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赤い糸伝説が元になったファンタジータイBLドラマ〜UWMA運命の赤い糸〜

赤い糸伝説をモチーフにし、結ばれなかった前世の記憶を宿した魂が織りなすファンタジーBLラブストーリー・・・と要素てんこ盛りのタイドラマを先日無事に見終えたので紹介したい。
タイトルは「Until We Meet Again〜運命の赤い糸〜」。完成度の高いストーリーと出演者の涙の演技に定評のある人気ドラマだ。
(楽天TVでレンタル、購入どちらかが選択可能。1話目は無料)

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コーンは父親がマフィアであることで、学校から浮いた存在。いつも1人でいる彼を好きだと下級生であるインが公言し近づいてくるが、コーンはそんなインを最初は疎ましく思う。めげずに積極的にアプローチするインについにはコーンも心を開き、2人は愛し合うように。ところが2人の親は同性同士の恋愛を決して許さず、何とか別れさせようと画策。思い余ったコーンは父親との確執もあり、発作的に銃自殺。悲しみにくれるインは後を追い、2人は現世を追われた。
30年ののち、昔から誰かを探しているような気持ちに囚われ続けていたパームとディーンは大学でお互いを見た瞬間に魂を揺さぶられるような気持ちになり、互いに強く惹かれ合う。彼らこそが、来世で結ばれようと誓ったコーンとインの生まれ変わりなのだった。

魂の記憶に揺さぶられ、一気に恋愛へと加速する2人

そう、これは前世とか来世とかそう言うお話。そこに赤い糸伝説を絡め、愛する運命の2人の小指は赤い糸で結ばれている、という日本の伝説もドラマ内で紹介される(中国では赤い縄で足首に巻かれている)。

その伝説を、「赤い糸」は実は前世からの縁なのではないか、とよりファンタジーに近づけているのが本作。

ドラマ自体は前世の話であるインとコーンの物語、そして現代に戻ってはパームとディーンの物語、2人の恋愛が交差するように進んでいく。

亡くなった時にあまりにも思いが強過ぎたのか、パームとディーンは物心がついた時から見えない「誰かの想い」を背負いながら生きている。そしてパームは前世のトラウマから大きな物音にひどく怯えて生きてきた。

ディーンが先輩、パームが後輩と言う形で同じ大学で出会うことに。一目見た瞬間から通じるものがあり、2人は急速に接近していく。

一目惚れのカラクリは本当はこれなのでは、と言うほどにガッツリお互いが「この人だ」と直感するくだりはまさに少女漫画の世界。

ようやく結ばれる時の美しいキスシーンは必見。
順調に2人は接近し、戸惑いながらも自分の気持ちを抑えきれずに結ばれる。これはインとコーンが強く誓った「来世でまた会おう」という約束そのもの。

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現世では料理とお菓子作りが得意なパーム、現世でも父親とギクシャクするディーン

パームは母親がレストラン経営をしていて自分も料理やお菓子作りが大好き。
実はパームの前世であるインは、コーンのために頑張るもほとんど成功したことがない、と言うくらいの料理音痴。ラーメンも満足に作れないインは、今度こそと可愛く微笑むのだけれど、何と現世のパームは料理もお菓子も大得意、入学早々料理研究部に入るほどだ。

考えると感慨深い。前世でうまくいかなかった「好きな人に美味しいものを食べてもらいたい」気持ち。それがパームを通して成し遂げることの、切なさを感じる。

一方、家業を継げと言われても頑なに拒否していたコーンは父親との仲は最悪。同じくディーンも、祖母に育てられた過去があり、その祖母とうまくいっていない父親との仲はギクシャクしている。ともに2人は気難しい性格で、いつも何かに囚われていたディーンは無駄に愛想を振りまかず、兄弟にも厳しい真面目な長男なのだ。

