未完のラブストーリー

それが恋なのかはわからなかった
ただずっと胸の内に靄が広がっていて、寝ても覚めてもその顔があの声が頭の中に浮かんでいた。
想うことが恋の要因であるのならこれは確かに恋なのだろうか
彼女と顔を合わせるたびに私の動悸は激しさを増した
言葉を交わすたび、えも言えぬ気持ちになった

ただ懸念があった、私たちは同性で彼女にはお付き合いしている男性がいるらしい

その男のことを想うとまた似た感情になる
胸の内に靄が広がり、寝ても覚めても顔が声が頭に浮かぶ
顔を合わせると動悸は激しさを増し、言葉を交わせばえも言えぬ感情になる

とすればこれは恋なのか、私にはわからなかった

ただ私が両者に抱く感情には差があった
彼女は私にとって太陽のような存在だった、彼女と共にいれば私は月のように光ることができた、かけがえのない存在
男の方はよく知らない、私にとっては赤の他人、星屑同然の通行人A
でも彼女にとっての太陽なのかもしれない

私は彼女の月でしかなかったいや彼女にとっての月になれていたかも怪しい、一人で思い上がっていただけなのかもしれない

この感情を自覚しなければ私は今まで通りだっただろう

そう、きっとこれは恋なのだ、美しく輝かしい、かけがえのないものだけれど儚い
そんな感情の中に私はいた

私は恋をしていたんだ
しかしその感情に気づくのが遅すぎた、
砂時計の砂が落ちるように時というのは一方通行だった逆さにしても過去に戻ることはない、また新たな日々が流れ始めるだけ、
もう二度と彼女に会うことは叶わなかった

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