見出し画像

*夏祭り

もしかしたら、君に偶然会えるかもしれない
っていう、奇跡に近いほんのわずかな確率
の希望だけを胸に、、、
その年の夏祭りは友達と出かけることを
自分の中で勝手に決めていた。

人混み、暑いのか苦手な根っからの
インドアな私、、、
体力のない私は
人混みを、少し歩いただけなのに
疲れてしまい
かき氷のイチゴ味を片手に、ボッーとしながら
浴衣を着て、バッチリメイクのキラキラ女子達が目の前を通りすぎるのを
頭をからっぽにして
ただ、ただずっと見ていた。

パァン!パァン!
ここに居る、たぶん⁈・・何万人⁈が
空を見上げて、夜空に咲く
希望の華のヒカリを見上げていた。
さっき、私の目の前を通り過ぎた
浴衣を着た、メイクバッチリの
キラキラ女子みたいだった。
こんなにきらびやかな、華やかな
夜空に興味がないのは
たぶん、きっと私だけだっただろう。
私は、空なんて見上げるヒマもないくらい
お目当ての君の姿だけを
花火が上がっても
ずっと、ずっと探していた。

それからしばらく、、、
ヒュー!ドン!と花火が上がるたびに
なぜかだかわからないけど、
このまま、夏祭りで君に会えなくても
いい気がしてきていた。

夏祭りは若者の常識で、夏祭りが
キライな私は非常識だ。
『好き』って言う気持ちは
非常識な私を、こんなステキな場所まで
連れてきてくれた。
君を好きにならなければ
私は今年も、涼しい自分の部屋で
アイスを食べながら、マンガでも読んで
ダラダラ過ごしてたに違いない。

少しずつ大人に近づいて、
切なさ、やるせなさ、劣等感
未来の自分を信じれなくて
モヤモヤしてたけれど

夏の夜空に咲く、花火を見上げていたら
理由もなく、笑顔になっていた。
自分の未来がほんの少し明るく
照らし出された気がした。

大好きな君に新学期会ったら
聞いてみよう
『ねぇー今年の夏祭り行った?』って

この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?