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ドキュメント・桜花爛漫~全通への道~第3部:あらゆる不安を吹き飛ばした東京公演

(第2部:名古屋編はこちら

話は少しさかのぼって名古屋公演2日前の4月12日。
東京公演の「招待特典」が発表される。

お友達を連れてきてくれた人には別途特典を用意するというやり方は、昨今多くのライブアイドルでライブの動員を増やす策として見受けられる。
Sチケットこそ激戦だったが、おそらくAチケットはそれほど売れていない。池袋harevutaiキャパ500を埋めるには必要な策という判断なのだろう。

こちら側の態度はどうするか。しばし考える。
そもそも友達を作らずにオタクをしてきているので、あてにできる友達は、いない。
招待特典自体は、宿チェキはマルシェ(オンラインでコメント付き写真が届く、3000円)でいいし、トーク2倍はループすればいい。手売りチケットを入手してさばくストレスには見合わない。
こういうのは、できる人がやればいい。きっとお友達が多くて招待特典に強いオタクさんというのもいるに違いない。そういう人達の力を借りたいのであって、自分が無理に手を出すものではない。これが15分で導き出した結論である。

心配なのは、招待特典で初見のオタクが増えることでフロアの熱量が下がることだった。つい2ヶ月前に、結構沸くタイプの他のグループのワンマンで通常チケットで入ったら、周りが静かすぎて自分が一人で沸いてる状態に面食らったことがあった。あれもよく調べてみたら招待で動員を増やしていた。自分の周りは招待客ばかりだったのだ。演者がどんなに頑張っていても、ライブ体験としてはイマイチなものになってしまう。iSPYは沸き系に分類されるグループではないと思うが、今回のツアーのセトリだと後半の疾走感はフロアの熱量との相互作用でさらに多幸感が増してくることは、名古屋で経験済みだった。

4月20日。東京公演まであと8日。
さらなるテコ入れ策として、「Showroomオンライン配信中にチケット購入すると枚数に応じて特典が受けられる」という企画が緊急発表される。
埋めるためになりふり構わず、になってきた。そのこと自体を否定するわけではない。

さて自分はどこまでやるか。最初に15分で考えた結論から、ブレてくる。
本気でやるなら、フォロワーの中から興味がありそうなオタクを探し、DMで直接営業をかける。面識はほとんどないがフォロワーだけなら大量にいる。iSPYがフライヤー配りをする姿をみかけたオタクも複数フォロワーにいる。
しかしチケット代は1000円ではなく、3500円だ。あまり声をかけすぎても資金力がもたない。

そんなさなかに、まかはちゃん大ピンチ!!!

東京公演にベストの状態で臨めるのだろうか…それもそうだが翌日には初のソロ仕事でのトークイベントを控えているw

4月23日。まかはの声の調子はかなり悪そうだったが、なんとかワロップのトークイベントをこなし、というかマネージャーさんの助力もあってMVPを取ってしまうw

その後は別のメンバーがShowroomオンライン配信でチケット販売をするので、帰りがけながら配信を見るのだが…
チケットはどこで買えるのか、オンライン配信中の特典内容は何なのか、情報が出てくるのが遅い。急遽決めたことだから致し方ないのだが、焦りがこちらにも伝播してきてしまい、イライラしてしまう。

結局、固定ポストに告知は出し、ツリーまで読んでくれた人には興味がある人は招待するよとは書いておく。これでは集まらないのは分かっているが。

自分にできるのは、ここまでだろう。
なんだか支えきれない無力感や申し訳なさと、東京のライブは大丈夫なのだろうかという不安がずっと頭を離れない。

4月28日当日。
早めに行っても不安が増すだけなので、午前中は家族で近場に出かけて、電車でギリギリに着くように現地に到着。
なかなか整列が始まらない手際の悪さもさらに不安を掻き立てる。

Sチケットといっても抽選落ちの後の先着なので番号はそれほど良くない。前方3列目に陣取る。

1曲目。「僕とあの子とetc…」予想通りだ。1部は大阪、2部は名古屋を骨格として数曲づつ変えてくるはずだ。
あれ、思ったよりフロアの盛り上がりがいいぞ。
前方にいるからというのもあるが、後方からかなりコールが飛んでくる。
東京、案外やるじゃん。

2曲目は名古屋と同じ。3,4曲目は固定で、5曲目の「恋のプリンセチア」が撮影可能曲。これまたイントロでアナウンスされて慌ててiPhoneを構えるが、操作をミスって撮れていなかった。
その後のフォーメーション。フロアが一瞬ざわつく。
「赤い果実のDestiny」
新体制初披露曲だ。

香月まかはが昨年12月に加入した新体制で、iSPYの持ち曲19曲(新体制以降の新曲含む)のうち17曲までが披露済みの状態でツアーに突入した。残り2曲。それまで月数曲のハイペースで新体制初披露曲が発生していたのが、ツアー突入以降は止まっていた。それをここで、満を持して披露する。
音源で聴いたときは「スタイリッシュ歌謡」だな~と思ってスルーしていた。王道アイドル系楽曲が多いiSPYにはあまり合わない曲なのではと思っていた。しかし、ちゃんと大人アイドルとしての魅力を見せてくる。これは意外と良いぞ!

