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過払金を弁護士の僕ならどうするか-3(過払金の歴史)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:過払金 】

今日も引き続き、過払金について書いていきます。

一昨日から昨日にかけて、今回の僕の設定についてお話しました。

・1956年生まれの65歳

・父親の死に目に会うために実家へ急遽帰省した1980年に帰省費用を工面するために初めて10万円借金した

・その後も借金を繰り返していたがボーナスのたびに一括返済していた

・持ち家を購入したことはなく、住宅ローンを借りたことない

・今年東京都職員を定年退職して退職金をもらい、その退職金で残った借金を一括返済した

うーん、我ながらかなりムリがあると思います(笑)。

借金するきっかけについては、人それぞれいろいろあるので、これはこれでいいと思います。

僕も実際に、帰省費用が足りなくて初めて借金に手を出した破産の案件に携わったことがあります。初めて借金するきっかけは、本当に千差万別です。

(千差万別なのがおもしろいんです、この仕事は。千差万別を千差万別のまま受け止めず、カテゴリーに分けたほうがわかりやすいのかもしれませんが、僕はあんまりカテゴライズが好きじゃありません。せっかく、かけがえのない、世界中でたったひとりの人生の問題に携われるのに、それを「カテゴリー」に分けて、さも「前にやったあれと同じだな」なんてクソみたいな考えに基づいて仕事を進めたくはありません。「カテゴリーに分ける」という作業は、決めつけにもつながりかねません。自分勝手にカテゴライズして、無意識に「決めつけて」しまうと、足元をすくわれます。とにかく、たったひとりの目の前のお客さんに向き合う。それがあるべき弁護士の姿ですし、僕としては、こういった考えの方が楽しくておもしろく仕事ができます。)

さて、だいぶ脱線しましたが話を戻します。

借金したのはいいとして、それから先、借金を繰り返しながらも、きちんと一括返済を続けている人って、結構珍しいと思います。

しかも、1956年生まれで、サラ金から借金はしながらも住宅ローンは組まずに賃貸で暮らし続けているって、うーん、どれくらいの人がいるんでしょうか。

しかも、借金は、退職する今の今まで続けていて、退職金で一括返済しています。

この「一括返済」というのが、借金体質の人には難しいです。

だって、別に一括返済しなくてもいいんです。サラ金は、1万円なり2万円なり、毎月一定額しか請求してきません。請求された額だけ払ってしまえば、残ったお金は自由に使えるんです。

にもかかわらず、わざわざ一括返済してしまうと、自由に使える目の前のお金が減ってしまいます。この「自由に使える目の前のお金を減らす」というのが、借金体質の人には難しいのです、一般的には。

だから、借り入れと一括返済を繰り返す人は結構珍しいとは思いますが、過去にいちど、こういった「ボーナスのたびに一括返済する借金体質の人」に出会ったことがあります。

この人は、借金に対するハードルがものすごく低かったです。ボーナスをあてにして、借金を繰り返していました。

というのも、毎月の生活費が、給料だけでは足りていなかったのです。本来、毎月の生活費は給料の範囲内で工面しなきゃいけないんですが、この人は、足りない生活費をサラ金からの借金で補っていました。

こんなことしていると、支払う利息の分だけ損してしまうので、全く合理的じゃありません。僕ならぜったいにしません。毎月の給料で生活費が足りないのであれば、借金するのではなく、生活費を下げます。

(でも、生活水準って、いちど上げたら下がらないんですよね。だから、この人も生活水準を下げられなかったんだと思います。だから、僕としては、いったん上がった生活水準を下げるのはめちゃくちゃ難しいことを踏まえて、生活水準を上げずに生きるのがとにかく大切だと考えています。)

ただ、この人は、借金はするけれども、借金は利息がつくことは理解していて、ボーナスのたびに律儀に一括返済していました。

一括返済せずに毎月一定額だけ返済していると、借金が膨れ上がることは理解していたんです。

そうであれば、借金せずに生活できるようやりくりすればいいのにと思うんですが、それは難しいので、できなかったんだと思います。

一括返済してしまうと、それでボーナスは消えてなくなってしまいます。そして、ボーナスの翌月の生活費は、給料だけでは足りないので、借金で補充するほかありません。

こうやって、借金と一括返済を繰り返すという、不思議な生活を続けていた人がいました。

普通だと、どこかでほころびが出て、破産に至るはずなんですが、この人は、ボーナスがきっちり支払われたいたので、破産せずに何十年も暮らしていました。

今の時代に、過払金が請求できるのは、こういったレアケースだけだと僕は思います。

かつて、過払金は一大ブームを巻き起こしました。

そのブームは平成18年(2006年)に発生しました。

2006年1月13日、最高裁が、「みなし弁済」を認めていた法律を骨抜きにする判断を下したのです。

そもそも、利息制限法の上限利率を超えた利息を取り立てた場合、上限利率を超えて返済した分は元本に充当され、元本に充当しても余りが出る場合は、その余りは返してもらうことができます。

ざっくり言えば、「返済しすぎたら返金してもらえる」という当たり前の話なんですが、このことは、1968年に既に最高裁で認められていました。

「元本に充当しても余りが出る」場合の「余り」こそ、「過払金」です。

利息制限法に基づけば、既に元本すら完済しているのに、それでもなお返済を続けてしまっているわけですから、元本を完済した後に返済を続けたぶんは返金してもらうことができます。

最高裁は、1968年の時点で、既に、こういった「当たり前の話」を認めていました。

めちゃくちゃ中途半端ですが、今日はこの辺にします。

2006年に「みなし弁済」を骨抜きにした最高裁が出たことと、今回の設定でかなり無理がある設定を持ち出したことは明日のブログでつながります(あくまで予定ですが)。

それではまた明日!・・・↓

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