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採用を成功に導くKPI設定とは?基本から実戦まで徹底解説 〜すぐに使えるKPIテンプレート付き!〜

従来は、営業やマーケティングの世界でよく用いられるKPI・KGIという用語も、昨今人材採用の世界でも、活動指標としてKPI・KGIを設定することは珍しくありません。採用を成功に導いてる企業の採用担当者なら当然やっているのが、KPI設定。とはいえ、「採用活動にKPIを導入したいけど、何から始めたらいいのか分からない」「一応KPI導入はしているけど、この内容でいいのか自信がない」という方も多いのではないでしょうか。

こちらの記事では、採用活動にKPIを取り入れるために必要な基礎知識から、具体的なKPIの設定方法と、運用時のポイントまで体系的に解説しています。

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はじめてKPIを設定する方は勿論、自社のKPI管理を見直したい方にも参考になる各採用プロセスの課題と具体的施策シートもついています。 採用KPIの設定や採用活動のモニタリングにぜひご活用ください。


1. 採用KPIとは何か?

そもそもKPIとKGIとは

KPI(Key Performance Indicator)とKGI(Key Goal Indicator)は、ビジネスやプロジェクト管理において目標設定とパフォーマンス評価のために使用される重要な指標です。

KPI(Key Performance Indicator)とは
特定の目標を達成するために必要とされるプロセスに使われるパフォーマンス測定の指標です。重要業績評価指標、主要業績評価指標または主要パフォーマンス指標などと言われることもあります。これらの指標は、組織やプロジェクトの進捗状況を定量的に評価するために使用されます。例えば、営業活動の場合、顧客訪問数や新規顧客の獲得数などがKPIにあたります。

KGI(Key Goal Indicator)とは
組織の最終目標や成果を測定するための指標です。重要目標達成指標とも言われます。長期的な目標の達成状況を評価し、組織全体の成功度を測定することを目的としています。これらの指標は、組織のミッションやビジョンを達成するための成果を評価するために使用されます。例えば、営業活動の場合であれば、売上目標額や利益の目標額がKGIにあたります。

KPIとKGIの関係
最終目標であるKGI達成の過程における中間目標がKPIです。「KGIを達成するために、いつまでに、なにを、どの程度、実施しておく必要があるか」をKPIとして設定していきます。

なぜ、採用活動でもKPI・KGIが重要なのか

採用活動は、ポジションによっては採用決定までに数ヶ月かかることも珍しくなく、またスキルや経験、コミュニケーション、価値観など募集要項も、そこに集まる候補者も様々なタイプが存在しています。また採用のプロセス一つをとっても、面接官や部門長など複数のステークホルダーが関わっていくプロジェクトが「採用活動」です。そんな様々な要素を含む採用プロセスを、より効率的に、最大の結果を得るためには、最終的な目標をしっかりと定めた上で、KPIによって目標達成までのプロセスと状況が可視化されるとは、より効果的な行動を具体的に落とし込んでいくことに繋がりやすいという利点があります。さらに、属人的になりがちな採用手法が妥当かどうかの判断材料ともなり、改善箇所の早期把握と改善実行が可能です。また、採用KPIを設定することで採用に関わるすべてのメンバー間で目標や課題の共有ができるため、目標達成に向けてのチームワーク強化も期待できます。

採用活動におけるKPI、KGIとの違い

前述の通り、最終目標であるKGI達成の過程における中間目標がKPIです。つまり、KPIは採用プロセスの進行状況を測定して改善点を見つけ出すための指標であり、KGIは最終的な目標達成を評価するための指標といえるでしょう。採用にあてはめて考えると、「人材を採用する(入社)」という最終目標を達成するための中間指標ですから、面接数や書類合格数、応募数などが代表的な採用KPIになります。採用KGIとは一般的に「いつまでに・どのような人を・何名採用するか」という採用目標を指します。

よくある採用KPI・KGI

では、採用活動におけるKPIとKGIには、指標としてどのような数値が一般的に使われているのでしょうか。多くの場合、採用活動におけるKGIは採用人数であり、KPIはKGIで設定した指標から逆算された各工程の数値が設定されています。 下の表に一般的な例をまとめているので、参考にしてみてください。

採用活動におけるKPIを設定する目的

それぞれの企業が持つ課題により、採用するKPIはそれぞれではあるが、そもそも採用活動においてKPI設定する目的としては主に以下の2つが考えられる。ここでは、改めてKPI設定する目的を今一度明確にし、具体的なKPI設定に進むことをお勧めします。

