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仏像をめぐるぐるりのこと

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2ヶ月に一度、大阪キタ・扇町の「扇町ミュージアムキューブ」内談話室カフェ「マチソワ」にて、仏像トーク「仏像をめぐるぐるりのこと」を開催しています。 マチソワ(大阪市北区南扇町6…
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#仏教

葛城・當麻寺の中将姫伝説とダンシング練り供養

當麻寺の本尊は「當麻曼荼羅」 奈良・葛城の當麻寺といえば、白鳳・天平様式の大伽藍を有する古刹で、金堂の弥勒仏や四天王、梵鐘などの白鳳美術を今に伝えるほか、古代の三重塔が東西一対で残る全国唯一のお寺さんとしても知られています。 元来、聖徳太子の弟である麻呂古王が創建した万法蔵院がはじまりで、白鳳時代に河内から當麻の地に移り、平安時代には密教文化が栄えました。 本尊として祀られているのは、仏像ではなく、「當麻曼荼羅」。 當麻寺はもともと弥勒仏のお寺さんとして創建されたのだけ

末法思想と阿弥陀浄土と平等院鳳凰堂

西方阿弥陀浄土を現出させた平等院鳳凰堂 今回は、宇治の平等院鳳凰堂を紹介します。10円玉に刻まれてるやつですね。 ちなみに、鳳凰堂に行くと10円玉に刻まれているものと同じアングルで撮影されている方がほとんどですが、左へまわって、阿字池から眺めると風情があっていいです。真正面はちょっと味気ない。 さて、この鳳凰堂は古い建物で、平安中期に建てられました。先ほどの浄瑠璃寺の九体阿弥陀堂と同時期に建てられた古い建物です。同時代に建てられた建築物で有名なのは、岩手県平泉町の中尊寺

清涼寺の釈迦如来像

如来・菩薩・明王・天 仏像入門の本の1ページ目には、たいていこんな図が載っています。 如来・菩薩・明王・天 と4つに分かれます。 如来と菩薩は仏教の世界観が生んだ、純粋に仏教ワールドの登場人物です。主要キャスト。 明王や天は、ヒンドゥー教や神道から取り込まれた神さんや人間のようなものたち。ヒトに近い存在の人たちです。 仏教の世界観から見れば、メインのカバーストーリーの外にいる、スピンオフ的な存在の人たちです。もちろん、ヒンドゥー教の世界観のなかではメインキャストの人です

仏像の最初

仏像以前 仏教の開祖である釈迦、つまりゴータマ・シッダルダさんは、元来、偶像崇拝を禁じていました。ヒトは目に見えるものに執着してしまう傾向がある。でも、執着=煩悩を捨てることが悟りへの近道だと説くのが仏教なので、仏像を捨てるところからはじまるのが、仏教とも言えるわけです。 とはいえ、ヒトにはシンボルが必要。 やはりカタチとして残さなければ仏教を継承するのは難しいと考えた釈迦の弟子たちが経典をつくり、その経典をビジュアル化した仏像が必要だと考えたわけです。 とはいえ、最初