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4月某日

くどうれいんさんの『コーヒーにミルクを入れるような愛』を休憩時間に読んでいるのだけれど、ほんのわずか、自分の琴線がたかぶっていたら思わず泣いてしまうんじゃないかと危うい。

私は、傍目にも円満な家庭をどこかで憎んでいる。仲の良い夫婦を妬んでいる。同時に切望して羨ましくも思っている。
けれど、いわゆる適齢期を超えてひとりでやっていくのかとうっすら見積もれてきて、それで婚姻をやっかむ役を買ったりはしたくない。

明日からゴールエンウィークなのだけど、今年は3連休、3日の平日を挟んで4連休だからか、どうも浮足立たない。

大きなモニターの入れ替え作業があり、上司の代わりに立ち会う。
新しくなったモニターは赤みが強く感じられ、それを上司に言うとめんどくさい設定を変えたら調整できるよと言われ、放棄しようとしたところ、上司から叱咤を喰らう。

もちろん冗談まじりで、その後実際の作業も手伝ってくれたけれど、私にはどうやら諦め癖がついていると気づき怖くなる。
そして上司はもしかして日常の中でそれを感じ取って、ついに痺れを切らしたのではないかと恐ろしくなる。
知らず知らずのうちに、良からぬ方へ変わっているという事はなんと恐ろしい。

転職をして余暇を得た。馬車馬のように働くこともなければ、仕事で泣くことも随分減った。

そのひとつひとつは喜ばしいことで、おかげで働くこと全体が怖くなくなった。けれどこのままでいいのかと危機感が募る。このままだらっと終業時間を待っていていいのか。

そら怖くなり、近頃ひっそりと考えていた提案書を作り始める。
私の名刺には一応広報の肩書きがあって、その役割を果たしたい。

私自身が、にここにしか居られないようになる事をまだ許せない。
あわよくば、好きな人に仕事をしている姿を見せたいと言うのも純心としてある。

目に力を入れたまま退勤。
日が随分長くなった。カバンにつけているリフレクターも越冬した。
会社の庭には今日も色々な草花が生えていて、たんぽぽのあの綿毛の先にある種子が全て実を結ぶわけではないんだなとふと思う。
雑草を踏みながらよろよろと自転車を漕ぎ帰る。

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