  1. 目標達成までのプロセスが可視化される

  2. 改善箇所が把握しやすくなり PDCAを回しやすくなる

採用KPIを立てる3つのメリット

メリット1_採用活動の進捗状況を可視化できる
採用活動はそこに関わる人も多く、またポジション毎に状況も異なり、また日々候補者の状況も変わるため、客観的な状況把握が難しいプロジェクトと言えます。そのため、この採用進捗状況を可視化できるということは、大きなメリットとなります。採用活動は多くのプロセスから構成されており、それぞれの工程で何が起こっているのか、どのくらい目標を達成しているのかを日々把握することは、次にどんな手を打てばいいのか採用戦略を立てる上で非常に重要です。

例えば、あるポジションで採用がうまくいかないという悩みがあったとしても、プロセスの可視化ができていないと、求人情報に修正を加えるべきなのか、エージェントや募集チャネルを変えるべきなのか、面接官の話し方を変えるべきなのか、そもそも希望する人材はマーケットに存在しないのか、どこをどう改善するのか全く検討がつきません。しかし、採用プロセスの各段階でのパフォーマンスを数値化していると、どの部分から手をつければいいのかが自ずとわかってきます。こんな風に、企業は採用活動の進捗状況を一目で把握でき、改善点を特定しやすくなるのです。また、KPIを用いて採用活動の達成度合いを可視化することで、採用戦略を見直し、次回以降の採用活動を改善することも可能です。そうして具体的なKPIに基づいて採用戦略を立てることにより、採用活動をより効果的に展開できるというわけです。

メリット(2)採用計画や活動の精度が向上する
採用KPIを細かく設定すれば、採用活動の精度が向上し、結果的に欲しい人を最短で最小限のコストで採用するというメリットにつながります。KPIは、基本的にはそれぞれのポジションにつき、採用プロセスごとのパフォーマンスを数値化するため、現在どのプロセスがボトルネックになっているのかが客観的に見ることができます。
例えば、他のポジションに比べて、書類選考通過率が低いとわかれば、マーケットにはいない人材を求めていないかということを疑い、「募集要項の修正する」「選考基準を見直す」という改善案につながるかもしれません。他にも、企業内である職種の内定率がいいということがわかれば、その面接官がどんなことをしているのかや、他のポジションにその成功事例を転用させることもできます。もしくは内定率が高い競合他社の情報を収集することで、内定後のフォローを充実させるなど、新しいアプローチにつながることもあります。
このように、KPIを設定すると曖昧だった指標が明確になり、どこにどのような問題があったのか把握しやすくなります。それらの問題を把握し、評価と改善を何度も繰り返すことによって、それぞれの施策の精度を高めるだけでなく、採用計画自体の改善にもつながっていきます。

メリット(3)採用担当者や関係者の役割が明確になる
採用活動は採用担当者だけの仕事ではなく、面接担当者や外部の協力会社など、さまざまな関係者が存在し、それぞれの役割を担っていることがほとんどです。KPIを設けていれば、各プロセスを担当する人の役割や責任の範囲がより明確になり、KPIの達成に向けて主体的に動いてもらいやすくなります。また、KPIを設定していると、採用活動の成果を公平に評価できるようになります。具体的な数値の変化などを基に、採用担当者の努力が正当に評価され、モチベーションの向上にも繋げやすくなるでしょう。

採用KPI設定時のポイント

KPIより先にKGIを決める
前述した通り、KGIは企業が採用活動で達成したい最終目標を示す指標であり、KGIの達成度合いを測定するための指標がKPIです。KGIを先に設定することで、企業は採用活動の最終的な目標を明確にし、それに向けた戦略を立てやすくなるでしょう。その後KPIを設定することによって、一貫した採用戦略を策定できるようになります

目標から逆算して、KPIを設定する
KGIが決まったら、選考プロセスを一つずつ遡って各プロセスの目標となる中間指標=KPIを設定していきます。その工程の合格率や、辞退率を考慮し、一つ前の工程も目標値を算出します。
例えば、「KGIを採用目標5名」と設定した場合、合格率・辞退率を考慮すると「5名以上の入社を目指すのであれば、内定数は10名は必要となる」といったように思考を進めます。こんな風に順に、ゴールからの逆算して、それぞれのプロセスの目標を具体的に設定していきます。

