写真と嘘と
ツイッターを見てると
「これはもう、間違いなくアレでしょ?」
という写真に出会う。
そしてその頻度も凄い。
アレ、というのは「レタッチ」のこと。
彩度や色調を変えるのは可愛い方で、中には明らかに切り貼りを行っているものもある。
それをさも奇跡の云々、とかコメントを入れているのは、流石に鼻白むものがある。
静止画だけじゃなく、動画も多く出回っている。
…私にはその理由も、意義も分からない。
ありもしないものを作って、発表してまでイイネが欲しいとは思わない。
私自身もレタッチは行うことが多い。
モノクロ化を行うときも、カラーフィルターで感光色を変えている。
赤フィルターも緑フィルターも使うが、その理由は青空を暗く落としたり、新緑の誇張をするためなどで、要は「テーマを明確にするため」であって、作品そのものを造り出す意図は無い。
やたらと彩度が高い風景写真。
どうだ、すごい景色だろう!?と言われているようで言葉に詰まる。
そこには無い風景を見せられても、口に苦いものを感じるだけだ。
それならむしろ、少し経年変化したネガの紙焼きを見て、想像を膨らませる方がずっと楽しい。
写真は現実を写さないから、色彩はあくまでも撮影者の印象の中でしかない。
彩度を大きくあげてハイコントラストにした写真は、撮影者自身も同様に感じているという事だから、そう思っただけで戦慄がはしるようだ。
ましてや存在もしていない物体を入れてみたり、適当に形を変えてしまったりすることは、誇張して言えば「風景への冒涜」だとすら思う。
写真は真実を写さない。
だからこそ、気をつけて撮影は行うべきだろう。
写真は言葉でもある。
視る人に対して、過大な嘘を吐くべきではない。
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