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令和の歳時記 タンポポ

この季節の公園や農地は茶かけた地面に緑の葉っぱが広がり黄色いタンポポの花が顔を出し始める。まもなく公園はタンポポ一色だ。

これらのタンポポのほとんどはセイヨウタンポポであると言われている。

タンポポ18-1

セイヨウタンポポは明治時代、北海道でサラダ菜として利用しようと北アメリカから輸入され、強い繁殖力で一気に日本中に広がった。

日本には古来より冠の前にエゾ、カントウ、チシマ、ミヤマ、カンサイそしてトウカイと付くタンポポがある。

両タンポポの違いは花の下にある総包片を見ればわかる。セイヨウタンポポは総包片がめくれるように後ろに反っている。

タンポポ10-4

日本のタンポポはめくれていない。判別は意外と難しい。地面に頬をくっ付けている姪っ子は「イナバウアーみたい」と今はやりの言葉を使って生意気に表現した。

タンポポの名前の由来については諸説あるが最も有力なのは雅楽、能楽に通じる説だ。タンポポの茎を裂くと反り返り打楽器の“鼓”のような形になる。

その鼓を叩いた音“たん、ぽんぽん”と白い“穂”を付ける様子から“タンポポ”となったそうだ。

タンポポ4

ちなみに欧米では葉っぱのギザギザを獅子の歯並びに例えて“ダンデライオン(ライオンの歯)”と呼んでいる。

そう言えば子供の頃、私の育った地域ではタンポポの綿帽子に息を吹きかける時、耳を塞げと先輩から教わった。

綿毛が耳に入ると危険と聞かされた。姪っ子もその教えを守っている。タンポポを通して昔からの言伝えを守る地域文化が垣間見えて嬉しい気持ちになった。

タンポポ10-2


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