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#427 おもしろい条文を条文を発見しました:保証契約の取消し-2

【 自己紹介 】

※いつも読んでくださっている方は【今日のトピック】まで読み飛ばしてください。

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このブログでは,2017年1月に弁護士に登録し,現在弁護士5年目を迎えている私古田が,弁護士業界で生き残っていくために必要不可欠な経験と実績を,より密度高く蓄積するため,日々の業務で学んだこと・勉強したこと・考えたこと・感じたこと,を毎日文章化して振り返って(復習して)います。

僕の経験と実績を最も届けなければいけないお相手は,このブログを読んで,僕のお客さんとなってくださるかもしれない方々,つまり,法律のプロではない皆さんだと思っています。そのため,日々の業務・経験がこのブログのトピックになっているとはいえ,法律のプロではない方々にわかりやすく伝わるよう,心がけています。

後戻りの必要なく,スラスラと読み進められるようにも心がけていますので,肩の力を抜いて,気軽な気持ちでご覧くださるとと大変嬉しいです。

【 今日のトピック:保証契約の取消し 】

今日も昨日に引き続き,保証人の話です。

昨日は,「保証人」というシステムについてざっと説明しました。

「保証人」とは,自分でお金を借りていないのに,返済の負担だけ負ってしまう立場にある,ということでした。

お金を借りると,ふつうは,受け取ったお金を自由に使えますが,保証人は,お金を受け取ってもいないのに,返済の負担だけ背負わされちゃう。

それが,「保証人」です。

「保証人」というシステムは,お金を貸す方と借りる方にとってメリットがあり,そのメリットは,↑に書いたような保証人が背負わされる負担によって成り立っていることも書きました。

お金を貸す方は,返済を要求できる相手が,借主の他にもう1人作り出せるわけですから,こんなありがたいことはありません。

借主としても,保証人をつけなければお金を借りることができなかったのに,保証人をつけた途端に,お金を借りることができるようになります。

借主にとっても,めちゃくちゃありがたいです。

一応言っておきますが,最初から保証人に返済をなすりつけようとしている借主は,あまりいないと思います。

中にはいらっしゃるでしょうが,借主としても,お金を受け取ってもいない保証人が,返済の負担だけ背負わされるのは,そりゃあ罪悪感があるに決まっています。

そんな,自分が悪者になるような結論は,借主としてもまっぴらごめんなはずです。」

だから,借主としても,保証人に返済させないよう,一生懸命返済を続けるはずです。

それでもやっぱり,世の中何が起きるかわかりません。どれだけ一生懸命やっても失敗することはあります。

「失敗」は,「成功」と表裏一体なので,成功者が存在する限り,必ず失敗する人がいます。

だから,失敗を受け入れることが,この豊かな社会を維持するために不可欠です。

ちょっと脱線しました(笑)。結局,借主本人としても,保証人が返済しなくてもいいよう,一生懸命頑張るけれど,それでも保証人が返済を余儀なくされることもある,ということです。

さて今日は,そのように,「借主が一生懸命頑張ったけれども失敗して,保証人が返済を余儀なくされた」という場面を考えてみましょう。

お金を借りると,毎月少しずつ返済していく場合が多いです。

例えば,1000万円を銀行から借りたとしても,それを一度に全部返済するわけではなく,毎月数万円ずつ返済していく。

そういう場合が多い。

ただ,返済が滞ると,「期限の利益喪失」といって,残債を一括で返済する(利息と遅延損害金含む)という契約になっている場合がほとんどです。

つまり,保証人が返済を求められる場面って,借主本人が滞納している場面=期限の利益が喪失している=残債を一括で返済する,ということになっているケースが多いのです。

「残債を一括」しかも,利息も遅延損害金も含むなんて,かなりの金額になります。

ちなみに,「遅延損害金」とは,返済期限までに返済しなかったことによって,貸主(銀行)に発生した損害のことです。

「遅延利息」とか「遅損金」とか「延滞金」とか「延滞利息」とか呼ばれていますが,特に契約書に利率が書いていなければ,「法定利率=年利3%」です。

つまり,この日本では,お金の返済を滞納すると,貸主に,年利3%で損害が発生すると考えられているわけです。

契約書に,年利3%以外の利率が書いてあれば,それに従います。年利3%よりも高額の利率が書いてあることも,それなりにあります。

この「遅延損害金」と「利息」は別モノです。

利息は,滞納しようがしまいが発生します。お金を「貸す」ということは,返済期限まで,そのお金が貸主の手元から離れてしまうことを意味します。その「手元から離れてしまった期間」,貸主に利益を発生させるのが「利息」です。

例えば,利息が年利5%で100万円を,返済期限を1年後としてお金を貸したとしましょう。この場合,お金を借りた借主は,1年後の返済期限までに,105万円を返済しなければなりません。

そして,返済期限を経過しても返済できなかった=滞納した場合の「遅延損害金(遅延利息,延滞利息,延滞金)」が,年利15%だったとしましょう。この場合,返済期限から1年後(貸付けからは2年後)に返済するとすれば,元本100万円に加えて,利息5万円,そして遅延損害金(遅延利息,延滞利息,延滞金)15万円,合計120万円を返済しなければ,完済とはなりません。

