令和の歳時記 シロハラ
森や林の中で鬼ごっこを楽しむならシロハラに限るだろう。カサカサという音が地面から聞こえてくる。音の正体は大抵この鳥だ。
しかも人間が近づいて来るのを知っていて、お尻を振りながら首を上下させ目配せすらする。小馬鹿にされた気分になる。
だから私も出来るだけ近づこうと躍起になってしまう。シロハラは冬鳥として10月ころ日本に飛来し5月になると北方へ帰っていく。大きさは25センチ位。
名前の由来は腹が白いことから。いつも地上を動き回りエサを探すのに必死だ。嘴で落ち葉を一枚一枚、丁寧にめくり小昆虫や植物の種を食べている。
一カ所に5秒もいれば十分で実に落ち着きがない。しかもこの鳥は森や林の中の暗い場所が好きらしい。写真を撮る際、光量が足りないと良い写真にならない。
だからいつも現像上がりのシロハラを見ると今度こそは絶対に良い写真を撮ってやろうと意地になる。
何とかこの鳥を明るい場所に導いてきれいな写真を撮る方法を考えた。まず足音作戦。シロハラの背後から大きな足音を立てて薮から追い出す作戦だ。
これは失敗した。あまり飛ばないと聞いていたのに瞬時に翼を広げ飛び去ってしまった。次は友人3人を使っての囲い込み作戦。
シロハラの前後左右に私を含めた4人で囲み中央に追いつめる方法である。これは上手くいった。しゃがんだ体勢でゆっくりと一人ずつが前進する。
シロハラは逃げ場が無い。誰に目配せしていいのかわからない様子だ。私はニヤっとほくそ笑んでシャッターを切った。今回の鬼ごっこは私の勝ちだ。
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