ぼくのタイ文字入門 1

「熟成下書き」というお題を見かけたので、ずっと前にタイ語を勉強しようとしたときに書いたものを公開してみます。教えることによって自分も身につく、というのを狙ったのですが、見事に続かなかったので「2」以降の予定はありませんが、誰かの役に立つかもしれないので公開しておきます。

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タイ文字を勉強し始めたときに感じたのは、破裂音中心の世界観だなあ、ということでした。

破裂音というのは、/k/ とか /p/ とかの、「伸ばせない子音」のことです。タイ語の子音字が44あるうち、その約7割を「破裂音とその仲間たち」とまとめて理解することができることに気づきました。

「破裂音とその仲間たち」をうまく整理するということこそ、ぼくが見た教材の多くがあまりうまくできていないことであり、タイ語超初心者のぼくがこんな記事を発表しようと思った理由でもあります。でもその話をする前に、それ以外の文字を一気に終わらせてしまうことにしましょう。

7つの音に対して、本当は文字は10文字ありますが、まずはそれぞれの音に対して、よく使われる1文字ずつ覚えましょう。

7つの子音を、3つの鼻音、2つの流音、2つの半母音に分けて紹介します。用語は多分音声学的にそんなに正確なものでもありませんので、分類して覚えるのが好きな人だけ参考にしていただければ大丈夫です。

1a. 3つの鼻音 ง /ŋ/, น /n/, ม /m/

鼻音というのは鼻から出る音です。

ง /ŋ/ は英語の sing とかの ng の音です。この音は音節の最後にしか来ない言語も多いのですが、タイ語では音節の最初にも最後にも来ます。

น /n/ は日本語のナ行、ม /m/ は日本語のマ行の子音です。この2つの形がまぎらわしくて苦労しますが、なにかしらこじつけて気合入れて覚えてください。

ちなみに น /n/ はタイ語の子音字の頻度ランキング2位だそうです。ง /ŋ/ が5位、ม /m/ が6位です。みんな人気者ですね。

1b. 2つの流音 ล /l/, ร /r/

日本語のラ行にあたります。日本語話者は l と r の区別が苦手だといいますが、タイ語でもこの2つはよく混同されるらしいので、苦手なひとはあまり気にしなくても大丈夫でしょう。

ちなみに ร /r/ はタイ語の子音字の頻度ランキング1位だそうです。ล /l/ は11位です。

1c. 2つの半母音 ย /y/, ว /w/

ย /y/ は日本語のヤ行、ว /w/ は日本語のワ行の音です。

/i/, /u/ という母音とほとんど同じ音が、子音の役割をしているので、子音の一種ですが半母音と呼ばれます。

子音字頻度ランキングでは、ย /y/ が7位、ว /w/が8位です。

(※/y/ と見て、あれ、と思った方向け。正確な国際音標文字では ย の音は /j/ で、/y/ は母音ですが、国内外の教材で多く使われているタイ語の発音表記に合わせて、ここでは y の文字を採用しています。)


これら7字に加えて ญ /y/, ณ /n/, ฬ /l/ の3文字があって、特に ญ はなかなか面白い文字なのですが、その話はまた別の機会にすることにします。

以上の9文字は、すべて「低子音字」に分類されます。
音声上の共通点としては、
・有声子音(のどが震える)で、
・いつまでも伸ばしていられる音(/nnnn/ とか /wwww/ とか)
というのが挙げられます。「共鳴音」(sonorant)と呼ばれたりもします。

(つづく)

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