秋は消えない
彼岸花が盛りだ。
例年よりも遥かに開花が遅くて、今年は秋分の日ごろにやっと咲き出した。
今が開花のピークといった感じで、黄色い稲穂と朱の彼岸花のコントラストが美しい。
しかし不思議な花だ。
綺麗だが禍々しくもあり、どこか風景に埋もれない強靭さも感じる。
山口百恵の「曼珠沙華(まんじゅしゃか)」の詞のように
異端を貫くようにして咲いて枯れていくのを見送れば、やがては紅葉の秋がやってくる。
日本の四季は、夏と冬の二季になるんじゃないかという話もある。
確かに今年の夏を経てみると、そんな気がしないでもない。
しかし花が咲き、枯れてやがて紅葉に染まる風景がこの国に有る限りは、秋は消えない。
人の心が今以上に擦り切れ、善か悪かの二元論に近付き、感性と言うものを自ら消して行こうとも、自然は人を見捨てはすまい。
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