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【小説】生かされているということvol.15

6月11日(木)12時過ぎ、妻が目を覚ましてから約1日がたった。32歳という若さもあるのか、につながられている管がだんだん減ってきた。

しかし、少し動くと心拍数が100を超えることがあるという新たな不安の種が出てきた。ドクターは回復期の患者ではよくあるといっていたが。。。

確かに、一旦止まった心臓が動き出したので、心臓もペースがわかないだけかもしれないと思うようにした。


心配しすぎなのか。



心配をよそに、淡々と手術に向けての検査をしていくとのこと。手術は、大学病院に転院してからすることになり、それまでできるだけのことをするらしい。


①機能検査。これは、体に麻痺がないかの確認するというもの。心拍数が急に100を超えるため、金曜日から様子をみて行うことになった。


②カリウム値の検査。これは、心房細動を引き起こした要因の一つ、血中カリウム値が通常よりもかなり低かった原因を解明するためのもの。こちらは、来週するとのこと。


また、治療室も来週の木曜日からECUからICUの個室に移ることとなった。

こっそり、看護師さんからは、「お子さんも入ってもいいですよ」と。


子どもにとっても、また、妻にとっても嬉しいニュース!

コロナ禍ではあるが、落ち着いていた時期でもあったので、本当にラッキーだった。


それからは、あっという間の日々だった。仕事も開始したのもあったと思う。


6月12日金曜日、機能検査。幸い、麻痺は見られなかったとのこと。よかった。しかし、本人に自覚がないまま心拍数が高くなってしまうとのこと。記憶の保持は、少しずつできるようになってきている様子。


6月13日~14日、土日のため検査はなし。本人は、テレビを見て過ごす。ケータイの使用の許可がおり、LINEで連絡を取りあえるようになる。個室ではないため電話はできないが、子どもの様子を動画で送り伝える。本人は、メッセージを送れるようになり、記憶保持ができていないことに少し気が付いてきた様子。「大きな病気をした後で一時的だよ」と伝え、心配しなくていいと伝える。


6月15日~17日、検査再開。心拍数は相変わらず上がる。本人は相変わらず自覚なし。尿中・血中カリウム値については、問題なし。体内には問題なく吸収されている様子。しかし、倒れた日に異常に低いことの原因はわかないまま。

6月18日、ICUの個室に移動が決定。

夜には、子どもと再会できるということで、妻も子どもも楽しみにしている様子で、朝からどちらもそわそわ(笑)。妻はこのころになると、少しずつ記憶を保持できるようになり、今朝食べたものやなにをしていたかを思いだしながら言えるようになってきている。


いよいよ再会の瞬間。



「ママに会えるの??」と娘。

妻には子どもの様子を写真や動画で送っていたが、娘は、妻に会えるのは1週間以上ぶり。(妻が目を覚ました6月10日に5分ほどあっているが、管にたくさんつながれている状態だった)


「そうだよ。嬉しい?」と聞くのが精一杯なくらい胸が張り裂けそうだった。いざ再会の瞬間となり、娘や妻の気持ちを改めて考えるとこの1週間はつらかっただろうとそう思うだけで、涙が出そうだった。




ECU・ICUの入り口のインターホンを鳴らし、声が震えないようにしながら来たことを伝え、中に入った。





妻は、涙目で娘を抱き寄せたが、娘は、母親が病院で入院していることを理解しているのかしっかりとハグはできない様子。それがとても愛おしくてたまらなかった。15分の時間は短いため、ハグを促すが、気を遣っていて、なかなかベッドにとどまらない。



3歳3か月の娘だが、状況が理解できているようだ。それが、とても可哀想になった。





「我慢しなくていいよ」と伝えるのが精一杯だった。






時刻は、6月17日(木)18時15分を過ぎていた。








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