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#21 偶然見つかったものさしのこと

25ansを久しぶりに読んだ。

10代からDomaniやPrecious、婦人画報を眺めるのが好きで、母のを借りたり立ち読みしたり、たまに買うこともあった。

もちろん当時のわたしに買えるお洋服なんて載ってないし、
まずモデルの女性が10以上年上なわけだけど
なんてことないのに洗練されたラインのシャツとか
質の良い革の靴、ラインの美しいワンピース、
くすんだ色の柔らかそうなニットなんかが
ものすごく魅力的に見えた。

建築・インテリアの雑誌もよく見た。
置いてあるコーナーもジャンルも異なるけど
わたしはそれらと同じ感覚で読んでいた気がする。

その後、Cancanを買う暗黒時代が訪れるのだけれど
その話はまた今度にして、

当時でもなんだか雰囲気の違う雑誌があって
それが25ans(ヴァンサンカン)だった。

知り合いが載っているから、といただいた

めくったらブワッと香水の香りがしそうな
ラグジュアリーな写真、写真・・・
マネキンよりマネキンぽいスーパーモデルが
服なのかなんなのかよくわからないものを纏って
風に向かって立っていたりした。


ハイブランドの名前の読み方はほぼこの雑誌で覚えたと言っても良いと思う。
見てはいけない(ことはない)別世界から降って来て紛れ込んだ様な、
優雅な分厚い雑誌だった。

ディスっているのではない。
怖いもの見たさでハイソなレディの日常を見て
はー!とかへー!とか言ってた。
多分羨ましい気持ちもあったのだろうけど
自分とかけ離れすぎたせいで、美術館でアートを眺めているのと変わらない気持ちだった様に思う

何頭身か数えてしまう

そこから20年経ち(怖
久しぶりに開いたわけだが
驚くほど何も感じなかった。

10代の頃にあった微かな憧れや好奇心は消失してしまったのか
ますます絵画を眺める様な気持ちで見ていた。
記憶に違わずマネキン然としたモデルも、
重そうな宝石のネックレスも、
パーティースタイルの紹介も、
ピカピカしているのに眩しくなかった。

そういう自分にしばらくびっくりしていた。
胸の中で、わたしってセンスが悪いんだろうか、鈍いんだろうか、と逡巡した。

でもその後ごはんを食べながらふと思い当たった。
あ、多分、わたしの「幸せ」と「美しい」のものさしができたんだわ、と。
10代の頃は持ち合わせていなかったものさしが今はもうあるから、
それで測れないものには反応しなくなったようだ。

華やかな幸せよりも、慈しむような柔らかい幸せを探したい
と自分で決められたから、
タイプじゃないイケメンを見てもドキドキしないのと同じように
心が揺れなくなったのかな
と思うとなんだかすごく嬉しくなって、
夫を抱きしめたくなった。(抱きしめてないです)

自分軸がないなぁとか好みがバラバラだなぁとか
心配してたけど、一応ものさしは持ってたので
当面はよしとします。
以上。

料理家の谷尻直子さんが推されていて読みたくなって探した。
選ぶ言葉も写真も、この本の匂いも好き

るる


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