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【Re:CREATORS】アニメ感想文:もっと人気が出てもいい

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Re:CREATORS(レクリエイターズ)は、アニメ、漫画、小説の登場人物が現実世界に、実体として顕現し始めるという、オタクにとっては夢のような設定のSFファンタジーである。

「創造主たちに、自分の世界の改変を頼め」とそそのかされて、操られる者、
創造主側に立って世界を守ろうとする者、
両者から離反し、悪事に手を染める者、
彼らを創造したクリエイターたちの苦悩とライバルへの嫉妬、秘密を抱えた少年、といった様々な要素が盛り沢山にバランス良く入っていて、たいへんに見応えのあるアニメだった。
なのに、なぜかあまり話題にはなっていない。

すべての登場人物に加えて、彼らが活躍していた、ロボットもの、魔法少女もの、ファンタジーRPG、ファンタジー騎士、SFアクション、オカルト探偵、18禁恋愛ゲーム、などのそれぞれの物語を創作し、一つの世界に組み入れるのはかなりの労力が必要だったはずだ。
それぞれの物語の創造主(クリエイター)たちもキャラが立っいて、『自分の創造したキャラクターが現実世界に顕現する』という事態に、面白がったり迷惑そうにしたり、全否定したりと、異なった反応を見せる。危機的状況に否応もなく巻き込まれ、互いにライバルとして反目し合い、折り合いをつける過程も描写されている。
こんな複雑で大容量の創作を行った制作側の熱量は相当のものだ。自分たち(クリエイター)のライフワークとして、仕事の枠を超えて創造に没頭したのだろうか。

唯一の弱点は、主人公の立ち位置にあると思われる、少年かもしれない。
主人公、と断定できないほど、ウジウジしている。
普通の少年で、行動力がない。
脅されてアワアワしているタイプ。
後半、成長を感じさせるようなエピソードはあるけれど、冷たい言い方をすれば「自分の不始末をかろうじてカバーした」だけで、最初から最後まで、好きになれないタイプだった。
実は彼は主人公ではなくて、第一話から顕現し、被創造物勢のリーダー的存在だったメテオラが真の主人公なのではないか、という説もある。
才能あふれるクリエイターたちと、チート能力を持つ被創造物勢に囲まれて、普通の少年がそこにいる理由を示すためには、もっと真摯で誠実でなければならなかったのだと思う。

私の周囲には、このアニメのことを知っている人がいない。
存在を認知されていない。
2017年のアニメなのに、私もテレビ放送時には全く知らなかった。
アマゾンプライムで観た時、主人公にイライラして1話目で切ろうかと思った。
そういう人が、多いのかも知れない。

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