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#140 表情の節約

「きおく」「きろく」「きりょく」
7歳の息子にとって、これらの言葉の使い分けが難しいらしい。
時々間違えてわたしに指摘され「えへへ」となっていた彼だが、
「ねぇママ、きおく と きろく と きりょくって、どういう意味なんだっけ?もう一回教えて」
と尋ねてきた。
簡単な言葉で説明しながら、わたしも「大砲」と「包帯」がずっとわかんなかったなぁなどと思い出した。どんなシーンで使うんか不明だけど、多分しりとりとかそんなだろう。

だがよく考えると息子の苦手な3語は関西弁だと発音がそっくりなのだ。
うちは夫のおかげ(?)で結構関西弁が強めの家庭環境。
個人差はあるのを承知で申し上げると、この3語は口の中の舌の動きが違うだけで、唇をほぼ動かさずとも言えてしまう。
そりゃわからんな、と大笑いしたのだった。

今歯列矯正中のわたしの発音はさらに悪いのだろう。元々「え?何?」と聞き返されがちなわたしの話し方は意識しなければ伝わりにくい。

小さい頃、海外ドラマの俳優たちが顔全体を使って会話しているのを見て驚いた。なんで彼らはあんなに口だけじゃなくて顔が全部動くのか、と気になって仕方なくて内容が入ってこない。なんなら舌だって出てくる。
彼らの眉や目の動きも額の皺も、腕や指の動きも、めちゃくちゃ派手。音がなくても大体何を言っているのかわかるなんて、何事かと思った。
日本のドラマでも「顔芸」が話題になったりするけど、あれを日常使いできる人ってそんなに多くはいないんじゃないか。

昔、テレビで「航空会社のスタッフ研修では、謝罪の時の眉の動かし方を教わる」というのを見た。なるほど、申し訳ございませんという言葉に八の字眉と眉間皺がセットされると中々の「申し訳ない感」が漂う。これはマスクをしていても使えるぞ、と思ってわたしも多用した。でも眉間皺が気になってきてやめることにした。
仕事中に愛想笑いがいる時は、少し目を細めることにしている。口元が見えない分、目にその役を肩代わりしてもらう感じ。ちょっと目が小さくなるから「あの人目が笑ってない」とはならないのでは、と密かに思っているが、誰かに聞いてみたことはないので効果のほどはわからない。


そうやって仕事中に表情をエコモードにしすぎていたせいか
普段の言葉の発音まで怪しくなっていたと気がついて、こりゃいかんと見直すことにした。仕事中は基本的には感情をオフにしているので仕方ないとして、家族と会話するときは意識して伝えたいメッセージを顔にも載せていこうと思う。
息子に「ママ、、、 なにそれ?」と怪しまれながらがんばります。

るる

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