このあたりはコーンとディーンには共通点があり、課題を現世にも持ち込んだ形となっている。

前世を背負っているところ、そして現世で生まれ変わったところ、うまく織り交ぜてストーリーにより深みが増しているし、生まれ変わりだと言っても別の人間なのだとこの物語のラストへの伏線を感じる。

複雑に絡み合う現世と前世

ネタバレになるのであまり書けないけれど、この現世で2人の記憶を魂に宿しているパームとディーンは、インとコーンのファミリーと全くの他人ではない。複雑に絡み合う人間関係に、相関図をさらに広げねばならないほどに頭の中がごちゃごちゃしてくるのだけれど、2人を結びつけるものは、パームの隣人である謎のロン毛の男性。

この男性は最初から一筋縄ではいかない雰囲気を纏っていたけれど、案の定で最後まで物語の核となる人物に絡む重要な存在となる。

この男性も同性愛者で、その交際自体はオープンにしている。

2人を結びつける人物が、インとコーンが苦しみ抜いた同性愛者であると言うこと、そしてパームとディーンの交際に理解を示すことに深い縁を感じる。

インとコーンがいた世界は、あまり違和感なく描かれているけれど、現世から遡ること30年と言う設定。そのころは今よりも同性同士の恋愛をひた隠しにせねばならないと言う事情と、親世代には決して理解されない苦しみがあったのだろうと推測する。インとコーンはともに長男。将来を嘱望され、父親がことさら愛した息子だけに引き裂かれてしまう運命に抗えなかった。

複雑に絡み合うとはいえ、相関図を作らずとも純粋に物語は楽しめるのでご安心を。

涙の演技賞

とにかく涙が多い本作。焦れるほどに、毎回しっとりした感情の機微を丁寧に描いたシーンが多い。

いつもならば間延びしてくるとガンガン早送りしてしまうけれど、今作は全て通常モードで鑑賞しきった。有料のレンタル配信ということもあっただろうけど、とにかく俳優さんの「泣きの演技」に目を奪われる。

主演のパームを演じたのは、Flukeくん。愛らしい笑顔、童顔にぱっちりした二重が印象的だけれど、セクシーもイケる。

彼はとにかく泣くシーンが多い。毎回泣いていたのではないのか。それもディーンを一目見て・・・とか、突然昔の記憶に囚われて、のようにボロボロっと胸の奥から出てくるような涙が多くて、非常に難しいだろうなと思うけれど毎回熱のこもった泣きっぷりで持っていかれた。
プラス、友達である腐女子マナウちゃん(いろんな作品で顔を見るコメディエンヌ)にかける言葉が毎回本当に優しくてこんな男友達欲しいなとつくづく思った。決して嫌な言葉でからかったりしないし、ちゃんと可愛いよって言う。毎回それに癒された。

もう1人の主役、ディーンを演じるのはOhmくん。すらっとした体型、作りあげられた肉体美(水泳部)、すっきりした目元に通った鼻筋が特徴。

足長っ!!

生真面目な性格であまり笑わないのだけれど、パームと出会うことによって表情が柔らかくなり、不安定でインの魂に振り回されるパームを必死で守ろうとする王子様役が合っていた。

そして積極的にコーンに迫り、天真爛漫で一途なインを演じたのは、Earthくん。この作品の監督が作った「Love By Chance」で壮絶な過去を持つ精神的に病んだ男の子という複雑な役を演じた彼。

小悪魔的な魅力がある彼。ちょっとわがままそうなところも魅力なのだなと思う。

コーンを演じたのは、Kaoくん。インスタが見つけられず、でEarthくんとの2ショットを。

端正な顔立ち・・・この物語の中だとKaoくんが一番好きだったな。親の職業のことで誤解されているという孤独な青年が色っぽくてよかった。

他、サイドカップルである2人のうち、先輩Winを演じたBounくんも格好良かった!(下の写真の左側の彼)

