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エンドレス連帯保証人

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:賃貸物件の連帯保証人 】

昨日はだいぶ脱線しましたが、やっと今日はメインディッシュについて書きます。

タイトルのとおり、連帯保証人がエンドレスで続くという話です。

賃貸物件を借りる場合、連帯保証人を要求されますが、それは結局、連帯保証人をたてるからこそ、大家さんの不安が解消され、賃貸物件を借りやすくなる、というお話でした。

とはいえ、連帯保証人とは、「連帯保証契約を結んだ人」です。そうすると、賃貸物件を借りる契約=賃貸借契約と、連帯保証になる契約=連帯保証契約は、別の契約です。

別の契約とはいえ、連帯保証契約というのは、それだけでは成立しません。

必ず、連帯保証契約とは別の契約が存在します。なぜなら、連帯保証契約というのは、「主債務者に代わって支払いますよ」という約束だからです。

「代わりに支払いますよ」というのが、連帯保証契約の本質ですから、「本来支払うべき人物」が必ず存在します。その人を「主債務者」と呼びます。

賃貸借契約の連帯保証人でいえば、主債務者は、物件を借りている本人です。

物件を借りている本人は、賃貸借契約に基づいて、家賃債務を負担します。

「家賃債務を負担します」というのは、「約束した金額の家賃を支払う義務を負う」という意味です。

この家賃債務のほかに、賃貸借契約では、原状回復費用債務も発生します。

普通に住むだけでは生じないキズ(ドアノブが外れていたり、壁に穴が開いていたりなど)があれば、その修繕費用を支払う必要があって、その修繕費用を「原状回復費用」と呼んでいます。

こんな感じで、賃貸借契約からいろんな債務が生じるんですが、そういった債務があるからこそ、連帯保証契約が意味を持つんです。

何かしらの債務を生み出す契約があって、その債務を「代わりに支払う」という契約が連帯保証契約で、連帯保証契約を結んだ人を、「連帯保証人」と呼んでいるのです。

だから、賃貸借契約と連帯保証契約は、切っても切れない関係なんですが、とはいえ、別契約は別契約です。

ただ、賃貸借契約には、借地借家法という法律が適用されます。

「借地借家法が適用される」という意味は、いろいろあるんですが、ここで着目したいのは、「賃貸借契約を解約できるのは借主だけ」というところです。

賃貸借契約って、たいていは、契約書に契約期間が書かれていて、その期間は2年が多いです。

素人目に見ると、契約期間の2年が終了すれば、契約が終了する=更新されない限り引っ越さなきゃいけなくなる

という感じに思えますよね。でも、それは違います。

結論から言えば、法的には、契約期間は2年間じゃありません。

ざっくり言えば、「借主(住民)が住みたい期間だけ住める」です。

住民が2年以上住みたいなら住めますし、2年間の途中で引っ越したいのなら引っ越してもいいです。もちろん、引っ越した後は家賃を支払う必要はありません。

なんか当たり前な感じもしますが、「契約期間」という用語にこだわると、大家さんは、2年間は貸し続けなきゃいけないけれども、2年経過したらそれ以上は貸さなくてもいいし、住民も、2年間は借り続けなきゃいけなくって、かつ、2年以上借り続けられるかどうかは大家さん次第、という感じもします。

でも、違うんです。

定期借家法は、大家さん側からの解約又は更新の拒絶を極端に制限しています。

つまり、大家さんは、いちど貸したら最後、その物件は返ってこないと思ったほうがいいんです。

もちろん、借主の都合で引っ越してくれれば返ってきますが、大家さんの都合で賃貸借契約は(ほぼ)解約できないので、住民が引っ越そうと思ってくれない限り、その物件は返ってこないとを覚悟するのが、「賃貸借契約」です。

これ、借主にとっては本当に大きなメリットです。自分が引っ越そうと思わない限り住み続けられるわけですからね。

借主が引っ越そうと思わない限り、賃貸借契約はずっと続くんです、借地借家法が適用される結果として。

じゃあ、連帯保証契約はどうなるんですかね。

借地借家法が適用されるのは、あくまで、賃貸借契約であって、連帯保証契約ではありません。

賃貸借契約が、いわば「エンドレスで」続くのはいいんですが、その間、連帯保証契約も同じようにエンドレスで続くのでしょうか。

実は、エンドレスで続いちゃうんです。

賃貸借契約が、借地借家法に基づいて、エンドレスで続く限り、連帯保証契約もエンドレスで続いてしまいます。

そういう法律あるわけではなく、最高裁の判決でそう示されています。

それはつまり、住民が引っ越そうと思って賃貸借契約を解約するまで、いつまでも連帯保証人でいなきゃいけません。

だから、賃貸借契約が解約されるまで(住民が引っ越すまで)、ずっと支払いを覚悟し続けなきゃいけない状態が続きます。

はあ、悲しいです・・・・・。

エンドレス連帯保証人です。仕方ありません。最高裁がそう言っているので。

(まあ、厳密に言えば、最高裁の事案は自動更新ではなく合意更新なんですが、まあ、同じように考えていいです)

賃貸物件の連帯保証人になるということは、「いつ引っ越すかわからないけど、そのいつかわからない引っ越しまでずっと、滞納家賃や原状回復費用の支払いを覚悟しておきます」ということを意味するんです。

これを踏まえると、賃貸物件の連帯保証人なんてなりたくないですよね。

そうなんです。誰も、賃貸物件の連帯保証人になんてなりたくないんです。法的知識を仕入れると、「連帯保証人になったらダメ」という結論が導かれるんです。

だから、保証会社を利用したほうがいいんです。保証料をケチるべきではありません。連帯保証人という不利益を、誰かに押し付けちゃダメ!

もちろん、家賃をきちんと支払っている限り、連帯保証人に迷惑をかけることはありませんが、将来のことはわかりません。一寸先は闇です。

誰かに連帯保証人を押し付けたら、その人との関係がぶち壊れるリスクをずっと抱え続けることになります。

何かしらの人間関係があるからこそ連帯保証人になってくれたはずで、にもかかわらず、連帯保証人になってもらうと、その大切な人間関係をぶち壊すリスクを抱えることになるんです。

そんなリスク、保証料で買い取っちゃいましょう。それが合理的です。保証料で人間関係崩壊リスクを買えるなら安いもんです。

賃貸物件の連帯保証人には、ならなくていいし、誰かに押し付ける必要もありません。保証会社使えばいいんで。

賃貸物件の連帯保証人については、これで終わろうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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