これから英語を勉強をする人に向けた記事

新型コロナウィルスの影響で、政府から全国の学校を休校にする要請が出ました。学生だけでなく、社会人の方も出勤を控えるように言われている方は少なくないのではと想像しています。

突然、自宅待機と言われてもどうしたらいいか分からないですよね。

その一方で、この時期に自分と向き合ってスキルアップをしようと考える人も多いということが、最近いただくご相談から分かってきました。

内容は「この機会に英語学習を始めようと思うのですが、何を勉強すればいいでしょうか?」というようなものです。

ということで、私が知っている限りで一番効率的な英語学習の方法を紹介します。

言語ですので効率よくなくとも継続していればいずれはできるようになります。ここで書くのは知っておくと目標までの時間は少し短くできるよといったものです。

第二言語習得理論

まず第二言語習得理論(Second Language Acquisition Theory)という研究領域があります。

簡単に説明すると、母語ではない言語はどのようなプロセスで学習すると効率が良いのかを研究する分野です。

現段階ではあくまで仮説なのですが、第二言語習得理論によると以下の3つが言語を学習する上で重要な観点になります:

1. 文字ではなく音から学ぶ
2. 断片でなく塊で学ぶ
3. 英語を学ばないで英語で学ぶ

この観点を簡単に解釈すると、以下のようになります:

1. 文法をやる前に発音を習得する
2. 単語帳ではなくリアルな文脈から語彙を学ぶ
3. 英語で情報を収集する

まるで、学校の英語教育を否定しているかのようですよね。しかし、個人的な経験から考えるとこの3つの観点は非常に納得できるものがあります。

私が中国語を習得した時に上記の3点を意識して勉強をした結果、およそ半年で日常会話が問題なくできるレベルになりました。

これはなぜかというと、発音を習得することで細かい言語の音を認識できるようになり、言語情報のインプット量が相対的に増えるためです。

また発音に自信が持てると、その言語を話すことが楽しくなります。楽しくなるとアウトプットへの抵抗がなくなります。

結果としてインプット量とアウトプット量が増えることで、より英語を活用する経験を積むことができるわけです。

なので。先ほどの「英語は何を勉強すればいいか?」という相談に対しての私の考えは、発音を習得するべきだと思います。

(文法やるなとかそういった話ではないですよ)

日本語と英語の違いを知る

発音を勉強するといっても、これがまた難しいです。一定の年齢を超えると、赤ちゃんのように英語を聞いていたら自然とできるようにはならないものです。

なぜこんなことが起こるのかというと、英語の音を日本語の延長線上に考えていることが原因だと思っています。

音の構造を考えると、日本語と英語は全く異なります。日本語の感覚で音をいくら勉強しても、英語の音は出せないわけです。

そこでオススメしたいことは、英語と日本語でまず何が違うのかを頭で理解することです。

なぜなら違いがわかることで「何が正解か」がより具体的にイメージできるようになるからです。

抑えておくべきポイントは以下の4つです:

1. 音が解放されるポイント
2. 舌の位置
3. 「音節構造(リズム)」と「強勢(リズム)」
4. 抑揚(イントネーション)

この5つを意識して発音の勉強をするとしないでは、学習効果が全く変わります。

1. 音が解放されるポイント

日本語は、ほとんどの音が口の前方部分で発音されます。

一方英語は、前方部分だけでなく、口の中央部分、喉付近から解放される音がたくさんあります。

音が出るポイントが口の中で前後上下に激しく動くイメージです。

例えば以下の動画で喉の使い方などを説明してくているので、参考になるかもしれません:

2. 舌の位置

次に注意するのが舌の位置です。日本語は舌が常にリラックスして垂れている状態で発音されます。

一方で英語は舌の移動が激しいので、常に半分浮いているような状態です。

舌が下がると音が重くなり、子音のみで終わるはずの音が母音と結びつきます。

3. 「音節構造(リズム)」と「強勢(ストレス)」

音節構造と強勢は非常に重要な要素なのですが、意外と浸透していないイメージです。

正しいとされている日本語は、一定のリズムで音が発音されます。これを専門用語で「音節拍子」と呼びます。

一定のリズムというのはどんなことかというと、ニュースキャスターが原稿を読んでいることをイメージしてもらえると分かりやすいです。

「本日午後5時に東京都渋谷区にあるコンビニエンスストアで…」

というような文章を、実際にテレビで話していることをイメージしてみましょう。落ち着いて、音の強弱をつけずにフラットに話しているイメージがわくかと思います。

一方で英語は「強勢拍子」といい、テンポやリズムが明確です。

先ほどの例と同じような場面で、海外のニュースキャスターが原稿を読んでいるとしてイメージしてみましょう。

South Korea has reported a record daily surge in new coronavirus cases...

