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インターメディアテク 特別展示 『海の人類史 – パイオニアたちの100万年』
こんにちは。
インターメディアテクの2階「GREY CUBE」で開催される特別展示『海の人類史 - パイオニアたちの100万年』(2024年7月5日~10月6日)の報道内覧会に行ってまいりました。
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インターメディアテクは、東京大学が蓄積してきた学術文化財としての膨大な過去の遺産を洗練された編集で魅せてくれる博物学の宝庫。
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ここにはサイエンスを、最先端技術を美しくみせる Art & Science という意識が貫かれている。だから視界に入るすべてが麗しく心地良い。
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本展は、私たちと海との関係を人類史の視点から見つめ直そうという試み。
第1部:遠い祖先たちは、海にどう働きかけ何を得てきたのか?
第2部:現代の私たちは、海で何をしようとしているのか?
原始と現代を対比させ、違いと共通項を見い出し、人類と海との関係を再考する展示となっています。
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展示を見ていくうちに、古代に生きた彼らの原始的なイメージが覆ってきました。
2003年にインドネシア東部のフローレス島で発掘されたフローレス原人(発表年は2004年)は、想定外の場所で発見された想定外の人類。
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ウォレシア(Wallacea)と呼ばれる地域は水深が深く、大陸から渡るには少なくとも30km-40km程の海峡を越える必要があったため「人類として初めてウォレシアへ来たのは舟を発明したホモ・サピエンス」というのが従来の仮説でした。それを覆したのがフローレス原人。
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孤立した島に渡った動物たちは、体のサイズの減少や増大など「島嶼効果(island rule)」と呼ばれる大陸とは異なる進化を遂げるという。
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原人がどうやって海を越えたのかは不明。
どうやって?も勿論なのですが、私が氣になるのはなぜ?の部分。
黒曜石は化学成分を調べれば、その原産地を特定できる特性を持っています。海を隔てた島でしか採れない石が本州で発掘されたなら、それは海上移送が行われた証拠。
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神津島産黒曜石の利用は、約37,000〜34,000年前の間、関東地方を中心に広範囲で続いていたそう。つまり本州の旧石器人は資源の組織的な海上輸送を繰り返していたらしい、ということ。
神津島の黒曜石は当時人気のアイテムだったのでしょうね。
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所蔵:沼津市教育委員会
沖縄のサキタリ洞遺跡の出土品は、従来の旧石器人の生き方のイメージを変える。
ここから発見された釣り針は、約23,000年前の地層から出土しており、現時点では世界最古。
小さな小さな釣り針ですが、水の中にいる見えない魚を釣る、というインパクトを与える道具であり、それはまた海辺に住むことを可能にした道具でした。
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微小な貝殻にも穿孔している海のアクセサリー。こういった繊細な手仕事から彼らの豊かな精神性がうかがわれる。
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旬のカニを焼いて食していたことがわかる出土品。美食家だったのね。
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所蔵:沖縄県立博物館・美術館
千葉でみつかった壺に納められていたのは、縄文の女性たちを魅了した貝殻のブレスレット。その一部は、遠い島から運ばれたものだった。
前列の5点は、三宅島以南に行かないと採れないオオツタノハガイのブレスレット。縄文人はわざわざそこへ出かけて貝を採集していたことになる。
凄いこだわり。重ね付けしてバングルを楽しんだのかしら。
着飾ることに対する大きな情熱が感じられる。そしてそれを満たすには航海術と貝を採集し加工する技術が必要。
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古作貝塚(千葉県船橋市)/ 縄文時代後期 / 所蔵:東京大学総合研究博物館
古い時代の人は我々現代に生きる人より劣っている、という見方は目の前に横たわっている事象にフィルターをかけてしまうような気がする。
本州から180km離れた八丈島。八丈島に行くには強大な海流「黒潮」が流れている海を越えなければならない。約5500年前、そこに高品質な石材を使用した装飾品や、イヌ、イノシシが運び込まれている。
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当時、最も遠い島のひとつであった八丈島に、単に生きるだけなら必要がなかったであろう本州のエレメントが持ち込まれている。そこは当別な島だったのか、それとも私たちの想像を超える未知の何かが作用したのか…。
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大海原の向こうに陸地があることをどうやって知ったのか、どうしてそこに行こうと思ったのか。私は海を渡ろうとした彼らの動機が気になる。
鈴木光司さんの「楽園」を思い出した。
太古のモンゴルで暮らしていた男女が他部族の襲撃により離れ離れに。女は北上してベーリング陸橋を越えアメリカ大陸へ連れ去られ、男は女を追って南アジアまで下り、船で太平洋へ漕ぎだします。
アジアからアメリカへの民族の移動。その原動力が「愛」であったという壮大な物語。
ひとりの情熱は思っているよりも遥かに強い。きっと「楽園」はひとりひとりの細胞に組み込まれている。
(記事「マリアージュ フレールの紅茶「GENGIS KHAN(チンギス・カン)」からモンゴルへ」)
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そして、巨大マグロも狙ったという三陸の縄文人。
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宮城県の波怒棄館遺跡(約7,000〜5,000年前)から発掘された大量のマグロの骨。多かったのは体長1.3m程のクロマグロでしたが、中には2.5mと推定される巨大マグロの骨もあったという。
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三陸の縄文人はどうやって多くのマグロを捕らえることができたのか。
縄文中期(約4500m年前)以降になると漁具の多様化・高度化が顕著になるという。
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素材は骨や鹿角という違いはありますが、近現代の漁師が使用しているものと比較すると基本的な構造は何千年も前から変わらないことが分かる。
縄文時代にすでに「完成していた」漁具!
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物的には彼らより進化していると感じる私たちですが、原始の人々は「物」を必要としていなかったほど霊的に高いところにいたのかもしれない。私たちは失った何かを補うために物的進化が必要だったのかも。
不図そんなイメージが浮かんだ。
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第二部では、人類と海との関係が新しいフェーズに入りつつあることを紹介しています。
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遠い祖先たちは、危険な海との関わりを深めていった挑戦者だった。しかしその末裔たる私たちも、チャレンジを止めたわけではない。
むしろ現代の海運・海自業は、これまで人類の大目標であった輸送機能高度化という概念を超え、安全、平等、情報共有、自然との共存など、新たな思想と共に多方面に広がりを見せている。
ウインドハンターは、洋上風からグリーン水素を創る・貯める・運ぶという機能を兼ねたハイブリッドプラントとも言うべき船。完全ゼロエミッションを達成しようとするプロジェクト。
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石油を使わず、風の力でエネルギーを創りだす現代の帆船。原点回帰。
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興味深かったのが、モニターに映し出された世界の海における船舶状況。船舶に搭載が義務付けられているAIS(自動識別装置)によりライブで状況がわかるようになっているのだそう。
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海上の状況も空と同じように追跡できるMarineTrafficなるものがあるらしい。
シカゴ・オヘア国際空港から成田に戻って来る「BB-8ジェット」をフライトレーダーで追跡した時のことを思い出した。
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私たちと海との関係を見つめなおす機会にぜひ。
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名 称: 特別展示『海の人類史 – パイオニアたちの100万年』
会 期: 2024年7月5日(金)- 10月6日(日)
時 間: 11:00–18:00(金・土は20:00まで開館)*時聞は変更する場合があります
休館日: 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館、ただし8月13日(火)、19(月)は開館)、 9月2日(月)から9月9日(月)、 その他館が定める日
会 場: インターメディアテク2階「GREY CUBE(フォーラム)」
入館料: 無料
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