月旅行

月へ行こうよ。

どこまでも、ハインリヒ·ハイネみたいに。

澄んだ空気、夜という名の宇宙、

明かりがともれば舞台はととのう。

神さまの備忘録、舞台上の空気がふるえ、

演者たちは月に帰る。

月へ行こうよ。

だって町楽隊がはじまるよ。

待っていたんだって。ずっと。

こんなふうにして音楽が続いてくれてよかった。

ぜんぶがつながって、秋めいた匂いにひっぱられる。

蜘蛛の糸みたいに、すぅっすぅっと。

ぼくにはもう、そう言うことしかできない。

それしか、言えない。

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