ユゴー「こうして季節が暮れて……」(フランス詩を訳してみる 12)

Victor Hugo (1861)

こうして季節が暮れて
影が伸び 青空が縮んでいく。
丘には冷たい風が吹いて
鳥がふるえ 草もかじかむ。

八月と九月がせり合っている。
海からは海鳥が姿を消した。
日ごと 昼は一分ずつ失い
日ごと 暁は光の涙をこぼす。

一匹の蝿が 罠にかかったように
部屋の天井にとまっている。
白い雪の結晶のように
少しずつ 夏がとけていく。

Voici que la saison décline,
L’ombre grandit, l’azur décroît,
Le vent fraîchit sur la colline,
L’oiseau frissonne, l’herbe a froid.

Août contre septembre lutte ;
L’océan n’a plus d’alcyon ;
Chaque jour perd une minute,
Chaque aurore pleure un rayon.

La mouche, comme prise au piège,
Est immobile à mon plafond ;
Et comme un blanc flocon de neige,
Petit à petit, l’été fond.

先日のランキングで35位になっていたヴィクトル・ユゴー(1802-1885)の秋の詩を訳してみました。1902年になって出版された遺作です。

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