【採用KPIに欠かせない「歩留まり率」ってなに?】
採用KPIを考える際に一般的に使われているのが「歩留まり率」を使った考え方です。歩留まり率は採用プロセスごとの成功率を示す指標であり、採用活動の効率性を評価するために必要不可欠です。自社の「歩留まり率」を今まで調べたことがないという方は、以下の図を参考に、自社採用の歩留まり率について棚卸しをしてみることをお勧めします。

2. 採用KPIの立て方と設定方法

計画性のない採用活動を続けていては、いつまでも目標を達成できない可能性があります。たまたまいい人材に出会えたとしても、再現性のない成功は次に繋がりません。そもそも採用活動とは、母集団の中で応募者同士を比較し、適性や能力、経験を相対評価で選ぶものです。質の高い応募者が必要なだけ集まらないと、採用活動はうまくいかないので、採用活動が成功するかどうかは、母集団形成を始める前の計画の立て方に大きく左右されます。ここからは、採用計画で重要な役割を果たすKPIの立て方について解説します。

(1)採用活動におけるKGIを設定する

はじめにKGI、つまり採用活動における最終目標を設定します。採用KGIは「採用人数」が重視されがちですが、採用にかかる「期間」や「予算」も考慮しておくことが重要です。例えば、今まさに人材不足で逼迫している困っているという現場に、1年後優秀な人材を採用できたとしても意味はありません。

実際多くの採用現場では、「採用人数」に主軸を置くケースが多いですが、人材の質に比重をかけた「採用の質」という視点でKGIを設定するということが重要となる場合もあります。例えば、中途採用などでスキルや経験重視の欠員の補充やプロジェクトの進捗に関わる人員を求めている場合は、短期間に多くの候補者に会うということよりも、高い経験値やマネジメントやコミュニケーション能力といった「採用の質」を重視することがポイントとなります。

(2)採用目標人数と選考フローを明確化する

前述の通り、採用KPIの設定では、基本的に目標から逆算するアプローチを用います。最終目標であるKGIが明確になれば、目標に到達するために通過する「応募」「書類選考」「面接」「内定」などの各選考フェーズにおいて、それぞれどれくらいの人数が必要かを逆算します。採用と一言で言っても、そのポジションレベルや職種によって、採用チャネルが違ったり、採用フロー自体も異なるケースは珍しくありません。目標人数や採用フローを事前に明確化することで、より解像度の高いプランを作成することが可能です。

【採用チャネルごとに予算や採用目標人数を設定】
採用プランは、詳細にイメージすることで、目標達成のための行動もより明確に設定され、結果的に、目標達成率も上がります。例えば、KGIを「10人採用=内定承諾」とした場合、チャネル1「求人媒体」のウェイトを10%と設定すれば、求人媒体での「内定承諾者数=1人」がKPIとなります。そして求人媒体で内定承諾者を一人出すための行動の一つ一つが決まってくるのです。反対に、「10人採用」というKGIが設定されていたとしても、どのチャネルで何人採用するかが決まっていなければ、結果につながる行動も不明確となり、目標達成につながりづらくなるのです。

(3)選考フローに目標となる歩留まり率を当てはめる

その後、選考フローに歩留まり率を当てはめます。 前年度の採用実績から歩留まり率が算出できる場合は、その数値を当てはめましょう。この時、前年の歩留まりをあてはめたときに、他の工程より歩留まり率が低い工程があれば、そこに改善の余地があるということになります。目標の歩留まり率を何%に設定するのか、またそのためにどんなアクションを改善していくのかを具体的に決め実行していくことで、PDCAを回すことが可能になります。

今までKPIを設定していなかった企業など、過去の実績を記録していないケースもよくあると思います。その場合は、初めは感覚的な数値でスタートしてみるのでもいいですし、競合他社の歩留まり率を参考にするという方法もあります。初めて採用をする場合など、歩留まり率の目安がわからない時は、採用専門のアウトソーシング会社やコンサルティング企業などに相談しても良いでしょう。

(4)選考フロー・採用チャネルごとにKPIを設定する

KPIは、採用目標を達成するため、進捗状況の可視化し、行動改善をしていくための指標です。各職種によって選考フローが異なる場合や、採用チャネルを複数持っている場合は、採用フローやチャネルごとにKP Iを設定することで、より細かな分析が可能になり、効果的な行動改善につながります。どの採用チャネルを使うかによって、応募者のスキルは勿論、プロセスやマッチング度が異なります。それ故、それぞれに対する打ち手も異なります。 例えば、リファラル採用では、候補者全体の母数は少なくはありますが、マッチング度が高い傾向があります。そのため、リファラル採用における書類選考通過率は80〜100%と高めに設定してもよいでしょう。チャネルごとに予算や採用目標人数を設定し、それぞれ選考フローを明確にすることを心がけましょう。
しかしながら、あまりに細かすぎるKPI設定は、その数値管理にリソースを使いすぎて、肝心な分析をおろそかにしてしまうケースも実際にはよくみられるのも事実です。自社のリソースを鑑みて、KPI分析やのKPI設定の粒度を決めることも重要です。