背中に翼のタトゥのある役柄(水泳部)なのだけれど、これが何ともセクシー!
主役2人の機微が丁寧過ぎて、ややサブカップルの描き方に時間配分の差を感じるけれど、パームの同級生役のPremくんといい感じになっていた。

それにしてもタイドラマで共演すると、サブカップルでもこうしてCMなんかにカップル出演しちゃう。タイのCM事情がよくわかんないのだけど、それだけ人気ドラマに出るって重要なことなのだろうな。

このドラマの出演者には、胸キュンが詰まった純情ラブストーリーの王道である「Love By Chance」に出ていた方々が結構出てくる。

見たことのある方は、この人もこの人も!と喜べること間違いなし(ちなみに「Love By Chance」も楽天TVで配信されている)。

最終話ではちゃんと視聴者の疑問を回収してくれる秀逸さ!

この物語を追いかけていくと、インとコーンの前世でのお別れがあまりにも悲劇的だったため、2人の「また来世で会おう」という約束がかなり強い欲望となって(やや呪い気味に)現れ、パームの夢にたびたび登場し、パームがあたかもインのように振る舞ったり、コーンの行いをディーンが詫びたり、と後半はやや混沌としてくる。

そこで疑問がふつふつと湧いてくる視聴者は私だけではあるまい。

それは「これってもしかして前世の呪いが解けたら、2人の思いも無くなるのではないのか」ということ。

2人は前世の因縁を知り苦悩し、そしてインとコーンの魂が鎮まるように、当時の関係者と会っていく。その様子は周囲の人々を助けたり、慰めたりしていくのだけれど、そうしていくうちにどうしても気になってしまう。

いくら赤い糸とか、生まれる前から結ばれていた、とかファンタジックなことを言っても、現代に生きて全く別の人として生活している2人が、前世の呪いで引き合わされたとは言え、それは本物の愛じゃないのでは?

パームはパームとして、ディーンはディーンとして、インとコーンのことがなかったとしても結ばれていたのだろうか。

これは物語がふわふわとした恋伝説に終わらない重要な鍵となる部分である。

そして、それが最終話でちゃんと明らかにされるのだ。

これには本当に感動した。
確かに赤い糸というのは夢があるし、美しいのだけれど、魂が震えるように心が動かされたのも前世のインとコーンが会いたがっていたからで、本人の意思だったのかわからない。

そのじわじわと形になっていく不安は、ちゃんと2人の間に提示され、それを解決して終わりとなる。

このちゃんと張り巡らされた回収技に、まんまと持っていかれた。
思わず「そうだよね、だよね」と声を出して鑑賞してしまったほど。やはり一目惚れとか、何となく惹かれる、とかそういう「恋って不思議」なほんの一部分でも、こういう前世の営みが絡んでいるとしたら納得いく部分があるし、不思議の一面が垣間見えたような気分になる。そういうのはあってもいいんじゃないかと思わされた。お見事だ。

ただの浮かれ恋物語に終わらない、どっしりとした愛の姿がちゃんと見られるファンタジーに収まらない究極恋愛ストーリーに仕上がっている。

大学生で「一生」とか「この先もずっと」とか約束事が少々早すぎる(いやこれがタイBLの王道だけど)と思うけれど、いや前世からの繋がりと本人同士の固い意志があるのだもの、そりゃそうだろう、と納得してスッキリラストを迎えられるのだ。

素晴らしい。視聴後感がスッキリ。

やや大人なシーンもあるけれど、全編を通して愛おしくパームが「ピッディーン!!!(ディーン先輩の意)」と照れまくって呼ぶ姿が印象的な、しっとりとしたピュアなラブストーリー。タイの伝統的なお菓子が満載で、意味や成り立ちもパームから語られるので、その辺りも勉強になる。

現在は、楽天TV他配信での視聴が主なので、無料の第一話をまず見て判断してほしい。こちらのドラマは1話目から引き込まれること間違いない。


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