「木蓮と子犬の昼寝」ー詩ー
庭の木蓮 大きく枝を張り
白い花は 碧空に
春の 言葉文字のように
浮かび 上がる
無口な木蓮の 言葉は
ささやきにしか
聞こえてこない
黄色の 花芯の
ネックレスを纏い
甘いかすかな匂いは
春の 夕暮れを
悲しむように
漂い続ける
涙の形の 花びらは
地面に 落ちると
まるで 白絹布を
敷き詰めたような
涙の 道が生まれまる
父さんは 木蓮が
大好き だった
ガーデンチェアーを
持ち出して
花を 見上げて
春陽の 白さを
愛でていた
父さんが 天国に
昇って しまっ