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【ぼくの思い出#02】ぼくとベトナム、日本とバオ君2

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ぼくが高校2年生のとき、クラスにベトナムからの留学生が来た。

名をバオ君という。

これはそんなバオ君とぼくとの思い出話#02だ。前回の#01を読んでいなくてもまったく問題ないように書いているので、まぁためしに読んでいって欲しい。


ー 2 ー

バオ君はとにかく日本語について敏感な青年だった。
日本人だとなかなか気が付かない様なことにどんどん気付いて、そしてそれについてぼくに質問してくれた。
答えられる質問ももちろんあったけど、バオ君の質問はいつも鋭くて大抵の場合は答えられなかったのを覚えている。


「なぁ、ぢぇぃ。ぢぇぃの「ぢ」と「じ」何が違う?」

はい、来ました。答えられない系の質問。
まぁとりあえずもう少し話を聞いてみると、どうやらベトナムでは「あ」の発音は6種類くらいあるらしく、だから「ぢ」と「じ」の発音の違いを教えて欲しい!とそういうことのようだ。

いやいやいや……同じでしょう…。自分は「ぢ」と「じ」を言い分けている認識はないぞ。というか、全日本国民がそうだと信じたい。
さらに話を聞くと、バオ君曰く「たとえば日本人は「ん」を何種類か言い分けてるよね?あれってどうやって言い分けているの?」だそうだ。

いやいやいやいやいや……え?「ん」を?…言い分けてますか?ぼくちゃんたちが?「ん」なんて一種類しか発音ないでしょうに。
そう思っていたぼくはマジでビックリしたのだった。

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はい、どーも。
じゃぁここで突然だけど、これを読んでるユーも次の語句を一緒に発音してみてもらいたい。

「あんみつ」

「あんこ」

「あんどら焼き」

この三つの語句の中にはそれぞれ一字ずつ「ん」が入ってるけど、実はこの「ん」はすべて違う発音なんですよ。
ゆっくり発音してみると分かるんだけど、それぞれの「ん」は「唇を閉じて出す発音」「舌の根を上顎にくっつけて出す発音」「舌の先を上の歯にくっつけて出す発音」になっているはず。
要は「ん」の後に続く文字によって、何種類か発音が違うものがあるのだ。そしてぼくら日本人は、それを自然と使い分けている。

全っっ然、知らなかったねぇ。。
というか、その違いに気付くことができるバオ君がスゲェ。


なんか彼と話していると、日本を外側から見ている気持ちになってとても新鮮だった。

世界は広い。

そんなクソ当たり前な事実の一端ををぼくは肌で感じていた。


【ぼくの思い出#03】へ続く。


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