろいろあったので、
これからレコードを出したい方の参考になればと思い、書き留めておきます。

※実際のスケジュール、生産数、販売価格等は伏せています。

今回のレコード : 7インチシングルレコード 33回転
45回転は最大5分程度までしか収録できないため、33回転になりました

◆レコードの流通

レコードだけではなくCDも同様ですが、大きく以下の2つの流通方法があります。

1.全国のCDレコード小売店で販売
2.自前ECサイトやライブ会場で手売り

今回は両方の流通形式を併用しました。
「1.全国のCDレコード小売店で販売」を希望する場合は、
ディストリビューターと呼ばれる取次業者さんに委託する必要があります。
まずは「2.自前ECサイトやライブ会場で手売り」から初めてみるのも融通がきくのでおすすめです。

◆レコードってどこで作るの?

いま日本国内でレコードを出すには、だいたい5社〜6社の候補があるのですが、中でも以下の2社が有力候補に上がりました。

とにかく自主制作でお金がないので、今回はB社を選択しました。
これがのちに苦しめられることになる…
※B社が悪いというわけではないです! 海外工場での納期や融通についてこちらの理解が足りていませんでした。

◆レコード予約注文・生産のフロー

本来のフローはこうです。

1. 全国のCDレコード小売店に予約注文書を送る (自前ECの予約を開始する)
2. 小売店から予約注文書が返送される (自前ECの予約を締め切る)
3. レコードの生産枚数を決める
4. レコードを生産する
5. レコードを倉庫に発送する
6. レコードを倉庫から注文者に発送する

B社の納期は1.5〜2ヶ月。
仮に1月1日を予約開始日として、この方法でB社のスケジュールを引くと…

予約開始 : 1/1
予約締め切り : 1/15
注文者の受け取り : 3/10前後

ちょっと時間かかりすぎじゃない…?
予約したときのワクワクした気持ちのまま、なるべく早くお手元に届けたい!

と思ってしまったのです。

そこで、このようにしてみました。

自前ECの枚数は途中経過で把握できるので、
「だいたいこれくらいの枚数で着地できそうだな」
という見込みが立ちます。
予約から2ヶ月以内ならワクワク感が持続している気がする...!
と思い、小売店からの予約注文がすべて返送される前に枚数を予測して生産開始したのですが…

甘かった。

小売店からの予約注文が、見込み枚数ギリギリでした。
追加注文が全く受けられない状況です。
「レコードが余ったらAmazonでも販売してもらおうかな〜」なんて思っていたのですが、全くそんな余剰はありません。
嬉しい悲鳴ですが、これはだいぶ不安…!

しかし、すでにレコードは生産開始しています。
さらにここでもう一つ落とし穴がありました。

◆レコードには欠陥品がある。

レコードの製造工程をご存知ですか?
今回注文した製造工場がまったく同じ工程かは不明ですが、
「他メディアと比べて欠陥品が発生しやすい製造工程である」
ということは間違いないようです。

そのため、最大5%程度の欠陥品が発生することを見込みにいれなくてはいけないとのことでした。

ただでさえ予約枚数がギリギリなのに、欠陥品が発生したら追加注文が受けられないどころか、予約してくださったみなさんにレコードが届かない…!
工場に事情をお伝えし、なんとか注文枚数は必ず確保をお願いしましたが、本当に注文枚数分ちゃんと届くのかヒヤヒヤしました…

結果的には無事、注文枚数がすべて納品され、全国小売店様にも、自前ECに直接予約をくださったみなさまにも、無事お届けすることができました。
よかった〜〜!!!!

◆レコード制作の予算

CDプレスの料金はここ10〜20年でめちゃくちゃ安くなったと感じていますが、レコードの原価は決して安くないです。
A社・B社ともに何パターンも試算しましたが、制作費を抜きにしても
「90%以上が売れてようやくトントン」
くらいの利益率です。注文数に慎重になるのをご理解いただけましたでしょうか…
たいていのアーティストがレコードを予約販売(受注販売)にするのも、こういった理由によるものだと思います。

◆まとめ

・見切り発車は危険!時間がかかっても注文枚数を確認してから生産開始しよう
・欠陥品が発生することを見込んで注文しよう

◆最後に

今回レコードをご購入いただいたみなさま、ありがとうございました!
また、追加でご注文希望いただいたのにご購入いただけなかった方、本当に申し訳ないです…
完売はとても嬉しいことですが、追加で購入できなかった方がいらっしゃることは、本当に心苦しく思っています。
大変残念ながら転売されている方(そして購入されている方)も見受けられました。
予算や製作期間に余裕があれば潤沢にお届けできたかもしれないと思うと、力不足を痛感しました。

「インディーズのレコードは500枚売れればヒット」
と言われているそうです。
音楽配信が基本になり、CDはフィジカル(物理的なもの)と呼ばれるようになりました。
ましてやプレーヤーを持っている人も少ないレコードは特殊な市場です。
製作工程は大変でしたし、最終的にみなさんにお届けするまでかなり胃が痛い思いをしましたが、
やはり手元に届いたレコードは、アートワークも含め、ひとつの作品として特別なものでした。
本当にチャレンジできてよかったと思っています。

今回レコードとして収録した楽曲は各種配信サービスでも聴くことができます。
どちらも力作なのでぜひ聴いてみてくださいね!

Yapani!(ヤパニ!)HP : https://www.yapani.com
Twitter : https://twitter.com/yapani003
MAIL : info@yapani.com


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