「利息」と「遅延損害金」の違いについて理解が難しいと思いますので,少し説明してみました。

「遅延損害金」を,あえて,「遅延利息」とか「延滞利息」とか「延滞金」などのワードに置き換えて,わかりにくくしていますよね。

それと,もう少し脱線+豆知識なんですが,返済にも費用がかかりますよね。いちばんに思いつくのは,振込で返済する場合の振込手数料です。あとは,現金で支払うなら,現金を約束の場所へ持っていく交通費とか。

そういった,「返済に必要となる費用」は,借主(返済する側)の負担です。だから,振込手数料も,返済する側(振り込む側)が負担しなきゃいけません。それが,民法の原則です。振込手数料を差し引くことは,相手が差し引くことを承諾してくれない限り,ダメです。

さて,また脱線が過ぎましたね。保証人の話に戻ります。

保証人が返済を求められる場合は,期限の利益を喪失し,元本・利息・遅延損害金(遅延利息,延滞利息,延滞金)全部の返済を要求されてしまうケースがほとんどです。

少額ではありますが,振込手数料など,返済に必要な費用も保証人の負担です。

だから,保証人は,一括で,元本・利息・遅延損害金・振込手数料,この4つ全部を払わなきゃいけなくなってしまいます。

こうなると,保証人は,本当に大変です。

全額払うだけの余裕が保証人にあればいいのですが,そうじゃない場合はどうすればいいのでしょうか。

仮に,保証人が↑の4つを,一括で返済できたとしましょう。そうすれば,保証人は,本来返済しなきゃいけない借主本人に,肩代わりしてあげた返済額を,まるまる請求することができます。

「求償」と呼ばれるやつです。肩代わり返済をしてあげた保証人が,借主本人に「求償」するのです。

「肩代わり」を精算しろ!ということですね。

ただ,滞納しているような借主本人に,保証人の「求償」に応じるだけの資金があるとは思えません(笑)。

借主本人は破産してしまって,「求償」もチャラにされてしまうのがオチでしょう。

さて,ここまでは,保証人におカネがあるケースです。

お金があれば,保証人が返済を肩代わりしてあげて,後で借主本人に「求償」する,ということになります。

その「求償」が,借主本人の破産などでうまくいかない場合もありますが,それは,「保証人」となった=保証契約に署名捺印した自分が背負うしかありません。

(ただ,「保証契約」が,借金の契約書と同じ書面になっていて,なおかつ,借主本人が保証人を代理して結ぶことも認められているので,保証人の「自己責任」を強調しすぎるのは実態に目を向けることができていない机上の空論だとは思います。ただ,保証人の「自己責任」がまかり通ってしまうシステムになっていることから目を背けるべきでもありません)

じゃあ,保証人におカネがなくて,一括で返済できない場合,保証人はどうすればいいのでしょうか。

その場合,保証人は破産するしかありません。

破産「するしかない」というか,破産「したほうがいい」と僕は思っています。

確かに,保証契約を見る限り,保証人は一括で返済するしかないのですが,ただ,貸主(銀行)などが,分割での支払いに応じてくれるケースも結構あります。

貸主としても,保証人に破産されちゃうと,取り分が減ってしまうからです。

「一括で返済だ!」と,契約書を振りかざして頭でっかちに正論を通すと,「破産」という「正論」を振りかざし返されると大負けしてしまいます。

だったら,頭でっかちにならず,現実を見て,少しでも取り分を増やそうとする。

そういった貸主もいるでしょう。

だからこそ,僕は,破産「したほうがいい」と思っています。

破産すれば,借金が「チャラ」になるので,分割返済とは違って,月々の返済に追われることもなくなります。

破産って,借金からの「逃げ道」として,これ以上ない有効な手段なのです。

「破産して貧乏になった」というエピソードが,テレビでたびたび出てきますが,逆です。

破産せずにズルズル返済していたからこそ,「貧乏」になってしまったのです。

破産すると,毎月の返済からは解放されます。そうすると,収入をまるまる生活費にあてることができるようになります。

そうなれば,そこまで貧乏な生活を送ることはないはずです。

「破産して貧乏になった」と言えば,自分の貧乏を「破産」というシステムのせいにできますが,実はそうじゃありません。

「貧乏」になってしまったのは,「破産」についての正しい知識がなく,そのせいで,毎月の返済を続けてしまっていたからです。

「貧乏」が,自分の「無知」や「無理解」によって引き起こされている,という現実は誰も見たくありません。

それよりも,「破産」にネガティブキャンペーンを植え付けておいて,その「破産」のせいで「貧乏になった」と考えたほうが,自分のメンタルが傷つかずに済みます。

こう考えると,今後も「破産」へのネガティブキャンペーンは続いていく気がします。

貧乏の原因を,「破産を知らなかった自分」に求めるよりも,「破産」という制度(というかワード)に求めたほうが,わかりやすいし,かわいい自分を守れるからです。

結局脱線したまま終わりそうですが,こう考えると,「破産」へのネガティブイメージは,今後もしばらく続きそうです。

その原因を,今日少しだけ解明できた感じがして,嬉しいです(笑)。

保証契約の取消しについては,明日に持ち越します!

それではまた明日!・・・↓

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