後半まで十分に楽しめたライブ。終演後、Sチケット特典の全員握手。最高のライブだと思えた時の全員握手ほど楽しいものはない。正確に言うと今日のライブ良かった!って心から伝えられることが大事で、握手ですらなくてもいいのかもしれない。なにしろ推しとの握手の感触など覚えていないどころか、全員握手で推しと話す時間は休憩時間。だって後でチェキ撮りにいくからそこで話せるからね。

鍵開けしたチェキが暗かったのでこれは控えめにしようと思って2枚で打ち止め。2枚目は綺麗に映っていたので回ってもよかったが、東京しか来れない人もいるからね、遠征勢の心の余裕である。

軽く食事を済ませて第2部。Aチケットなので今度は中段の柵の後ろ2列目に陣取る。
中段やや後ろにいても、さらに後方からコールの熱量が伝わってくる。とても招待チケットで積み増した人達とは思えない。
招待チケットでも3500円という価格設定もあり、招待勢でも少しはiSPYのことを知っている、昔通っていたオタクが多かったのかもしれない。

予想通り2部は名古屋公演と同じく「未来」で始まり、途中はツアー固定曲を挟みながら数曲を入れ替えていく構成。
後半に入り、「好きになれ!」が撮影可能曲として発表され。ようやく余裕をもって準備してイントロから撮影できる。

ツアー用にイントロをアレンジした「決意の虹」の頭で、夏川みずきの「iSPYの本気を見せてやる~!」という煽り。
みずきのShowroom配信の時に、「フルサイズのワンマンのダブルヘッダーは体力的にキツいと思うからそこでどこまでやれるかが見どころだね」というコメントを入れていた。我ながら随分偉そうなオタクであるが、その返答をライブで見せるかのように全力のライブが続く。

11曲目「青春Shower」までやって、あとiSPY(曲)とエトセトラで終わるかなと思った12曲目。またもや、フォーメーションでフロアがざわつく。

「Starlight Signal」もう1曲の、新体制初披露曲。
リーチ一発。これで持ち曲全曲披露達成。
1部で「赤い果実のDestiny」初披露した時点で、2部で「Starlight Signal」を披露して全曲達成というストーリーは十分考えられた。だがそのことは1部の特典会ではあえて触れなかった。意識的にあまり意識しないようにしていたというか、もし違ったらまかはの方が悲しむだろうし、過去2年のiSPYの歴史における各楽曲の文脈、なぜこれが新体制初披露曲の最後なのかまでは自分は理解していないから、適切でない期待を押し付ける可能性を避けた。
早く全曲披露したい。まかはもインタビュー等で常に言っていたことだし、他のメンバーも、前体制から見続けてきたパティシエも皆意識していたことだろう。

まかはは大サビの良い場所を任されていた。音源で聞いたときに明らかにiSPYの現メンバーの誰とも異質な、力強さと伸びのある声で歌われていた、卒業メンバーのパート。ちょっと声の調子か、マイクトラブルか、良い状態で終えられたとは言い難かったが、とにかくやりきった。推しの全曲達成とともに、自分も全曲回収達成である。(ちなみに東京1・2部両部参戦だけでは、1曲だけ回収できない。)

「僕とあの子とetc…」をやって最後のMC。
いつもはMCでニコニコ笑って聞き役に回っているまかはが、割って入る。
「大サビの大事なところがマイクトラブルで声が乗らなかったので悔しい、もう1回やりたい!」
他のメンバーも「もう1回やろうよ!」と応じてくれる。
ここまでツアーではアンコールなしで来ていた。これは実質アンコールである。マイクの調整にしばしの時間を取り、2回目の「Starlight Signal」。これが本当に素晴らしかった。なんなら今日一番の出来だった。このグループは体力を心配する必要はない。フロアの声援を自分の力に変えて、ステージで発揮するタイプだ。

https://twitter.com/luckypara/status/1784565702969655635

公演前にこれほど不安だったワンマンライブも初めてだし、ありとあらゆる不安をすべて吹き飛ばした東京公演1・2部であった。何の心配もなく仙台公演ファイナルを迎えられる。

(つづく)









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