日本語とは異なり、音の強弱がはっきりとしていることがなんとなくわかるかと思います。

不思議なことに、英語の文章を「音節拍子」で発音すると意味が取りにくくなります。

4. 抑揚(イントネーション)

日本語にも抑揚はありますが、英語のイントネーションは、話し手の「態度」「意図」がより強く反映される傾向があります。

仮にニュースキャスターの読む文章に抑揚をつけてしまうと、幼稚だったり、落ち着きのない印象を受けますよね? 

日本語では抑揚をつけない方が、大人らしい、フォーマルであるという認識があります。

一方で英語は先ほども書いたように、話し手の態度や意図が強く反映されます。

例えば同じフレーズの表現でも、イントネーションを変えるだけで全く異なる意味として認識されます:

例:
・Excuse me(↗︎)?(なんて言いましたか?≒ [ pardon ])
音が聞き取れなかった場合や、道を聞きたい時のイメージです

・Excuse me(↘︎)?(すいません。)
人とぶつかってしまった時や、話の途中で咳をした時のイメージです

細かい発音のミスがあっても、リズムとイントネーションが正しければ大体の英語は伝わります。

「R」と「L」の発音を練習するよりも、大きな要点をまずは理解するとより早く発音習得ができるようになります。

違いを意識しながら発音を何度も録音する

発音習得で重要なことは、自分の声がどのように聞こえるかを客観的に理解することです。

「できてる」と自分では思っていても通じない。という状況が一番精神的にきついものがありますからね。

なので発音の勉強するときは、できる限り自分の声を録音しましょう。

録音した音と、参考にした音声を比較して何が違うのかを適宜改善しながら何度も録音を繰り返します。

発音勉強にオススメの教材

発音を勉強する時におすすめなのは「動画で口元がわかるもの」または「英語の日常的なフレーズを学習できるもの」の2点です。

例えばBBCが提供している動画教材は、どれも質が高く内容もかなり細かく説明してくれています:

BBC Learning English

個々の発音のみでなく、音声変化についても事例付きで紹介してくれている動画なのでとても勉強になると思います。

Rachel's English

アメリカ英語の音声変化を学習するなら、Rachel's EnglishというYoutubeチャンネルがオススメです。

実際に音声変化が起こるポイントを視覚的に理解できるので、音声変化を重点的に学びたい場合はとても分かりやすいと思います。

Elllo

ウェブサイトですが、リアルなカンバセーションを音声付きで学ぶことができます。

音源に合わせて、会話を最初から最後まで数回オーバーラッピングするだけでもかなり口が疲弊するはず。

とてもいい発音のトレーニングになります。

発音勉強の手順

個人的にオススメの勉強の手順は以下の5ステップです:

手順1:音源を視聴する
手順2:「Transcript」を見ながら再度リスニング音源を視聴する
手順3:リスニング音源に合わせてオーバーラッピング をする
手順4:オーバーラッピング を録音して音源と聴き比べる
手順5:「手順3」と「手順4」を1日最低3〜5回繰り返す

繰り返しになりますが、独学の発音勉強は録音が重要です。また、発音勉強は1日1時間が限度です。

発音はスポーツと同じで、1日に練習を詰め込みすぎても脳と筋肉が動きに追いつかないからです。

寝ている間に記憶が整理されて、余計な力を入れずに口の筋肉を動かすことが徐々にできるようになります。

もし独学で勉強することが難しい場合は、発音を分析できる人にフィードバックをお願いしましょう。

発音を習得できたら

個人差もありますが、上記の手順で勉強を1ヶ月ほど続ければ、ある程度の発音を身につけることができます。

一度発音が身についたら、次に優先的に学ぶのは語彙と文法です。語彙は英検2級程度、文法は大学受験の範囲は全てカバーできるようにしましょう。

そして最後は「英語で」学ぶですね。

自分のスキルにプラスになることを中心に、英語で情報を収集するようにしましょう。

例えば無料ソースの「Khan Academy」のプログラミングコースを受講してみたり。「Academic Earth」で有名大学の講義を試聴してみたり。YouTubeで自分の興味ある分野を英語でとことん調べてみたり。

英語に自然に触れる機会を日常生活に取り入れていくことで、英語を勉強している気分にならずに着実に英語を伸ばすことができます。

ということで、「英語勉強は何をしたらいいか?」についての個人的な回答でした。

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