*採用チャネル:求人サイト、合同説明会、人材紹介、自社HP、スカウト、リファーラルなど、求職者を獲得するための経路を指す用語

(5)SMARTの法則でKPIを検証する

KPIを設定できたら、「SMARTの法則」で検証します。SMARTの法則とは、目標設定において効果的・現実的な目標を立てるためのフレームワークで、以下の5つの頭文字を取った略語となっています。KPIは設定することが目的ではありません。目標を達成するために、効果的なKPI設定ができているかどうかを、このフレームに当てはめて確認してください。

3. 採用KPI設定時のポイント

ポイント1_定義づけ

採用KPIの設定には、KPIの明確な定義と共有が欠かせません。KPIがどのように計測され、どのデータを使用するのか、関係するメンバーと共有しましょう。
KPIで用いられる「応募人数」「選考通過人数/率」「内定者数/率」「内定辞退数/率」それぞれについての定義をしっかり決めておく必要があります。いつからいつまでの範囲で、どのポジションで、いつ時点のデータを取るのかといったことが、複数名の関係者が数値管理をする際にずれてしまうことがあります。採用KPI導入時には、少しでも疑問に思うことがあれば、都度定義づけをしっかり定めて、チーム内で共有することが重要です。
また、「カジュアル面談」や「最終面接」などの位置付けやそこでの確認事項については、企業によって異なります。自社にとって、どういった意味を持つのかをしっかり定義するようにしましょう。

ポイント2_現在の状況の記録

KPIや目標設定をする際に、現場の数値を把握することは、戦略的採用を進める上でとても重要です。しかし、リソースが足りなかったり、経験者がいなかったことで、今までは細かい記録をとっておらず、現状を数値化することが難しいというケースは少ないでしょう。そんな際にも、わかる範囲で現状を把握しておくことは重要です。大体これぐらいの応募人数がいて、この期間に何人採用できていたなという数字でもいいので、スタート地点としてわかる範囲で現状把握をしましょう。 徐々に採用KPIの数値の精度を高めていくことで、独自の戦略につなげていくことができます。

ポイント3_KPI目標は職種・媒体毎に設定

現状分析をもとに、設定したKPI毎に目標設定をします。この際、「⚪︎ヶ月で⚪︎人」というだけでなく、職種毎に、また媒体毎に目標設定を行います。これは、職種が違えば、母集団形成方法や採用プロセスのしたてが異なるからです。先述の通り、人材紹介エージェントに依頼・募集媒体・リファーラルなどなど採用手法によっては目標数値や歩留り率も大きく異なります。初めてKPIを設定するので、妥当な目標値がわからないという場合には、人材紹介のエージェントに確認してみるのも良いでしょう。

ポイント4_歩留の分析

歩留の分析とは、特定の段階での候補者の減少や進行状況を評価し、採用活動の効率性や効果を測ることです。具体的には、各段階の歩留まり率を分析することで、どの段階で候補者が多く離脱しているか、または進行しているかを把握します。これにより、採用活動の効率を向上させるためにどの段階でどのような具体的な施策を講じるかを考えやすくなります。わかる範囲で把握した自社の現状から、母集団形成・書類選考・面接・内定どの工程がボトルネックになっているのかを分析しましょう。ボトルネックになっている工程がわかれば、まずはそこへの対策を最優先で行動してみるのがいいでしょう。

ポイント5_KPI 時間軸:

KPIでリードタイムの設定をする際には、何のリードタイムを、何のために取るのかを明確にしましょう。
例えば、応募日から内定承諾日までのリードタイムが短ければ、レスポンスが早いことで採用に積極的な会社と認識され、候補者やエージェントや優先度が上がる可能性もあります。逆にロードタイムが長く、面接結果のフィードバックに時間がかかっていることが分かれば、面接官のフォローや判断基準の明確化が課題解決のキーになるかもしれません。リードタイムと他のKPIとを混同しないように、目的を明確化しましょう。

【採用におけるリードタイムとは】
初回接触から入社までにかかる時間を指すケースが多いですが、課題を感じている工程のリードタイムを個別に分析するケースもあります。例えば、1次面接から2次面接の歩留まり率に課題がある際には、1次〜2次面接実施までのリードタイムを調べて、歩留まりの相関関係を分析するといった方法もあります。

【リードタイム短縮することのメリット】
1)採用目標を前倒しで進めやすくなる
2)人材紹介会社や媒体のロジックによっては、より紹介/応募が増える可能性が上がる
3)内定承諾率が上がりやすい
4)キャッシュインが早くなることで、その分事業や採用に投資が出来る

ポイント6_作り終わってからの関係者との共有と依頼

KPIの目標値や、歩留分析については、関係者(現場責任者やHiringManager、面接官)などと共有することをお勧めします。一人を採用するにあたって、課題感やフォーカスポイントを共有することで、チームとして活動していくためです。そうすることで、人事担当側からでは見えなかった新たな解決策につながることも少なくありません。

4. 採用KPI運用時のポイント

KPIを設定することができても、適切な管理ができなければ、効果的な採用に繋がりません。ここではKPIになりうる採用フロー上の数字の管理方法と運用上のポイントを押さえて、効率的な採用活動を実現させましょう。

1. リアルタイムでの数値管理

どの数字をKPIに設定するかを決めたら、常にそれぞれの数字を更新し、リアルタイムで数字が把握できるようにしましょう。前述の通り、KPIシートを複数名で管理する際には、その定義についてしっかり共有しておきましょう
また、リアルタイムで数値を追えれば、現状の課題をいち早く見つけられます。KPIと実際の数値が乖離している原因は何か、採用フローのどこに問題があるのかなど、週単位で数値管理・分析を行い、採用活動の精度を高めていきましょう。

2.KPIの進捗に合わせてアクションを実行する

実際に採用活動をしていく過程では、定めたKPIと現状には、どうしても乖離が生じるものです。そこで、乖離が生じている原因や改善策を検討して、次のアクションを起こすとよいでしょう。この際、設定したKPIより低い場合は、状況を分析し、仮説をしっかりたてた上で次のアクションを決めます。また、KPIより高い場合も、「たままた、うまくいった」とまとめるのではなく、どのファクターが良かったのかをしっかり言語化していきましょう。

3.KPIの見直しを検討する

特に初めてKPIを導入する時は、運用してみた結果、設定したKPIと現実があまりにも大きく乖離がある場合も少なくありません。そんな時は、KPIの目標設定の見直しを検討するべきです。必要に応じて修正や変更を加える柔軟な運用も選択肢に入れましょう。ただし、KPIの数字が達成困難だからといって、いたずらに数字を変更すると、ただの “数字合わせ”をしているだけになってしまい、採用の本来の目的からズレていく危険性もあります。何のための採用なのかに立ち戻って検討しましょう。実際の運用では常にPDCAサイクルを回しながら、KPIの精度を高めていくことが大切です。

4.KPIの数字にこだわりすぎない

採用活動で最も重要なのは、KPIを用いて、自社が定めた目標・目的を達成することです。「手段」と「目的」を混同しないよう、十分に注意しましょう。KPIの数値に固執しすぎると、本来のゴールに対する意識が薄れてしまう可能性もあります。KPIの数字にこだわりすぎないのも重要なポイントです。例えばKPIを達成するために採用基準を緩めてしまい、候補者の質に悪影響が出るのは、数字に翻弄される典型的なパターンです。さらにKPIの数値に固執しすぎるあまり、新しいアイデアやアプローチを試すことが難しくなるなど、組織の柔軟性や創造性が失われるリスクもあります。

5.データの収集と分析を十分に行う

データの収集と分析を十分に行うことも、採用の成功には欠かせません。当然ながら、KPIをトラッキングして分析するためのデータが不十分だと、KPIの進捗状況を把握できなくなってしまいます。またデータが不正確であれば、誤った解釈にもとづいて運用方針が決定されるリスクもあります。戦略の失敗やリソースの無駄、信頼性の低下など、組織に対して重大な影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
採用プロセスの各段階でデータ収集を徹底することは、自社が求める候補者を選定し、採用効率を高めるために不可欠です。収集されたデータを定期的に分析すれば、採用プロセスのボトルネックを発見したり、改善の余地を特定したりできるようになります。KPIシートなどの管理ツールと合わせて、データ分析ツールやHRテクノロジーを活用するのもおすすめです。


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